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人気講談師・六代目神田伯山の妻 子どもの性別を公表しない理由、ジェンダーへの思いを語る(2020年11月2日配信『AERA.com』)

石臥薫子

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古舘理沙(ふるたち・りさ)/1981年生まれ。「VOGUE」などの編集者を経て、寄席演芸のプロデューサーに。2016年に伯山さんと結婚後はマネジメントも行う(古舘さん提供)

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人気講談師・六代目神田伯山(古舘さん提供)

 人気講談師の六代目神田伯山さんと妻の古舘理沙さんは、2018年に誕生した我が子の性別を公表しなかった。そこには、夫婦のジェンダーへのある思いがあるという。AERA 2020年11月2日号では、古舘さんに話を聞いた。
*  *  *
――当代随一の人気講談師の六代目神田伯山さん。彼をマネジメントしてきたのが妻の古舘理沙さんだ。最近では、制作を手がけたYouTubeチャンネル「神田伯山ティービィー」が第57回(2019年度)ギャラクシー賞テレビ部門フロンティア賞を受賞。二人の間には18年に生まれた子どもがいるが、性別を公表しなかったことが話題になった。

古舘さん:夫と私の間で子どもに関する情報は性別に限らず、公にしないと決めています。第一の理由は、子どもの安全を守りたいからです。性別も公表しないのは、前提として生物学的な男女の区別とは別に、ジェンダーは社会規範だからです。例えば、男の子だとしたら、伯山と同じ講談師になるのかとか、女の子であれば顔の美醜などについて、本人の意思と関係なくネットに書かれてしまうリスクは避けたいのです。

 ジェンダー観も時代によって変わります。本人の心身の成長段階でも変わるものです。子どもの可能性を閉ざすようなことはしたくない。そういう考え方は私たちには当たり前だったんですけど、世間にびっくりされて、逆にびっくりしました。

■粘り強く話すしかない

――古舘さん自身は、ジェンダーに関する偏見が少ない環境で育ち、社会人になってからも性差別をあまり意識しなかったという。自分や周囲がセクハラに遭っても、「ダメなおじさん」個人の人間性の問題として処理してしまっていた。

古舘さん:20代の終わりに、寄席演芸界という超男社会、しかもそれを美学とする世界に入り、生まれて初めて「オンナ」扱いされました(笑)。

 私が男性なら経験しなかったであろう理不尽なことも沢山ありました。でも、寄席演芸が好きで、自分で選んで入った業界で仕事をしている立場ですから、おかしいと思ってもそれを口にすることは憚(はばか)られました。「嫌なら辞めろ」と言われたらその通りだと思い、スルーするしかありませんでした。これってあらゆる場所で少数派が陥りがちな構造ですよね。でも当時は、差別を気にするより、仕事だと割り切ってお金を稼げばいいやと。それで10年近くやり過ごしてきました。

考えが変わったのは、この1、2年です。#MeToo運動で世間の風向きが変わった頃、コラムニストのジェーン・スーさんや作家の山内マリコさんと知り合いました。話をするうちに、性差別はどこの業界にも存在し、社会全体の構造の問題だと気づきました。

 そこからフェミニズムのことを積極的に学び、自分でも活動しようと考え始めました。

 私は、性差別はたばこと同じだと思うんです。昔はオフィスでもどこでも吸えました。でも、いろんな人が声を上げ、規制も増え、今では吸うことへの風当たりが相当キツくなった。性差別も、フェミニズム運動を加速することで、差別をする人のほうが恥ずかしいとみなされる世の中になると思います。

 ただ、家庭の問題にジェンダーを持ち込むと、「男」と「女」の代理戦争になってしまう。だから、家では「社会ではこれが主流だから」とか「男だから」「女だから」という言い方はしないようにしています。夫婦で意見が違っても、「男女の違い」では終わらせない。育ってきた環境が違う個人対個人として、一つひとつ丁寧に粘り強く話し合うしかない。家事育児の分担が常に5:5じゃなくても、その都度修正していけばいい。子どもにも、「今お父さんとお母さんはこういう状況だからこうしている。男だから女だからじゃないんだよ」と説明することが、性差別を再生産しないために重要だと思います。

(構成/編集部・石臥薫子)

※AERA 2020年11月2日号




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