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「自由で開かれた政府」(2020年10月23日配信『熊本日日新聞』-「新生面」)

 「はんこ」の歴史は古い。メソポタミア文明の最初の担い手であるシュメール人が、円筒印章を発明したことに始まるとされる。紀元前3300年ごろのものと推定される陶片に押印の跡が残っているそうだ

▼円筒印章は当初、壺[つぼ]に入れた神殿の財宝を封印するために使われた。その後、穀物や酒など個人の貴重品を入れる壺や甕[かめ]の封印にも使われるようになり、いわば鍵の役目を果たしていたという(新関欽哉著『ハンコの文化史』吉川弘文館)

▼5千年以上も使われ続けるはんこだが、このところ逆風が吹きつけているよう。デジタル化を進めるため、政府は行政手続きで印鑑使用を原則廃止するという。旗振り役の河野太郎行政改革担当相は全体の9割超を廃止できると鼻息が荒い

▼確かに押印をなくせば効率的だろう。先日、文部科学省は学校と保護者との連絡も脱はんこを進めるよう教育委員会などに通知した。学校に出す書類の押印の多さに嘆いた経験のある方もおられよう。無駄なはんこをなくすのに異論はない

▼ただ、最近の動きには違和感も。根っからのひねくれ者のせいか、はんこ廃止で「改革やってますよ」みたいな顔をされても困る。政府の方針を丁寧に説明する、異論を唱える者も排除しない、といった改革が先なのでは、と言いたくなる

▼菅義偉首相は一昨日の記者会見で「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を強調した。それも結構だが、いま急ぐべきは「自由で開かれた政府」ではなかろうか。そう思えて仕方ない。



キャプチャ

まえがき/ハンコの誕生(文字よりも古いハンコ/ハンコは鍵の代用/粘土からパピルスへ/ハンコが語る古代貿易ルート)/ヨーロッパに渡ったハンコ(ハンコのるつぼ―クレタ島/絵が中心のギリシャ・ローマ印/中世のハンコ/印章・紋章・署名)/ハンコの東漸(中国印の起源/身分の証明/ひろがったハンコの用途/金より高価な印材)/ハンコロードの終着駅・日本(失われた金印/律令制度がもたらしたハンコ/戦国武将の印判状/ハンコなしでは夜も日も明けぬ国)/糸印の謎を解く(糸印とはなにか/糸印のルーツを探る/勘合貿易と糸印/糸印と根つけ)/ハンコロジーを語る―あとがきに代えて/新関欽哉氏と『ハンコの文化史』…中根千枝

内容(「BOOK」データベースより)
私たちの生活に欠かせないハンコ(印章)。メソポタミアを発祥の地とし、西はギリシャ、東はインダス・中国、そして日本へと伝わった。各地域・時代における形態や使われ方から、ハンコと人間の関わりを探る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
新関/欽哉
1916年東京生まれ。1938年東京大学法学部政治学科卒業。外務省大臣官房情報文化局局長、駐ソ大使、原子力委員、日本国際問題研究所所長を歴任。2003年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Author:gogotamu2019
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