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(論)不登校に関する論説(2020年10月24日・11月2・23日)

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令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 (PDF:5,400KB)➡ここをクリック



増える不登校 居場所づくりをもっと(2020年11月23日配信『東京新聞』-「社説」)

 2019年度に不登校だった児童・生徒は18万人を超え過去最多になった。生きづらさを感じる子どもたちが増えているからだろう。学校現場の支援と合わせ居場所づくりを進めたい。

 病気や経済的状況以外の理由で年30日以上登校していない小中学生は前年度から1万6744人増えた。

 その要因を学校側が一つだけ選ぶと「本人の不安や無気力」が約四割と最多だった。いじめを除く友人関係、親子の関わり方が続いた。

 不登校はさまざまな要因が絡み、個々の子どもで抱える問題は違う。それを前提に「本人の不安や無気力」を生んでいる背景を慎重に見極める必要がある。

 1日の大半を過ごす学校では、子どもたちの学習量が増えている上、授業準備などで多忙な教員の負担軽減がなかなか進まず、子どもと向き合う余裕がないままだ。

 こうした状況で子どもたちが教室で受けるストレスは増している。それも不安や無気力の要因になっているのではないか。スクールカウンセラーの増員や連携の強化など教員の負担を減らす対策は引き続き取り組むべきだ。

 コロナ禍による休校を経験し、オンライン学習の必要性も広く認識された。学校の居心地の悪さを少しでも解消できるノウハウを学校現場で共有したい。

 学校以外でも学ぶ場を認める教育機会確保法が16年に成立したことで、フリースクールなどが新たな居場所として広がりつつある。学校側も無理な登校を求めない考え方に変わった。

 不登校は生きづらさや居心地の悪さを感じる学校から身を守る行動でもある。

 ただ、学校側は子どもたちを新たな居場所に預けて関わりをなくしてしまわないようにしたい。

 フリースクールやオンライン学習は学校の判断で一部出席扱いにできるが、認められたのは約2万6000人だ。

 不登校の小中学生の受け皿にもなっている通信制高校には、ITを駆使して子どもの関心やペースに合わせた授業を提供し入学者が増えている学校もある。一斉授業など今の公教育への疑問が背景にはあるだろう。

 コロナ禍は保護者の雇用環境を悪化させて家庭で子どもがストレスを抱えやすくなっている。大人の余裕のなさが子どもたちを追い詰めることは避けねばならない。

 もっと居場所を増やしたい。



【不登校最多】子どもの不安受け止めて(2020年11月2日配信『高知新聞』-「社説」)

 子どもの不登校が増えている。文部科学省の2019年度の調査で、病気や経済的状況以外の理由で年30日以上登校していない小中学生は18万1272人と過去最多になった。

 本県でも1117人(前年度比58人増)に上り、7年連続で増えた。千人当たりの不登校の人数は22・4人で、全国で4番目に多かった。

 県は本年度改訂した「教育大綱」で不登校対応を柱の一つに据えた。子どもの不安をしっかり受け止め、学校を居心地のよい場所にすることが対策の根幹になろう。

 不登校の要因は、本人の不安や無気力(39・9%)が最も多く、いじめを除く友人関係(15・1%)、親子の関わり方(10・2%)が続いた。いじめを挙げたのは0・3%だった。

 子どもが学校に行けなくなった要因は多岐にわたる。個々のケースに応じた、きめ細かい支援が求められている。

 県は本年度から各校で不登校担当の教員を位置付けるなど、対策に力を入れている。23年度末までに千人当たりの人数を全国平均(19年度は18・8人)まで抑えるのが目標だ。

 小中の重点校20校には専門教員を加配。3日連続の欠席は「危険信号」として協議し、家庭訪問するなどして不登校を防いでいるという。

 迅速に対応できることで効果が上がっているのなら、他校にも専門教員の配置を広げてはどうか。

 欠席が長引くほど、学校への復帰は難しくなると言われる。早めの対応で子どもの安心につなげたい。

 既に長期欠席している子どもの居場所づくりも重要だ。

 学校以外で学びを保障する場として、市町村の教育支援センターの機能を強化する必要がある。

 全国的にオンライン授業への参加などを出席扱いにするケースが拡大している。そうした多様な学び方を提供できる態勢づくりも急がれる。

 文科省の調査では、全国の小中学校と高校、特別支援学校が19年度に認知したいじめも61万件を超えて過去最多になった。

 県内は3855件で、前年度より429件増えた。文科省などは、件数が増えている理由を、学校がいじめの「芽」を積極的に見つけている結果としている。

 ただ、心身に深刻な被害が生じるなどの「重大事態」も、全国で2割増の723件と過去最多だった。

 大人の目が届きにくい会員制交流サイト(SNS)上などで、いじめが進んでいる場合がある。子どもの変化を敏感にとらえ、不安そうならば「心配している」と伝えることが問題解決の第一歩になる。

