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宝塚の生徒暴行/何が教員の乱行を許した(2020年10月24日配信『神戸新聞』-「社説」)

 なぜ、これほどひどい暴力が教育現場でまかり通るのか。強い憤りとともに、問題の根の深さを改めて痛感する。

 宝塚市立長尾中学校の柔道部顧問の男性教諭(50)が9月下旬、1年生の男子部員2人に稽古と称して柔道技をかけ、けがをさせた。生徒の1人は背骨を折る全治3カ月の重傷、もう1人は首に軽傷を負った。

 教員は傷害容疑で逮捕された。驚くことに、別の中学校にいた2011~13年、生徒へのビンタや頭突きなどで計3回の懲戒・訓告処分を受けていた。そのうちの1回は今回と同じ柔道部の部活動中である。

 問題は教員個人の資質にとどまらない。そもそも、体罰は学校教育法で明確に禁じられている。ところが、学校や宝塚市教育委員会は実効ある再発防止策を取らず、顧問から外すこともしなかった。結果的に暴力のエスカレートを許し、最後は警察に頼る事態を招いた。

 生徒の命と権利を守るべき教育行政が機能不全だったとの批判は免れない。組織の責任は重い。

 まずは被害生徒のケアにしっかり取り組む必要がある。2人の心身の傷は大きく、10月中旬時点で学校を欠席する日もあるという。保護者と密に連絡しながら丁寧にサポートしてほしい。

 暴力行為は、ほかの柔道部員がいる前で行われた。その場には40代の男性副顧問がいたが、傍観したままだった。「顧問に恐ろしさを感じた」と釈明しているが、耳を疑う。職員室に物が言いにくい組織風土があったのではないか。部活動の指導のあり方も見直すべきだ。

 事件のきっかけは実にたわいないことだった。柔道部OBが差し入れたアイスキャンディーがなくなったことを顧問が問題視し、生徒2人が食べたことを認めると暴行した。

 調べでは、謝る生徒に背負い投げや絞め技を繰り返し、失神するとビンタで起こし、重傷を負わせた。

 顧問は当初、校長らの聞き取りに「きつめの指導をした」と話した。暴力に対する学校現場の鈍感さを証明するような言い分だ。弱い立場の者を暴力で抑えることを正当化する姿勢は教育とはいえず、子どもらのいじめを生む温床になり得る。

 宝塚市の市立中学では、いじめによる女子生徒の自殺や、部活動の男性顧問が不適切な指導で停職処分となるなどの深刻な問題が相次ぐ。信頼回復への取り組みが動きだした矢先に今回の事件が起きた。

 暴力やハラスメントを学校から一掃する。すべての教育関係者はいま一度決意を新たにしてほしい。再発防止や抑止策を検証し、家庭とも問題意識を共有することが不可欠だ。




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Author:gogotamu2019
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