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<視点>ハリス氏副大統領就任へ…最強の「ガラスの天井」打破まであと一歩 アメリカ総局長・岩田仲弘(2020年11月8日配信『東京新聞』)

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米国で史上初の女性副大統領になるハリス上院議員(2019年1月、ワシントンで撮影)=AP

◆クリントン氏が敗北宣言で語った「最も高く強固なガラスの天井」

 米大統領選は民主党のバイデン前副大統領(77)が勝ち、カマラ・ハリス上院議員(56)が史上初の女性副大統領に就任する見通しになった。1920年の合衆国憲法修正で女性参政権が認められて今年で100年。これまで女性の政治参画を1つの取材テーマとしてきた。女性にとって「ガラスの天井」がどれだけ強固なのか、知りたかったからだ。

 初めてワシントンに赴任した2008年、共和党大統領候補だった故ジョン・マケイン氏は当時アラスカ州知事だったサラ・ペイリン氏(56)を副大統領候補に選んだ。主要政党の女性副大統領候補としては1984年の民主党の故ジェラルディン・フェラーロ下院議員以来。予想外の起用で話題を呼んだが、マケイン氏はオバマ前大統領(59)に負け、史上初の女性副大統領は実現しなかった。

 16年、外報部の米国担当デスクとして大統領選を担当した時は、ヒラリー・クリントン氏(73)の勝利を確信した。予想は外れ、トランプ大統領(74)が勝ち、当時計画していた「果てしない空へ~ヒラリーの挑戦」という5回続きの連載が幻に終わった。

 クリントン氏は敗北宣言で「最も高く強固なガラスの天井を打ち砕くことはできなかったが、いつか誰かがやってくれるだろう」と望みを託した。

◆「大統領らしさ」は白人男性という先入観

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バイデン、ハリス両氏を祝福するウォーレン氏のツイッター投稿

 そして今年の大統領選。民主党はハリス氏をはじめエリザベス・ウォーレン上院議員(71)ら女性が計6人も候補に名を連ねた。取材を進めると、ガラスの硬さが少しずつ分かってきた。

 女性の権利向上団体が昨年8月に行った世論調査で「あなたは女性の大統領(の誕生)にどの程度期待しているか」との問いに「大変期待している」と答えた有権者は53%に上った。

 しかし、同じ人に「(あなた以外の)米国民はどの程度期待していると思うか」と聞いたところ「大変期待していると思う」と答えた人はわずか16%。「女性候補がトランプ大統領に勝つのは難しい」と答えた人は58%に上った。

 米メディアでは、よく「大統領らしさ」という言葉が用いられる。同団体は、男性ばかりの歴代大統領に大統領らしさを求め、女性は男性の何倍も努力しないと「らしさ」を身に付けられない、といった時代遅れの差別や偏見が有権者に染み付いていると警告した。

 さらに歴代大統領がオバマ氏を除いてみな白人男性であることから「大統領らしさ」には白人男性という先入観もつきまとう。

◆本当はウォーレン氏に投票したいのにバイデン支持?

 ある世論調査会社が昨年6月、民主党支持者に「もし今、候補者選びの予備選が行われたら、あなたは誰を支持するか」と尋ねたところ、トップのバイデン氏が2位のウォーレン氏を13ポイント上回った。

 それが「もし今(自由に大統領を選ぶことができる)『魔法のつえ』があったら、あなたは誰を大統領に選ぶか」と質問すると、ウォーレン氏が逆にバイデン氏を2ポイント上回りトップになった。

 調査結果は「本当はウォーレン氏に投票したいが、他の人たちはバイデン氏に投票するだろうから、自分もバイデン氏を支持する」とあきらめている人が多いことを示したといえる。

◆60代女性の「生きている間に女性大統領が誕生するか」の声

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ワシントンで「立ち上がれ!」の横断幕を掲げて行進するデモ参加者ら=1月、岩田仲弘撮影

 候補者を巡り、具体的にどんな差別があったのか、実態には迫れなかった。だが、民主党で最終的に「トランプ氏に勝てる候補」としてバイデン氏とバーニー・サンダース上院議員(79)が残ったことに「大統領は白人男性」という先入観が影響していた可能性は否定できない。

 今年1月には、サンダース氏がウォーレン氏に「女性は大統領選で勝てない」と述べたと報じられ、波紋が広がった。

 直後に首都ワシントンで開かれたトランプ氏の女性蔑視的な振る舞いに抗議する「ウィメンズ・マーチ(女性大行進)」を取材。若い世代は「ジェンダーは関係ない」という声が多かったが、60代のある女性が「私は保守的な中西部の出身だが、女性は大統領になるべきではないという人はまだ多い。私が生きている間に女性大統領が誕生するかどうか分からない」と打ち明けたのが印象的だった。

◆まだ抵抗の強い社会…早くも4年後を楽しみに

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7日、米デラウェア州ウィルミントンで演説する民主党のハリス上院議員(同氏のツイッターから)

 ウォーレン氏は3月、候補者選びから撤退を表明。その際、選挙戦での性差別について「あったと言えば『泣き言ばかり』、なかったと言えば『どこの星に住んでいるのか』と言われる」とこぼしている。

 バイデン氏がかなり早い時期から副大統領候補には「女性を起用する」と表明したのは、こうした先入観や偏見に対する危機感があったのだろう。

 ハリス氏は7日の演説で、バイデン氏の決断を「大胆だった」と述べた。持ち上げすぎかなとも思ったが、それほどまだ社会に抵抗が強いのかとも感じた。

 ウォーレン氏は撤退する時、「最もつらいのは、私を支援してくれた少女たちがさらに4年、待たなければならないことだ」と声を詰まらせながら語った。ハリス氏は7日、少女たちを「ジョー(バイデン氏)は、頑丈なバリアーを打ち砕いて私を選んだ。ジェンダーなど関係ない。大きな夢を持ってほしい」と励ました。

 4年後の大統領選が早くも楽しみになってきた。 




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