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立冬 11月7日

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冬の始まりに(2020年11月7日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 詩人萩原朔太郎は冬を「蕭条(しょうじょう)とした自然の中におののいてゐる、人間の果敢ない孤独さを思はせる」と書いた。はるか遠い昔を想像し「鈍暗とした空の下で、自然は氷にとざされて居た。死と。眠りと。永遠の沈黙と」と、その荒涼さを描写した(「冬の情緒」筑摩書房)

▼冬というとどんよりした空や雪に覆われた厳しい世界をイメージしがちだ。道内出身の作家渡辺淳一さんは「十一月の北海道は暗い。寒々として、陰鬱(いんうつ)である」と表現した。理由は「冬への入り口であるからに違いない」と(「十一月の憂鬱」集英社)

▼きょうは立冬。いよいよ長い冬の始まりだ。道内各地ではすでに初雪を観測し、いつもながら季節を先取りしている感がある

▼コロナ禍の今年はいつもと違う日常が待っているのだろう。再び道内で感染が広がる。道は警戒レベルをまたも引き上げるという

▼寒さが増せば、換気をためらってしまう。年末が近づくと例年なら忘年会など人が集まる機会が増える。身を守るには、「密」を避ける工夫が必要だ

▼朔太郎は、厳しい冬だからこそ人の中に暖かさも見た。太古の人々はたき火に集まり、「母の懐中(ふところ)に抱かれて居た、幼き時」を思い、「自然のあらゆる脅威の中から」、孤独なわが身を守ってくれたことに感謝した。そんな記憶を人は受け継いでいるのだという。誰もが暖かさを感じられる冬であってほしいと願う。



立冬(2020年11月7日配信『高知新聞』-「小社会」)

 初冬の穏やかで暖かい春に似た日和が続くころを小春という。お天気博士と呼ばれた故倉嶋厚さんは、11月を「木枯らし、時雨、小春日和を繰り返しながら冬に向かっていく月」と書いた。
 
 明け方の散歩で、そろそろ手袋をしようかと思う寒い朝が増えてきた。県内で猛暑日が観測史上最も多かった8月や、ここ数年の残暑の印象が強いからだろうか。毎朝歩いていると、ついこの前まで暖かかった感覚がある。日本の四季は秋が少し短くなったような…。
 
 南半球では季節のずれを分析した報告がある。豪州の研究機関が今春、1950~60年代と直近20年間の気温を比較。近年は「夏」と設定した気温の日数が半世紀前より1カ月長くなり、「冬」は23日短くなったと発表した。地球温暖化の影響としている。
 
 その温暖化対策への注目が高まりそうな気配がある。大統領選と時を同じくして米国がパリ協定から正式離脱した。化石燃料産業の振興を重く見るトランプ政権の決定だが、民主党バイデン氏は当選すれば復帰するという。
 
 国内では菅首相が脱炭素社会の実現を宣言した。舞台裏では温暖化対策に力を入れるバイデン政権になれば、日本が国際社会で孤立するという読みもあったようだ。ともあれ、本気度を示すのは具体的なプロセスを示してこそだろう。
 
 当面は身の回りでできることからだろうか。いつまでも日本の四季を慈しむためにも。きょうは立冬。
 


冬じたく(2020年11月7日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 庭先に、おなかのあたりが茶色い小鳥が飛んできた。モズだろうか。早いもので、きょうは立冬。冬じたくをせかすように、さかんに高鳴きするこの鳥は、せっかく捕らえた好物のカエルやトカゲを木の枝に刺したまま忘れてしまう

◆この時季、たまに実家に帰ると、母がゆずこしょうを作っていたのを思い出す。ゆずの皮をむいて、青や赤のとうがらしを刻んで…。珍しく父も手伝いに腰を上げて、老いた夫婦の何とも言えないむつまじい光景だった。母が亡くなった秋、冷蔵庫をのぞくと手製のゆずこしょうがたっぷり冷凍してあった。冬へ急ぐ鳥のように、人も忘れものをする

◆エッセイストの酒井順子さんに印象深い一編がある。母親が突然亡くなり、住む人のいなくなった実家で、冷蔵庫を開くとカレーの残りがしまってあった。〈このカレーはおそらく、母親が永遠の外出をする前に、子供に対して残してくれた、最後の「作り置き」なのではないか〉

◆わが家でも実家をまねて、ゆずこしょうを手作りするようになった。いつの間にか、人は同じような道を歩いている。そして忘れもののように、何かを残していく

◆冬の気配を感じる、きょうは「鍋の日」でもある。ちょっと多めに、ゆずこしょうをきかせて、はふはふ…。そんなひとときが余計、かけがえのないものに思えてくる。



鍋に欠かせない白菜や春菊も旬を迎える(2020年11月7日配信『南日本新聞』-「南風録」)

 木枯らしが吹く季節の訪れとともに、福岡の商店街はにわかに活気づく。みずみずしい野菜や大袋に入った肉など鍋料理の具材が並び、呼び込みの声も威勢がいい。

 もつ鍋のイメージが強い福岡だが、水炊きも劣らず人気だ。博多流は鶏がらや手羽先を数時間煮込んだだしが特徴。うまみたっぷりのスープは舌触りもよく、キャベツやネギの味が引き立つ。親戚の集まりやちょっとしたもてなしに重宝されている。

 食通で知られた北大路魯山人は鍋料理を「クツクツと出来立てを食べるのが何よりの楽しみ」と記す(「魯山人の食卓」)。不足しがちな栄養素を取るのにもぴったりだ。野菜に含まれるビタミンCは、免疫を高め風邪予防に一役買うという。

 仲間で鍋を囲めば性格が見え隠れして面白い。作り方をあれこれ指図する“鍋奉行”がいれば、あくをまめに取る“悪代官”、出来上がりを待つだけの“町奉行”もいる。

 とはいえ、昨今のコロナ禍で宴会の大鍋はずいぶん減った。1人用の小鍋で提供する店が増え、座席も3密を避けて広めに間隔を空けている。少々味気なく感じるが、これも新しい生活様式と慣れるしかない。

 魯山人は「楽しみなべ」の名称を好んだ。多種多様な具材を「あれを食べよう、これを食べよう」と思い巡らすのも醍醐味(だいごみ)だろう。きょうは二十四節気の立冬。鍋に欠かせない白菜や春菊も旬を迎える。



冬の訪れ告げる「肱川あらし」 真っ白な霧が川面を流れ 今シーズン初観測(2020年11月7日配信『毎日新聞』)

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今シーズン初めて発生した「肱川(ひじかわ)あらし」と長浜大橋=同市で2020年11月5日、愛媛県大洲市長浜支所提供

 本格的な冬の訪れを告げる気象現象「肱川(ひじかわ)あらし」が5日朝、愛媛県大洲市の肱川流域で今シーズン初めて観測された。真っ白な霧が川面を流れる幻想的な風景が見られた。

 強く冷え込んだ晴れの日の朝、上流部の盆地の冷気が下流部へ吹き出し、肱川の水温と気温の差によって発生した「蒸気霧」が伊予灘へ一気に下るように見える現象。市によると、発生確認は前年より26日遅かった。

 気象条件にもよるが、翌年3月ごろまで見ることができる。





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