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大阪都構想再否決 24区中14区で反対票上回る 南部大票田で支持広がらず(2020年11月2日配信『毎日新聞』)

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 大阪市を廃止して特別区に再編する賛否を問い、1日に否決された「大阪都構想」の住民投票で、大阪市内24区のうち、南部を中心に14区で反対票が上回り、賛成票が多かったのは10区にとどまった。14区の内訳は、前回2015年の住民投票で反対多数だった13区と前回わずかに賛成が上回った東成区。前回とほぼ同様に地域的な傾向が明確に表れた。全体では賛成67万5829票、反対69万2996票の1万7167票差で、得票率は1・26ポイントの僅差だった。

 反対が多かった区で差が最大だったのは、投票者数が9万6757人と最多だった平野区。反対が賛成を8377票上回り、全体の票差の約半分を占めた。8万923人が投票した住吉区でも8045票差がつき、昔ながらの住宅街や高齢者が比較的多い南部の大票田で支持が広がらなかったことは大阪維新の会など賛成派にとっては痛手だった。

 北部では、マンション建設などで前回よりも人口が増加し、投票者数が約7000人増えた北区の賛成は前回より約2000票の上積みにとどまった。

 都構想が実現すれば市が再編される計画だった四つの特別区ごとに集計すると、淀川区(此花、港、西淀川、淀川、東淀川)、中央区(中央、西、大正、浪速、住之江、住吉、西成)、天王寺区(天王寺、生野、阿倍野、東住吉、平野)で反対多数。現役世代の比率が高い行政区を多く含む北区(北、都島、福島、東成、旭、城東、鶴見)のみが賛成多数だった。中でも新天王寺区は反対が約2万2000票上回り、5行政区全てで反対多数と傾向が顕著だった。前回から、各特別区に中核になるターミナル駅や中心街を配置させる区割りに変え、財政的な基盤の平準化を試みたが、結果的に賛否の傾向は変わらなかった。

 淀川区に再編予定だった港区は、「淀川が流れていないのに淀川区か」などと区割りを疑問視する声もあった。今回も前回も反対が上回ったが、差は約2000票から3倍の約6000票に広がった。10月15日に港区内で行った「まちかど説明会」で維新代表代行の吉村洋文知事は「淀川区発展」の可能性を力説した。25年1月の「都構想実現」で同年4月に開幕を迎えることを見込んだ大阪・関西万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)の予定地になる人工島を引き合いに、「夢洲はものすごく成長する。IRで民間が1兆円の投資をする。万博の跡地でレガシーが残って活性化し、新大阪駅にはリニアと北陸新幹線が入る」と成長を訴えた。

 だが、ターミナルから離れた港区民には響かなかった可能性がある。また、多くの職員が庁舎となる現淀川区役所から淀川を挟んで3キロ以上離れた市役所本庁舎で勤務する計画だったことなどから、新淀川区は防災の面でも、専門家から「災害リスクが考慮されていない」という指摘もあった。

「ツートップ」の高い支持率維持できず

 さらに、毎日新聞の1日の出口調査と9月上旬の世論調査からは、告示前に比べて維新をけん引してきた代表の松井一郎市長と吉村氏の支持率が低下していることがうかがえた。府内の新型コロナウイルスの感染者は投開票日まで6日連続で100人を超え、対策への専念を求める声も少なくなかった。9月上旬の世論調査では、松井氏支持が57・9%、吉村氏支持が75・5%あったが、出口調査ではそれぞれ55・4%、68・9%だった。全体的には、1日の会見で両氏が「力不足」と認めたように、この「ツートップ」の高い支持率が維持できなかったことも反対多数の理由の一つと言えそうだ。



近隣首長ら「市民の選択」評価 小池都知事「まさに民意の表れ」 都構想再否決に(2020年11月2日配信『毎日新聞』)

 政令指定都市の大阪市を廃止し四つの特別区に再編する「大阪都構想」が1日の住民投票で反対多数で否決されたことを受け、政令市の市長会や近隣自治体の首長らがコメントを発表するなどした。

 指定都市市長会の林文子会長(横浜市長)は「大阪市の実情を最もよく知る大阪市民が、大阪にふさわしい地方自治の仕組みはどうあるべきか自ら選択した」と評価。今回の住民投票により大都市のあり方への関心が高まっているとして、政令市の権限を強化する特別自治市制度を含め「ポストコロナ社会において力強い経済の回復と活力ある地方をつくるため、大都市制度の見直しは急務」と訴えた。東京の特別区長会の山崎孝明会長(江東区長)は「大阪で行われた議論を含め、分権改革の動向などを踏まえながら今後の特別区のあり方を引き続き検討していく必要がある」とした。

