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核兵器禁止条約発効へ 核保有国との橋渡しで日本に期待の声(2020年10月25日配信『NHKニュース』)

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 核兵器の開発、保有、使用を禁じる核兵器禁止条約が来年1月に発効することになり、核保有国と条約を支持する国々との溝が浮き彫りになる中、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶を訴えてきた日本に橋渡しの役割を期待する声が上がっています。

 核兵器禁止条約は核兵器を違法として開発、保有、使用を禁じた初めての条約で、24日、50の国と地域の批准という発効の要件を満たし、来年1月22日に発効することになりました。

 これに対して国連安全保障理事会の常任理事国で核保有国のアメリカ、ロシア、中国など5か国は、条約は安全保障情勢を考慮しておらず、核軍縮は段階的に進めるべきだと反対していて、核兵器禁止条約を支持する国々との溝が改めて浮き彫りになっています。

 こうした中、国際社会では唯一の戦争被爆国として核兵器の廃絶を訴えてきた日本に橋渡しの役割を期待する声が上がっていて、国連で軍縮を担当する中満泉事務次長はNHKの取材に対して「唯一の戦争被爆国として核軍縮の努力を倍増し、分断の構造を埋めていく橋渡しをしてほしい」と話しています。

 国連は条約の発効後に開く締約国の会議に、条約を署名、批准していない国にもオブザーバーとして参加するよう呼びかけていて、日本の参加にも期待を示しています。

 これについて、中満氏と同じポストを歴任した元外交官の阿部信泰さんはNHKの取材に対し「日本はすぐに参加できなくても、会場の外で会議の参加国と話し合いの場を持つことはできるのではないか。条約への署名も将来的には参加するという意思を表明する行為になり、できないことはない」と述べて、オブザーバー参加のほか、条約の参加国との非公式の協議などを通して橋渡し役を担うこともできるという考えを示しました。

条約に核保有国は一致して反対

 国連安全保障理事会の常任理事国で核保有国のアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国は、核兵器禁止条約には一致して反対する姿勢を示しています。

 5か国はおととし10月、国連総会で軍縮を扱う第1委員会で共同声明を発表し、「核兵器禁止条約に改めて反対する。核兵器のない世界を実現するには、国際的な安全保障情勢を考慮した段階的なプロセスが最善だと考える」と強調しました。

 この中で5か国は、核兵器の廃絶に向けた取り組みは、今のNPT=核拡散防止条約を基盤とした枠組みで進めるべきだとしたうえで、「核兵器禁止条約はNPTに矛盾し、これを害する危険がある」と主張しています。

 NPTは5か国を「核兵器国」と認める代わりに、核軍縮のための誠実な交渉を義務づけていて、声明では「われわれは核軍縮をめぐる交渉に引き続き取り組み、すべての国の安全を損なうことなく、核兵器なき世界という目標を支持していく」としています。

 一方で核兵器禁止条約に関しては「国際的な安全保障の流れや課題を無視しており、国家間の信頼や透明性の醸成に何ら寄与しない」とするとともに、「核軍縮や不拡散をめぐる分断を生みだし、さらなる進展を困難にする可能性さえある。1発の兵器も消し去ることはできないだろう」と非難しています。

 そのうえで「われわれは条約を支持せず、署名も批准もしない。条約がわれわれを縛ることはなく、われわれはこの条約が新たな規範をつくり、国際法の発展に寄与するというあらゆる主張を拒否する」として、各国に条約への支持を見直すよう求めています。

広島 原爆ドーム前で被爆者などが集会

 核兵器禁止条約の発効が決まったことを受けて、広島市では被爆者などが原爆ドームの前で集会を開き、日本政府に条約への参加を訴えていくことを確認しました。

 広島市の原爆ドームの前には広島県内の7つの被爆者団体のほか、湯崎知事と松井市長、それに市民などおよそ200人が集まりました。

 参加者は条約を批准した50の国と地域の旗を掲げ、条約の発効が決まったことを喜びました。

 集会では、日本被団協の全国理事で広島県被団協の箕牧智之理事長代行が「この日が待ち遠しかった。日本が入っていないのは残念だが50の国と地域の皆さんに感謝したい」と述べました。

