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わいせつ教員、逮捕されても別の自治体で再び教壇に 被害者ら「刑罰の軽さ」を問題視(2020年10月29日配信『AERA.com』)

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 教員による児童生徒への性犯罪が後を絶たない。背景には刑罰の軽さがある。再犯率が高いにもかかわらず、逮捕後も教育職員免許の再取得や別の自治体で再就職も可能だ。AERA 2020年11月2日号から。
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「少し触られたくらいでそこまで騒ぐのかという人がいますが、子どもにとって身体を触られたり、わいせつな目で見られたりすること自体が『性暴力』です」

 と話すのは、教員による性暴力などを受けた子どもを持つ保護者らでつくる「全国学校ハラスメント被害者連絡会」共同代表の郡司真子さん。

 同連絡会は9月に「教員による子どもへの性犯罪被害調査」を実施すると40、50代を中心に約50人から回答があった。調査は今も継続中だが中間結果(複数回答)によれば、性犯罪被害に遭った年齢は「小学校中学年(3、4年生)」が最も多く25%、次いで「小学校高学年(5、6年生)」21%、「中学生」17%の順となった。

 被害に遭った場所は、「通っている(通っていた)学校の教室」が42%で最多。教員からされたことでは、「身体を触られた」が24%でもっとも多く、「頭や頬を触ってきた」(12%)、「下着の中に手を入れて触ってきた」(10%)という答えが目立った。

信頼できるはずの教員からの性暴力は、子どもたちの心身に深刻な傷を残す。

■別の自治体で採用試験

「娘はフラッシュバックに苦しめられ、学校にも行けなくなりました」

 東京都千代田区に住む母親(51)は、苦しい胸の内を明かす。長女(14)が区立小学校の5年生だった3年前、30代の担任の男性教員からセクハラ行為を受けた。

 母親によれば、この教員は4月から長女の担任になると、長女の頬やおでこを指でつついたり、「かわいいね」などと言ったりしてきた。「気持ち悪い」と感じた長女は神経性胃炎になり、PTSDを発症。そして心身を壊し、2度の自殺未遂も図った。別の小学校に転校し私立の中学に進んだが、教員に触られた時の場面がフラッシュバックし、つらくて不登校になっているという。

 昨年6月、母親は長女が性的羞恥心による精神的苦痛を受けたとして、千代田区と長女が通っていた小学校の校長や担任らを相手に提訴した。だが、裁判で区や教員側は、「その場の雰囲気を和ませるために『かわいい』と言っただけで、性的意味はなかった」などと反論しているという。母親は力を込める。

「子どもを苦しめる教員による性暴力は、絶対に断ち切らなければいけない」

 教員による性犯罪が減らない一因とされるのが、加害者への刑罰の軽さだ。

 前出の郡司さんによれば、教員による児童生徒への性犯罪は再犯率が高く、一度逮捕されても別の自治体の採用試験を受けそこで採用されるケースも少なくない。わいせつ行為で懲戒免職となった教師が、戸籍と名前の一部を変えて再犯に至った事例もあるという。

 現行の教育職員免許法では、わいせつ行為などによる懲戒免職で免許が失効しても3年後には再取得が可能だ。文科省は8月末、期間を3年から5年に延長するよう教育職員免許法改正の検討を始めた。

 だが、「魂の殺人」とも呼ばれる性暴力に対しては、免許再取得期間の延長だけでなく、そもそも再取得できないようにしてほしいという声も多い。

■第三者委員会が調査を

郡司さんらの連絡会は9月に「わいせつ教員に教員免許の再交付はしないで」という署名をインターネットで実施。1週間で約5万4千人分の署名が集まると、文科省に提出。同時に、各公立学校のトイレと更衣室以外の全ての場所への防犯カメラの設置などを求める要望書を出した。

 同連絡会共同代表の大竹宏美さんは言う。

「1人の加害教員に対し、被害に遭う子どもは3人から4人いるといわれます。再犯すればそれだけ多くの子どもが被害に遭います。子どもの人権を守るため、初犯を防ぐ仕組みをつくるのはもちろんですが、わいせつ教員を再び教壇に立てないようにすることは対策の第一歩です」

中学3年(15)の時から大学2年(19)までの約4年間、中学校の男性美術教員から性暴力を受けていた石田郁子さん(43)は9月、文科省に、教員による児童生徒への性暴力防止の政策提言を行った。

 石田さんは、「教員による性暴力は、子どもの安全の問題だ」としてこう訴える。

「子どもの安全を第一に考えれば、わいせつ教員の免許再取得を不可能にするのは当然。さらに、教員のわいせつ行為を認定する教育委員会は処分後に教員から不当処分訴訟を起こされるのを恐れてなかなか認めようとしない問題もあるため、性被害の訴えがあれば第三者委員会による調査を義務づけることが大切。他にも、採用時に性暴力の可能性をチェックするアセスメントの導入など、文科省が率先して全国一律で行うことが重要です」

(編集部・野村昌二)

※AERA 2020年11月2日号より抜粋



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