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<湖国の現場2020> みんな楽しめる施設に 新装の琵琶湖博物館(2020年11月1日配信『中日新聞』)

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スロープや手すりが設置され、近寄りやすくなった丸子船=草津市の琵琶湖博物館で 

 6年にわたるリニューアル工事が終了し、10月10日にグランドオープンした草津市の県立琵琶湖博物館。巨大な古代ゾウの復元標本や最新技術を使った展示などに注目が集まるが、工事の間には、障害がある人や介助者らでつくる「ユニバーサルデザイン(UD)評価会議」が開催され、だれもが楽しめる博物館の実現を目指して、学芸員や施工業者らと意見を交わしていた。さまざまな立場の人の意見をもとに改修した琵琶湖博物館は、だれにとっても優しい新たな学習の場所として、生まれ変わった。

 UD評価会議は、だれもが使いやすく、楽しめる博物館の整備を目指し、6年間で11回開催。県障害福祉課の手話通訳士田渕千恵子さんを中心に、車いす利用者や、人工肛門をつけているオストメイト、視覚障害者、知的障害者らの障害当事者に加え、手話通訳士や特別支援学校の教諭、オストメイト介助者、視覚障害のガイドヘルパーらも委員として参加した。学芸員や職員、施工業者などと意見を交わし、試行錯誤を重ねた。

 琵琶湖と人々の生活を紹介する「B展示室」には、全長17メートルの丸子船が鎮座する。リニューアル前から実際に触れられる展示物だったが、丸子船の周りには段差があり、車いす利用者が近づくことはできなかった。主任学芸員の林竜馬さんは「丸子船に触れようとする人は、障害の有無に関わらず少なかった。精神的なバリアーがあったのかもしれない」と当時を振り返る。

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B展示室➡ここをクリック

 リニューアル工事では、委員からの意見を踏まえ、スロープや手すりをつけて段差を解消し、誰もが近づけるよう整備した。林さんは「ベビーカーの親子や小さい子ども、お年寄りらも近づいてくれるようになった。丸子船との『距離』が変わった」と驚く。

 だれもが触れられる展示になった丸子船だが、視覚障害のある委員から、「大きすぎて、どこを触っているのか分からない」という意見が出た。そこで、丸子船を55センチのサイズに縮小し、凹凸で表現したレリーフを作製。試作品の段階で、凹凸の具合も視覚障害者に確認してもらった。レリーフを添える案は、A展示室にある巨大ゾウの復元標本にも取り入れられた。

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A展示室➡ここをクリック

 他にも、展示物が並ぶ台の高さは低めに設定している。足元には空間があり、車いす利用者でも展示物までアクセスしやすい。

 解説パネルは小学5年生レベルの漢字を使い、漢字すべてにルビが振ってある。もともとあった文章を、分かりやすく簡単な文章に再構成した。

 生まれ変わったのは、展示物だけではない。だれもが快適な時間を過ごせるような工夫がされている。特別支援学校の教諭からの「障害が重い人は、疲れてしまうから、ずっと車いすに座っていられない。休憩できるスペースが欲しい」という意見をもとに、別館につくった休憩室には、寝転べる小上がりを設置。休憩室の隣の部屋は、もともと空き部屋だったが、車いすのままでも出入りしやすい、広い空間を確保したトイレに改修した。

 オストメイトの介助者からは「多目的トイレに一緒に入っていると、変な目で見られることがある」という声があった。そこで、多目的トイレには「介助中」と書かれた札をつけた。

 UD評価会議を振り返って、林さんは「われわれだけだと、ユニバーサルデザインを意識しているつもりでも、気付けなかった点はたくさんあった。さまざまな障害のある人のことを考えていたら、一般の人にも優しい施設になっていたのは、うれしかった」と話す。田渕さんも「いろんな人が意見を出すと強くなる。思いがたっぷり入ったことで、琵琶湖博物館がパワーアップしたのではないか」と笑顔をみせた。 



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