 不登校といじめの対策は、学校の組織的な取り組みが鍵を握る。担任任せの対応になってはならない。

 学校が問題を抱え込むのもよくない。市町村や医療、福祉などの関係機関とうまく連携するべきだ。

 困難な状況にある子どもと一緒に考え、未来を切り開くような支援を実現してほしい。





不登校過去最多 学校の息苦しさ映し出す(2020年10月24日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 不登校の小中学生が昨年度、全国で18万人を超え、過去最多となった。県内では高校生を含めて最多を更新している。教員も子どもたちにも余裕がない学校の状況が変わっていないことの表れと見るべきだろう。

 文部科学省の調査で、全国の不登校の小中学生は前年度を1万7千人近く上回り、7年連続で増加した。学年が上がるほど増え、中3は4万8千人余りと小6のおよそ3倍に上っている。

 不登校が増えた要因の一つとして、2016年に成立した教育機会確保法が挙げられている。不登校の子どもが休養する必要性や、フリースクールなど学校以外の学びの場の重要性を明記した。

 学校への復帰を前提としていた施策を転換するこの立法を経て、学校の対応や保護者の受けとめは変わってきた。ただ、根本の学校のあり方に踏み込んで、見直しが進んだようには見えない。

 何より目を向けるべきは、現場の余裕のなさだ。特別支援学級の増加や、日本語の指導が必要な子どもが増えたことも背景に、教員不足は深刻さを増し、過重労働が常態化している。

 日本の教員の労働時間は欧米に比べると突出して長い。文科省の16年度の調査で、過労死の労災認定基準となる月80時間を上回る超過労働をしていた教員は小学校で3割余、中学校では6割近くいた。上限を45時間とする指針が昨年定められたが、実際にどこまで是正につながるのか疑問だ。

 コロナ禍で負担はさらに増している。長期休校に伴う授業の遅れを挽回するため、1日7時間の授業や土曜の登校、夏休みの短縮といった動きが広がった。教室の消毒作業をはじめ感染防止の対策にも手間を取られている。

 教員が時間と気持ちの余裕を持てなければ、子どもと丁寧に向き合うことはできない。これまで以上に子どもたちが追い立てられ、我慢を強いられて、窮屈な思いをしていないか心配になる。

 昨年度、全国の学校が把握したいじめも61万件を超え、最多となった。いじめは、親からの虐待や生活の困窮といった事情が複雑に絡む場合が少なくない。解きほぐすには、時間をかけて子どもと接することが欠かせない。

 学校のほかにフリースクールなどの多様な学びの場を認めることは、息苦しい学校のあり方を問い直すことと一体であるはずだ。現場がそれに主体的に取り組むためにも、教員が疲弊している状況を改めなければならない。



[不登校最多] 地域社会で支援の輪を(2020年10月24日配信『南日本新聞』-「社説」)

 鹿児島県教育委員会が公表した2019年度の問題行動・不登校調査で、公立学校の小中高校生の不登校が過去最多の2703人に上り、うち小中学生が1977人を占めることが分かった。全国でも小中学生は18万1272人と最多になった。

 不登校は文部科学省の定義で「病気や経済的理由以外で年間30日以上欠席する」児童生徒を指す。小中学生の増加傾向はここ数年続いており、全国的に認知件数が増えているいじめと並んで大きな課題となっている。

 20年度は新型コロナウイルスの影響による生活リズムの変化で、不登校がさらに増加する懸念も出ている。「行きたくても行けない」子どもたちを受け入れる支援の輪を、地域社会で広げていきたい。

 県教委のまとめでは、不登校の内訳は小学生466人(前年度比39人増)、中学生1511人(同15人増)、高校生726人(同30人減)。児童生徒の1.67%に当たり、中学生は3.54%と比率が高い。

