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これが答弁? スッカラカン首相の支離滅裂に国民は愕然(2020年11月4日『日刊ゲンダイ』)

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コミュニケーション不全も露呈(衆院予算委で答弁する菅首相)

「鉄壁のガースー」

「安定のガースー」


 官房長官時代、菅首相は会見で記者の追及をバッサリ切り捨てることからこう言われてきたが、丁々発止となる予算委員会ではやはり通用しなかった。普通は新首相の所信表明に対してマトモな質疑が行われるものだが、のっけから二枚舌、ゴマカシ、しどろもどろ。ウソがウソを呼ぶ泥沼。あっけなく決壊したと言った方がいい。

 2日の衆院予算委員会。菅は首相就任後、一問一答形式の論戦に初めて臨んだ。その手元には、水色の付箋がビッシリと貼られたペーパーの束。野党トップバッターの立憲民主党の質問が日本学術会議の任命拒否問題に集中したのに備えたのだろうが、スッカラカン答弁は早くも限界を露呈した。国民は支離滅裂の新首相に愕然としたのではないか。

 この問題の核心は会員候補6人を任命から除外した判断基準は一体何なのか、だ。これに対し、菅は「通常の公務員の任命と同様に、人事に関わることで答えを差し控える」を連発。江田憲司代表代行から「任命を拒否した6人の方のお名前は知っていたのか」と問いただされると、「加藤陽子先生以外の方は承知していなかった」と臆面もない。当初は「総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」と言っていたのに、会員候補を知らなかったというメチャクチャを強弁。そして、学術会議による会員選考方法をこう批判した。

「多様な会員を選出すべきと言われながら、現状は出身や大学に偏りがある。前例踏襲はやめて、民間人や若手も増やすことができるようにしたら良いと私自身が判断した」

■多様化進む学術会議に難癖

 菅にパージされたのは、1部(人文・社会科学)の候補として推薦された東京慈恵医大教授の小沢隆一氏(憲法)、立命館大教授の松宮孝明氏(刑法)、早大教授の岡田正則氏(行政法)、東大教授の宇野重規氏(政治)、東大教授の加藤陽子氏(日本近代史)、京大教授の芦名定道氏(キリスト教学)。現会員が所属していない慈恵医大から1人、1人しか所属していない立命館大が1人、女性が1人が推薦され、菅が言う「多様性」はむしろ反映されている。逆に、2部(生命科学)と3部(理学・工学)の候補全員を任命した菅の「判断」との整合性に疑問符がつく。

「会員選考の際にジェンダー、地域、所属、分野、年齢の多様化を図ってきた」と主張する学術会議のデータにも多様化の傾向は表れている。2011年10月と2020年10月との比較では、東大・京大在職者の比率は36・2%から24・5%に減少。私大・公立大在職者は18・6%から27・0%に増加した。関東59・5%→51・0%、近畿15・2%→24・0%、中国・四国1・0%→3・4%に変化。女性は23・3%から37・7%へ、国の機関や民間企業などの産業界出身者も1・9%から3・4%に増えている。つまるところ、菅は難癖をつけているだけ。今井雅人議員が菅の著書「政治家の覚悟」を手に総務官僚を異動させたくだりを読み上げ、「なぜ言えないのか。(著書には)個別の役人の人事が書いてある」と矛盾を指摘すると、「この人事は表に出ているやつですから」としどろもどろでごまかす始末である。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。

「菅首相の答弁能力については国会審議が始まる前から不安視されていましたが、懸念が的中した。若手が少ないと言いながら若手を排除し、多様性を持ち出しながら女性を排除する。菅首相の答弁は支離滅裂です。説明できないような理由、つまり政府の意向に従わない学者の弾圧を目的に任命拒否に及んだものだから、言うことがコロコロ変わり、言い訳にもならないような言い訳を繰り返すのでしょう。援護射撃した自民党議員の質問からも反知性主義的な党体質が浮き彫りになった」

たいこ持ち議員を「良い質問」と慰労

 菅が冗舌になった数少ない場面が野党に先立つ与党質問だった。自民の大塚拓議員は「『既得権益集団』の強い反発を予想しつつ『決断』した」と菅を持ち上げ、「非常に質が低い」「税金を投入している機関でパフォーマンスが十分とは言えない」と組織論にすり替え。「人文・社会科学系は約6倍、会員になりやすい」「事実上のブラックボックス」などと口を極めて学術会議を批判すると、菅は待ってましたとばかりに前のめり。「閉鎖的で既得権益のようになっているのではないか」「国民の税金予算を使っている団体。年間10億円を使って活動している。私が任命すれば公務員になる。国民に理解される存在でなければならない」と多弁だったが、その言葉、そっくりそのまま菅と自民にお返しする。

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大塚拓議員の批判は誹謗中傷レベル

 10億円を何かとヤリ玉に挙げるが、血税260億円を投じたアベノマスクはどうなのか。「小さい」「汚い」「税金のムダ」とケチョンケチョンだったアベノマスクを着用していたのは、安倍前首相と「全国民に配れば不安はパーッと消えますよ」と囁いた元秘書官くらいしか見たことがない。大塚の質疑後、党幹部が「良い質問だった」と慰労したというからア然である。答弁拒否や自民の論点すり替えヤラセ質問を見せつけられた国民は驚愕と絶望に襲われるほかない。政治評論家の森田実氏はこう言う。

「任命拒否を撤回し、謝罪した上で改めて任命するしか菅首相に道はない。それなのに、力ずくで生きてきた菅首相は押し通してやると開き直っている。やることなすこと独裁者の発想ですよ。菅首相がこの国のトップに就いたのは大きな間違い。史上最悪だと思っていた安倍前首相よりもひどい。菅首相も、こんな人物を担ぎ上げた自民党も恥ずべき存在です」

■野党に足りない首取る気概

 任命拒否は憲法23条が保障する学問の自由を侵害し、学術会議法17条が定める〈優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする〉に反している。違法性を取り繕うために菅政権が根拠とするのが、2018年に内閣府の学術会議事務局が内閣法制局と協議の上で作成した〈推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない〉と記されている文書だ。04年に推薦方式が現行式に変更したことを受けた見解だとして、推薦と首相の任命権の関係性について「解釈を明確化させた」と主張するが、04年当時も「首相が任命を拒否することは想定されていない」と政府の内部資料に明記されていた。

菅が官僚をドヤし、いくら詭弁をひねり出させても、無理筋は無理筋なのだ。

「立憲民主の中にも菅首相の顔を立てるかのような議員がいましたが、一体何をやっているのか。学術会議を廃止したいのか、この国に学者はいらないと思っているのか。そうした容赦ない質問を浴びせ、首を取りにいく気概を見せてほしい。日本人がいかにおとなしくても、我慢の限界がある。大阪市では住民投票が否決され、主流派だった大阪維新の会と公明党が吹っ飛んだ。菅首相がデタラメ答弁を続ければ、内閣支持率はみるみる下落するでしょう。総選挙に突き進めば、自公連立政権に終止符を打ち、政権交代を実現する千載一遇のチャンスです」(森田実氏=前出)

 4日の衆院予算委では立憲民主の枝野代表や共産党の志位委員長らが質問に立つ。




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