FC2ブログ

記事一覧

(論)福祉施設に関する論説(2020年11月6日・12月3日)

介護サービス 感染症への備えを計画的に(2020年12月3日配信『読売新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの流行は、長期化が予想されている。介護サービスを維持するためには、当面の対応を強化するとともに、日頃から計画的に備えておくことが大切だ。

 新型コロナの感染再拡大で、高齢者施設の入居者や職員への影響が懸念されている。感染者が相次いだ場合、濃厚接触した職員が出勤できずに人手が足りなくなり、ケアに支障が出かねない。

 高齢者が感染すると重症化しやすい。PCR検査の体制を拡充するなど、高齢者施設や訪問介護などを行う事業所での感染症対策に万全を期すことが肝要だ。

 収束には時間がかかると想定し、研修を実施して、職員が感染症の対処法を継続的に学ぶことが望ましい。マスクや消毒液なども十分に確保しておきたい。

 民間企業などでは、感染症対策を盛り込んだ事業継続計画を策定する動きが広がっている。感染拡大の状況に応じた業務の優先順位や人員配置の方針などについて、あらかじめ定めるものだ。

 感染が広がっても、最低限の介護サービスは継続する必要がある。保健所や病院、自治体などとの連携について、具体的な手順を明確にすることが有効だろう。

 近年、高齢者施設が台風などの被害に遭う例が目立っている。計画には、自然災害の想定も盛り込み、訓練をすべきだ。

 関係機関と協力して実効性のある計画を作り、利用者や家族と共有しておくことが重要である。

 厚生労働省は、各事業者に計画策定を求めることを検討しているという。経費を支援して取り組みを後押ししてもらいたい。

 来年度は、介護保険サービスの公定価格である介護報酬の改定が予定されており、厚労省の審議会で議論が大詰めを迎えている。感染症に的確に対処し、職員の処遇改善につなげる必要がある。

 政府は昨年10月、経験や技能がある介護職員の給与を引き上げる事業者に対し、それに見合う報酬を上乗せする仕組みを導入した。だが、制度を利用したのは約6割にとどまっているという。

 要件のわかりにくさや、手続きの煩雑さが理由のようだ。制度を見直して使い勝手を良くし、浸透を図ることが急務である。

 厚労省は来年度、所得の高いサービス利用者について、自己負担の上限を上げる方針だ。経済力に応じて、一定の負担を求めることは理解できる。高齢化が進む中、制度の効率的な運用に向けて努力を続けなければならない。



福祉施設の労災 高齢職員の安全確保が急務だ(2020年11月6日配信『読売新聞』-「社説」)

 人手不足が深刻な介護など福祉の現場で、高齢の職員が負傷するケースが増えている。安全に働ける環境を整えるとともに、働き手の確保にも努めねばならない。

 厚生労働省によると、特別養護老人ホームや保育所などの社会福祉施設で昨年、労働災害で死傷した職員が1万人を超えた。前年比5・2%増で、10年前の2倍近い水準だ。全産業では1・3%減っており、増加が目立っている。

 死傷者の3人に1人は60歳以上だった。原因をみると、重い物を運ぶなど無理な動作で腰痛になったり、転倒や転落でけがをしたりしたケースが多かったという。

 高齢の就労者が増えていることに加え、安全への配慮が十分でない職場環境や過度な負担が背景にあるのではないか。今年は新型コロナウイルスへの対応に追われ、職員らは疲弊している。事故がさらに増えていないか心配だ。

 国は今春、高齢職員が安全に働ける職場作りの指針とチェックリストを公表した。暗い場所や段差をなくすほか、健康診断や体力テストを実施して、身体能力に見合った業務を割り振ることなど、100の点検項目を挙げている。

 高齢職員がけがをすれば回復に時間がかかり、働けなくなる場合もある。入所者が巻き込まれる事故も起きかねない。施設の運営者は設備や業務内容を精査し、早急に対策を講じてもらいたい。

 職員の高齢化が特に深刻なのが介護現場だ。国が昨年実施した調査では、30歳未満は8%足らずで、60歳以上が2割を超えていた。

 介護は、入浴や排泄はいせつの介助などの重労働が多い。入所者をベッドなどから移動させる作業を補助する介護ロボットやICT(情報通信技術)の活用で、負担の軽減を図っている施設もある。

 国は、こうした設備を導入する事業者に補助金を出している。制度を周知して、普及を図ってほしい。技術開発を進める企業を資金面で後押しすることも大事だ。

 コロナ禍により、多くの職種で求人が減る中、介護職の有効求人倍率は3・8倍と高止まりしている。2025年には、34万人の介護人材が不足する見込みだ。

 介護職場では、職員の処遇が業務内容に見合っていないケースがある。長時間労働のイメージも根強い。全産業平均より月額8万円以上も低い賃金水準を含め、着実に改善することが必要である。

 外国人材に頼るばかりで、安全確保や待遇改善を怠っていては、人手不足の解消は望めまい。



エイジフレンドリーな職場づくり- 厚生労働省➡ここをクリック

エイジフレンドリーガイドライン - 厚生労働省➡ここをクリック




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