 もう1つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長は「これまで核兵器廃絶を求めて署名を行ってきたが、条約の発効から廃絶に向かうようさらに活動を続けたい」と述べました。

 そして、NGO「核兵器廃絶を目指すヒロシマの会」の森瀧春子共同代表は「この地は多くの被爆者が亡くなった場所だ。きょうは多くの苦しみからうまれた核兵器禁止条約を喜びたい。核兵器は1つたりとも許すことはできないので、これからも戦っていきたい」と決意を述べました。

 参加者たちは「唯一の戦争被爆国日本も批准を」などと書かれた横断幕を掲げ、日本政府に対し条約への参加を訴えていくことを確認しました。

太平洋のビキニ環礁で被爆 漁船の元乗組員の遺族は

 核兵器禁止条約の発効が決まったことについて、アメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で被爆した高知県の漁船の元乗組員の遺族、下本節子さん(69)は「これまでも批准する国や地域が増えていくのをチェックしていましたが、核兵器の保有はもちろん実験も禁止している条約がついに発効となったことは大きな一歩で、うれしく思います」と話しました。

 そのうえで、「核を禁止する国際的な機運が高まることで、批准していない日本も変わるかもしれませんし、被爆者の遺族である私も当事者として発信を続けていきたいです」と話していました。



サーロー節子さん、核禁条約発効確定に「夢見た瞬間やってきた」 日本政府の姿勢には「ぶざま」と憤り(2020年10月25日配信『共同通信』)

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核兵器禁止条約に加入するよう日本政府に訴えるサーロー節子さん。右は国際NGOネットワーク「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」国際運営委員の川崎哲さん=2018年12月、東京都新宿区で

 核兵器禁止条約の発効が確定したことを受け、非政府組織(NGO)「ピースボート」(東京)は25日、オンラインイベントを開催した。電話で出演したカナダ在住の被爆者サーロー節子さんは「やっと夢見た瞬間がやって来た」と喜び、核兵器廃絶に向け「道のりは長いが一歩ずつ前進していきたい」と力強く語った。

 知人からの連絡で知ったというサーローさんは「体が震え、喜びや驚きで胸がいっぱいになり、言葉にならなかった」と興奮気味だったが「次の行程を考えると、責任を強く感じる」と冷静に見通した。

 条約に批准しないとしている日本政府の姿勢に「長年のぶざまな姿だ」と憤り「菅義偉首相は前首相と同じ事をやらずに、フレキシブルに実情を見てほしい」と強調した。



ICAN・川崎哲氏「核兵器の存在理由なくなる」 核禁条約発効確定(2020年10月25日配信『共同通信』)

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オンラインで記者会見するICANの川崎哲国際運営委員=25日午前

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オンラインで記者会見する被団協の木戸季市事務局長=25日午前(

 核兵器禁止条約の発効に向け取り組んできた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲(あきら)国際運営委員(51)が25日、オンラインで記者会見し、発効確定について「核兵器が違法化され存在理由がなくなるということ。うれしいし、興奮している」と述べる一方、条約に参加していない日本政府を批判した。

 過去にできた対人地雷やクラスター(集束)弾を禁じる条約と同様、核禁止条約に加わっていない核保有国に対しても、核兵器を使えなくする効果があると指摘。「核兵器を許さないという包囲網が生まれている。冷静で、まともな指導者は(核保有を)やめようという選択をするしかない」と強調した。

 米国の「核の傘」の下にある日本は条約に参加しておらず、川崎さんは「一番の障害は日本が動かないことだ」と政府の姿勢を非難。「半分無関心、半分思考停止。冷戦時代のような核抑止論が検証されていない」と問題視した。

 会見に参加した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の木戸季市(すえいち)事務局長(80)=岐阜市=は「(原爆が投下された)あの日を思い出した。街が真っ黒で、死体がごろごろあったことがよみがえった」と振り返り、条約に関し「(核兵器の)終わりの始まり。最後の力を振り絞ろうと思った」と決意を語った。




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