 主たる理由を見ると、小中高とも「無気力・不安」が38.8%、38.0%、27.7%と最も多いが、2番目は小学生が「親子の関わり方」16.7%、中学生と高校生が「いじめを除く友人関係をめぐる問題」でそれぞれ23.1%、14.2%。子どもたちが身近な人間関係に悩む現実に胸が痛む。

 こうした状況を受け、県内の学校では模索が始まっている。近年、特に目立つのは、子どもたちの「登校したい」という自発的な気持ちを引き出すための試みである。

 教室に入れない生徒が自習などをして過ごすために、授業のない教師が常駐する部屋を準備したり、学校全体で会議を開き、複数の教員がチームで1人の児童を担当したりする。子どもの安心につながる取り組みだろう。

 ただ、通常の作業だけでも負担が大きい教員の頑張りに頼るのは、限界がある。増員が望ましいが、すぐには難しいとなれば公的機関や民間団体の力を借りるしかない。

 鹿屋市や南さつま市の支援団体・施設は対面、電話、会員制交流サイト(SNS)のほか、セミナーを開くなどして児童生徒本人や家族の相談を受け付け、成果を上げている。対話の場の確保は今後さらに大切になろう。

 17年に施行された教育機会確保法は学校復帰を前提とした国の施策を大きく変え、不登校の子どもの「休養の必要性」「学校以外の場での多様な学びの重要性」を認めた。個々の状況に応じた国や自治体の支援も求めている。

 フリースクールに加え、オンライン授業を一部出席扱いとするケースも増えている。地域の子どもたちが自分を否定することなく学び続けるために、社会の理解を深めたい。



[小中の不登校最多]要因を丁寧に分析せよ(2020年10月24日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 不登校の小中学生が増え続けている。

 県内では2019年度、不登校の小学生が1262人、中学校では2144人となり過去最多だった。小中合計の千人当たり人数は22・7人で全国平均を3・9ポイント上回っている。

 県教育委員会と文部科学省が公表した19年度児童生徒の問題行動・不登校調査で明らかになった。

 不登校の増加は全国的な傾向だ。全国では小中学生の不登校は計18万1272人。7年連続で増加した。

 17年に施行された「教育機会確保法」は、不登校の児童・生徒には状況に応じて休養が必要だとしており「無理に登校する必要はない」との考え方が浸透したのも増加の一因とみられる。

 同法は、国や自治体に児童・生徒の状況を継続的に把握し支援を求めている。県内でも教育委員会の適応指導教室や民間のフリースクールなどが学びの場となっている。福祉機関とも連携しているという。ただ、これだけ人数が増えると一人一人に支援が確実に届いているか気掛かりだ。

 不登校の要因は複合的だとされるが、家庭環境の問題も小さくないといわれている。背景にあるのは全国の約2倍に及ぶ子どもの貧困率の高さだ。

 親が困窮して子どもと十分に関わる余裕がなく、生活の乱れなどを見逃しているうちに子どもが学習につまずき、次第に学校に通えなくなる事例などが考えられる。

 不登校の子どもたち一人一人の家庭状況や抱える課題を丁寧に分析することが支援には欠かせない。

■    ■

 高校生の状況も心配だ。県内の高校生の不登校は1224人で千人当たりの人数は全国で最多だった。

 中退率は全国で最も高い2・3%で全国平均1・3%を大きく上回った。中退の理由は「進路変更」が半数を超え最も多いが、「経済的理由」の割合が全国で突出して高い。高校をやめずにすむ方法はなかったのだろうか。

 不登校の子どもらを支援するNPO法人の代表は支援の中で見えてきた「三つの貧困」として経済的な貧困、子どもへの教育が行われにくい家庭環境による文化的貧困、必要な支援を受けられず孤立する社会的貧困-を挙げる。

 不登校などの課題から引きこもりやニートにつながることもあり、将来に影響を及ぼす恐れがある。一方、早めにケアすれば人材の育成にもなる。支援は社会の責務だと認識すべきだ。

■    ■

 学校現場は学力向上を重視しすぎて余裕がなく、子どもとじっくり向き合う時間が取れていない、と教育関係者は指摘する。

 特にコロナ禍の今年は長期の休校で生じた学習の遅れを取り戻そうと早いペースで授業が進んでおり、影響が懸念される。

 子どもたちが置き去りにされ学習への意欲をなくすことのないよう学校には十分な目配りを求めたい。悩みを抱える親も含めてスクールソーシャルワーカーが支援できる仕組みも大切だ。






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