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首相指名選挙で45歳の伊藤孝恵氏に投じられた1票の意味 「永田町の現状」を問う(2020年10月27日配信『共同通信』)

 9月、菅義偉首相が誕生した参院本会議の首相指名選挙で、国民民主党の当選1回、伊藤孝恵参院議員(45)=愛知=に1票が投じられた。投票したのは同い年の無所属寺田静参院議員=秋田。女性議員の割合は衆院9・9%、参院22・9%。「女性が意思決定の場に増えれば日本は変わっていく」。“永田町の現状”を問うた1票だったという。

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無所属の寺田静参院議員

 「伊藤孝恵さん、1票」。9月16日の参院本会議。山東昭子議長が、自民党の菅総裁、立憲民主党の枝野幸男代表らに続いて読み上げた結果に議場からどよめきが起きた。その場では誰が入れたかは分からないため「自分で入れたのか」「記録に残るのに何をやっているんだ」とやじが飛び交った。寺田議員は投票後、間もなくブログで自らの考えを公表した。

 寺田議員は国会議員秘書などを経て、2019年の参院選で地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の秋田市への配備反対を掲げ、初当選。無所属で党の方針に従う必要がないため、安倍晋三前首相の辞任表明後、国のかじ取りを誰に委ね、どんな社会を目指すべきか悩んだ。当選以来「政治の意思決定の場に女性が少ないことで、放置されてきた問題が多い」との思いを抱えていた。

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伊藤孝恵参院議員

 フィンランドやニュージーランドなど諸外国では30代や40代の女性首相が誕生している。悩んだ末に頭に浮かんだのは「子どものために社会を変えたい」との志を掲げていた伊藤議員だった。2児の母で元会社員。超党派のママパパ議員連盟の活動を通じて行動力に共感し、尊敬していた。

 「日本を大きく変えてほしい」。投票はとっぴなことと捉えられるのは分かっていたが、思いを込めて投じた。予想以上の反響があり、男女を問わず多くの声が寄せられた。「年齢や性別だけで選んだ」との批判もあったが「曇りのない説明ができる人に票を投じた」と後悔はしていない。

 当の伊藤議員は「思いも寄らないことで本当に驚いたが、永田町、社会に投げ掛けた重い一石」と真摯に受け止めている。育児と議員活動の両立や選挙などさまざまな壁を感じてきたのは寺田議員と同じだ。今でも周囲の議員から「伊藤総理」とやゆされるのが歯がゆいが「当事者感覚を大事に、寺田さんと一緒に社会を変えていきたい」と話している。

◆「女性が意思決定の場に増えれば変わっていく」

 寺田静参院議員が首相指名に関する思いをつづった9月16日のブログの抜粋は、次の通り。

 40代の女性議員が総理にと、歴史ある国会において奇異なことと映るかもしれません。ただ、諸外国を見渡せば、既に30代、40代の女性たちが首相に就任しています。

 生きづらい社会が、私たちの前には横たわっています。(日本の問題は)少しずつですが前進はしています。ただ、諸外国はその10倍20倍のスピードで社会の仕組みを変えていきました。そこには問題に正面から向き合うこれからの世代、女性たちの姿がありました。

 私が問題意識を持っているさまざまな課題は、女性が意思決定の場に増えれば確かに変わっていくことだとの思いが強くなり、今回の投票につながりました。前例や慣例を重んじる今の政治において、私の投票行動を快く思われない先輩諸氏がいらっしゃると思います。それでも、私は、伊藤さんに日本を大きく変えていってほしい。理想とする総理大臣の姿を思い描き、1票を投じました。

◆衆院に占める女性の割合9.9%、世界167位

 日本で女性国会議員が誕生したのは、1946年に実施された戦後初の衆院選。その後、衆院議員に占める女性の割合は一時期を除いて90年代半ばまで1~2%台で推移。96年に小選挙区制度が導入されてから、やや上昇し、現在は9.9%(465人中46人)。世界の各国議会(下院もしくは一院制)で見ると、167位と立ち遅れている。参院議員は22.9%と衆院よりも割合は高いが、政府が掲げる数値目標「指導的地位に占める女性の割合30%」は実現できていない。




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