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実務型で「夢」がない?菅首相、所信表明の単語分析で透けた本音(2020年10月27日配信『東京新聞』)

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衆院本会議で所信表明演説をする菅首相

 菅義偉首相は26日に召集された臨時国会で所信表明演説を行った。新型コロナウイルスの対応やデジタル庁の新設など重点施策をマスク姿で読み上げた。ただ25分間の演説に使ったキーワードを、安倍晋三・前首相と比較しながら分析すると、政策を事務的
に語る言葉が目立ち、菅政権が目指すビジョンや国家像は見えなかった。(デジタル編集部・三輪喜人)

◆「進める」「改革」を多用

 「来年3月から保険証とマイナンバーカードの一体化を始め、運転免許証のデジタル化も進めます」「(デジタル庁の)来年の始動に向け、省益を排し、民間の力を大いに取り入れながら、早急に準備を進めます」

 菅首相の演説に登場したキーワードを調べてみると、マイナンバーカードの推進やデジタル庁の設立などで使った「進める」が最も多い26回。続いて「経済」が19回、「改革」「社会」がともに16回だった。

 一方、安倍氏が今年1月に国会で行った施政方針演説では、「日本」が1位の24回だったほか、「世界」が2位の22回、「時代」が5位の19回あった。

 明治大学の木寺元教授(政治学)は「安倍前首相は、日本、アベノミクス、1億総活躍など大きなテーマやフレーズで演説をまとめていたが、菅首相は『改革』を多用し身近な話題に目を向けている。具体的な政策が短冊のように並び、全体の国家像が見えにくい」と分析した。

◆「未来」「夢」は少なく

 ほかのキーワードでも違いはあった。安倍氏は1月の演説で「オリンピック」「パラリンピック」の単語を8回使ったが、菅首相はともに1回だけ。また安倍氏は、「未来」や「夢」をともに9回ずつ使っていたが、菅首相は「未来」は3回、「夢」は0回だった。(菅首相と安倍前首相のキーワード分析は記事の末尾で紹介しています)

 さらに木寺教授は両氏の演説から受けた印象をこう語る。「安倍前首相はエピソードを多用するなど聞き手をひきつけるような工夫をしていた。菅首相は淡々と語り、実務的、技術的な演説だ」

 安倍氏は1月の演説の冒頭、「五輪史上初の衛星生中継。世界が見守る中、聖火を手に、国立競技場に入ってきたのは、最終ランナーの坂井義則さんでした」と切り出した。坂井さんが1945年8月6日に広島で生まれ、戦後復興の象徴だったことに触れつつ、2020年の五輪・パラリンピックの成功を呼び掛けた。また、地方創生で東京から島根県に移住したパクチー農家などのエピソードを情緒的に語っていた。

 これに対し、菅首相の演説では、不妊治療に苦しむ夫婦が「共働きで頑張っても、1人分の給料が不妊治療に消えてしまう」と紹介したが、あとは自身が秋田から上京した身の上話や福島県で視察した高校生の姿などエピソードや語り口は控えめな印象だった。

 また菅首相は、グリーン社会の実現に向けて、「わが国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」と語った。ただ、この部分についても、木寺教授は「政策の大きな転換点となる話なのに淡々としていて、もっと感性に訴えれば、多くの人をひきつけたのではないか」と話す。

◆コロナ便乗型か注視を

 一方、木寺教授は、菅氏の演説で気がかりな点が2点あったという。「改革」という言葉を16回使ったが、新型コロナの収束は見通せない状況だ。社会の不安定に便乗した形で改革を進めると、「規制緩和が格差や不平等を広げる可能性があり、弱者を救済するものかを注意深くみていく必要がある」と指摘する。

 また、地方創生やデジタル化に向けた演説の内容が印象的だったという。「今後5年で自治体のシステムの統一・標準化を行い、どの自治体にお住まいでも、行政サービスをいち早くお届けします」

 木寺教授は「全国の自治体が利用するような統一的なシステムを巨大なベンダーしか提供できない場合、一部の大企業が独占的に利益を得る懸念がある」とし、企業間の競争環境の確保ついても注視すべきだ、としている。



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Author:gogotamu2019
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