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ハコニワ・ファーム 1個300円の卵で目指す障害者自立(2020年11月10日配信『日刊スポーツ』)

ハコニワ・ファーム(栃木県真岡市)が生産する1個300円の高級卵「茜(あかね)」が人気を呼んでいる。スーパーの卵の10倍以上の価格だが、独特の濃厚な味わいや巧みなブランド戦略でファンを獲得、関連商品を含めた月商は3倍強に伸びた。養鶏作業の8割を障害者が担っており、障害者が農業分野に携わる農福連携のモデルとしても注目を集めそうだ。

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ハコニワ・ファームは鶏を地面を自由に歩ける「平飼い」で飼育している

茜は純国産の鶏の品種「もみじ」が産む赤卵で、赤みがかった黄身が独特のコクを持つ。もともともみじの卵を扱っていたが、2020年4月から餌や飼育法にこだわった高級卵として茜を新たに売り出した。強気の価格設定を同社に提案したのが、のちに共同代表となる経営コンサルタントの與良だいちさんだ。

18年6月設立のハコニワ・ファームは鶏を鶏舎内に放し飼いする「平飼い」を採用、餌や水にもこだわり「卵の品質には自信があった」(共同代表の島田利枝さん)。ただ、マーケティングのノウハウはなく、当初の価格は1個30円。直売所などで販売したものの、月商は100万円に届かない状態が続いていた。

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ハコニワ・ファームは1個300円の高級卵「茜」の販売を伸ばしている

転機は19年末に訪れた。島田さんの相談を受けた與良さんは卵を実際に食べ、「これなら1個300円で売れる」と提案。経営にも参画し、知人800人に個別に試食してもらって定期購入者を獲得したり、コロナ禍で打撃を受けた飲食店に卵かけごはんを新メニューとして提案したりするなど地道な活動を始めた。

濃厚な味に加え、価格も目を引き、取り扱う飲食店は都内や大阪など8店舗に広がり、メディアでの露出も増加。ファンもじわじわと増え、関連商品も含めた月商は300万円強に跳ね上がった。本当に売れるのか半信半疑だった島田さんは「ご褒美感覚で買われている」と驚く。

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1個300円の高級卵「茜」を使ったプリンの販売も始めた

與良さんは生卵だけで収益を伸ばすのは限界があると考え、茜を使ったスイーツの商品開発も進める。まず、11月にプリンを発売し、21年2月にはバレンタインデーに合わせてチョコレートも投入する。販路も自社の電子商取引(EC)サイトのほか、楽天やヤマダデンキのモールに広げる。

11月3日に先行販売したプリンも1個650円と高級路線だが、2日足らずで300個が完売した。茜の引き合いは今後も強まるとみて、ハコニワ・ファームは飼育するもみじを現在の1700羽から21年春までに6割増の2700羽に増やす。いまは茜以外の赤卵も取り扱っているが、将来的にはすべてを高単価の茜に切り替える計画だ。

■農福連携の新たなモデルに

ハコニワ・ファームは養鶏場の運営を障害者の就労を支援するウィングラフィティ(栃木県真岡市)に委託している。養鶏場の業務はヒヨコの飼育に始まり、鶏舎の清掃や卵の回収・洗浄、梱包まで多岐にわたる。現場では知的障害者や身体障害者から難病患者、精神疾患者まで23人が多様な工程で活躍している。

ウィングラフィティは養鶏場の作業を受託していたが、受託先が廃業を決めたため思い切って自ら立ち上げたのがハコニワ・ファームだ。両社を経営する島田さんは「養鶏場は障害の程度に応じ最適な業務を用意できる。健常者にとってきつい職場だが、障害者には理想的だった」と話す。

高級卵「茜」の販売拡大により、ハコニワ・ファームで働く障害者の2020年度の工賃(時給)も950円と19年度比6%上昇する見通し。低工賃に悩む就労継続支援事業者は多い。島田さんと與良さんはグループで働く場も抱えるハコニワ・ファーム方式を農福連携の新たなモデルとして発信しようとしている。

(宇都宮支局 上月直之)




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