 大阪維新の会の顧問も務める堺市の永藤英機市長は報道陣の取材に「大阪府全体を発展させる手段であったため、否決は残念。変化に対する不安を拭いきれなかったという印象」と述べ、「(堺市が)将来特別区に入るという一つの選択肢がなくなった」と語った。

 京都府の西脇隆俊知事は「今回の結果はまさに大阪市民の選択だ」とし、滋賀県の三日月大造知事は「(投票の)過程で得られた意見が今後の改革に結びついていくのではないか。大阪万博もあるのでリーダーシップに期待したい」と述べた。神戸市の久元喜造市長は「引き続き特別自治市制度の創設をふくめ、本格的に議論が進むことを期待したい」とコメントした。

 東京都の小池百合子知事は「まさに民意の表れ。街が活性化していくというのはどの都市でも同じ必要性があると感じている」と話した。



大阪都構想、南部の反対鮮明 5年前と変わらぬ構図(2020年11月2日配信『日本経済新聞』)

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住民投票から一夜明け、大阪都構想の住民投票のニュースを伝える大型モニター(2日、大阪市中央区)

「大阪都構想」は1日の住民投票で反対多数となり、大阪市は政令指定都市のまま存続することになった。投票結果では市の24行政区のうち、反対多数は14区を占めた。賛否の構図は2015年の前回住民投票とほぼ同じで、改めて地域による賛否の違いが鮮明になったといえる。都構想の否決は日本維新の会にとって打撃となり、次期衆院選の戦略の見直しが求められそうだ。

「変化に対して皆さん不安を持つ。その不安を解消できなかった」。都構想が否決された1日深夜、大阪維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は大阪市内で記者会見し、敗因を述べた。吉村洋文代表代行(大阪府知事)は「僕が都構想に挑戦することはない」と述べ、都構想の3度目の住民投票の可能性を否定した。

その上で、松井氏は23年春までの市長の任期を全うし政界を引退する意向を表明。吉村氏は自らの進退を「(知事の)任期満了までに判断したい」と述べた。

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大阪市選挙管理委員会によると、開票結果は反対69万2996票、賛成67万5829票。反対が賛成を約1万7000票上回り、前回の1万票差から広がった。

24区で前回の住民投票から唯一、賛否が逆転したのは東成区。賛成多数から反対多数になった。

反対多数の14区をみれば、賛否票の差の最大は平野区で、反対が約8300票上回った。高齢化率が高く、税収が比較的少ない区がある市南部で反対票が上回る構図は前回と変わらなかった。

住民投票を前に維新は情勢調査を複数回実施。市南部を弱点エリアとして、松井氏や吉村氏ら幹部を投入し、巻き返しを図った。「水道料金の値上がりなど住民サービス低下や、特別区設置のコストに対する懸念を払拭しきれないまま終わってしまった」(維新府議)。

これに対し、賛成が上回った10区をみれば、梅田を抱える北区や新大阪駅のある淀川区など市北部に集中。ビジネス街に近く働き盛り世代が多く住む西区など、南部と比べて65歳以上の世帯が少ないのが特徴といえる。

前回と様相が異なったのは中央区だ。賛成が反対を4%ほど上回った。18%の差があった前回と比べれば賛否の差が大きく縮小した。中央区は繁華街・ミナミを抱える。新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた8月、府が飲食店を対象とし、営業時間短縮や休業要請をしたエリアだ。コロナ対策への不安が反対を押し上げたとの見方もある。

一方、日本経済新聞社の1日の出口調査では、反対した市民の間で住民サービス低下の不安が根強かったことが浮かび上がった。

投票で重視した事柄を選ぶ質問では「住民サービスが良くなるか悪くなるか」を選んだ人は79.2%が反対に投票。「都構想のメリットが明らかかどうか」を挙げた人も82.6%が反対した。

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大阪市役所前から撤去される住民投票を呼びかける看板(2日午前)

政党別では維新支持者の9割が都構想に賛成した一方で、同じく都構想を推進した公明党の支持者は賛否がほぼ二分した。公明は19年4月の知事・市長ダブル選で維新が大勝したのを受けて賛成に方針転換した経緯がある。支持者の間で反対が根強いことが浮き彫りとなった形だ。

自民党の支持者も賛成36%、反対64%だった。強硬に反対する市議団と、府議団の一部が維新との協調路線を模索するなど党内が一枚岩になれなかった影響があったとみられる。支持政党がない「無党派層」は賛成が約4割で、反対が約6割と大きく上回った。二重行政解消という都構想のメリットが市民に十分に浸透せず、政令市廃止への不安をぬぐえなかったようだ。

調査は、大阪市内64カ所の投票所で実施。投票を終えた有権者計2816人から回答を得た。(大元裕行、上林由宇太)






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