FC2ブログ

記事一覧

がん患者の就労 治療と両立、説明十分に(2020年10月26日配信『北国新聞』-「社説」)

 国立がん研究センターが全国のがん患者7千人を対象にした調査で、2割の人が治療のために退職または廃業していた。5年前の前回調査まで離職率は3割程度であり、やや改善の傾向がみられる。

 ただ、気になるのは、治療に際し「就労継続の説明を受けた」と回答した人が4割にも届いていなかったことだ。本人の意思が尊重されるのは言うまでもないが、治療と仕事を両立させる生活について丁寧な説明が浸透すれば、まだ十分離職率を下げられるだろう。医療側は調査結果を真摯に受け止め、患者への情報提供の在り方をいま一度考え、社会参加を望む人の後押しに努めてもらいたい。

 昨年、同センターが発表したがん患者(2009~10年)の5年後の生存率では、石川県が64・6%、富山県は64・8%だった。全国平均66・1%を少し下回っているが、いずれも上昇傾向にあり、患者の希望の光は医療の進歩とともに明るさを増している。

 日本ではがんと診断される人は年間約100万人に上り、2人に1人が生涯のうちにがんに罹患する。がんは不治の病から、つきあう病になり、治療を受けて働く人は2016年時点で36万人を超えている。医療者の役割は治療面だけでなく、仕事を含め闘病生活をどのように送るかを患者とともに考えることも大きいといえよう。

 がん患者の就労は人口減少が進む社会にあって労働力確保の面からも重要課題に位置づけられるようになった。16年に改正されたがん対策基本法では、雇用の継続に向けた配慮を「事業者の責任」と明記し、労務環境の整備を促している。石川、富山両県でも拠点病院や産業保健総合支援センターなどに両立支援の相談窓口を設けている。が、なにより医療者が患者にどの程度の就労が可能か説明を尽くすことが先決である。

 病状や治療によって患者が思うように働けない場合も多く、周囲はもとより職場でも理解や支援が求められる。課題は多いが、がんとの共生の時代は自分のこととして考え、よりよく改善していく取り組みを広げていきたい。






スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