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永田町の裏を読む 菅内閣は個別政策のみで長期的ビジョン・社会像が見えない(2020年10月29日『日刊ゲンダイ』)

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高野孟ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

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すでに致命的に5G時代に乗り遅れているというのに、「値下げ」が内閣の売り物政策…(デジタル改革関係閣僚会議)/(C)共同通信社

「木を見て森を見ない」のが菅義偉首相の思考方法の最大特徴である。個別・具体的な政策はあるのだが、それがその課題全体の中でどう位置づけられるのかは語られることがなく、ましてや政権としてのビジョンなり目指す国家・社会像にどうつながっていくのかは、まったく見えてこない。

 たぶん、準備不足だったのでそれも仕方のないことで、所信表明演説まで待てば少しはその懸念も解消されるのかと期待していたが、全然ダメだった。

 政権ベッタリの読売新聞は、「理念重視型だった安倍晋三前首相とは対照的」に「仕事師としての実務色を前面に出したスタイル」と、何とか褒め言葉を見つけて解説したが、その文末では「ただ、首相の演説を巡っては、自民党内から『長期的な戦略や国家観が欠けている』(閣僚経験者)との批判も出ている」と、ただし書きをつけ加えざるを得なかった。

「木」というのは例えば、不妊治療への保険適用という、それ自体としては誰も反対しない政策である。しかし、それが深刻さの度合いを増している日本の少子化=人口減少社会への突入という「森」レベルの問題にどれほどの歯止めとなるかというと、多くの専門家は「ほとんど影響ない」と指摘する。不妊治療を必要としない圧倒的多数の若いカップルが、失業したり非正規雇用を強いられたり保育所に入れそうになかったりで子供をもうけることをためらうことが中心問題だからである。

 携帯電話料金の値下げというのも同様で、日本の消費者は必ずしも「安ければいい」とは思っておらず、むしろ多少高くとも通信品質が安定していることへの志向が強いし、度が過ぎた「大容量」も必要としていない。そんなことよりも、4G時代に後れを取り、5G時代にはすでに致命的に乗り遅れてしまったデジタル事情が大問題であるというのに、通信会社や機器メーカーの将来投資の体力を奪う値下げが、なぜ内閣の売り物政策になるのだろうか。




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Author:gogotamu2019
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