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災害時のトイレ計画、6割未策定 感染症で健康被害の恐れ 政令市・特別区調査(2020年11月11日配信『毎日新聞』)

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東日本大震災時、避難所となった宮城県南三陸町立志津川小学校の体育館にある男子トイレ。プールのたまり水をバケツにくみ置きし、便を流していた=2011年3月17日ごろ撮影(同町の写真店主、佐藤信一さん提供)

 全国の20政令市と東京23特別区のうち6割が、内閣府が市区町村に要望する災害発生時の「トイレの確保・管理計画」を策定していないことが、毎日新聞のアンケートで判明した。災害時にインフラが寸断されてトイレが使えなくなると、感染症などで被災者の健康被害を招く恐れがあり、人口が集中する都市部は特にトイレ不足の懸念も浮かぶ。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、将来の災害に備えた対応が急務となっている。

 災害時のトイレ対策は阪神大震災(1995年)を機に注目されるようになった。東日本大震災(2011年)でも上下水道が止まり、水洗トイレが機能しなくなるケースが起きた。避難者がトイレの回数を減らそうと水や食事を控えて「エコノミークラス症候群」を発症したり、不衛生なトイレで感染症を患ったりした。同様の事例は新潟県中越地震(04年)や熊本地震(16年)でも確認された。

 内閣府は東日本大震災などの経験を踏まえ、16年4月に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を策定。災害発生当初は避難者約50人当たり1基▽避難が長期化する場合は約20人当たり1基▽トイレの平均的な使用回数は1日5回――といった目安を示し、都道府県を通じて市区町村に計画の策定が望ましいとする通知を出した。

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東日本大震災時、避難所になった宮城県南三陸町立志津川小学校の体育館には多くの町民らが身を寄せた=2011年3月17日ごろ撮影(同町の写真店主、佐藤信一さん提供)

 今回のアンケートは8月に実施。全43市区から回答を得て、10月まで補足取材した。その結果、災害時の必要トイレ数を試算した上で「計画を策定している」と答えたのは43市区中18市区にとどまった。また、各自治体が想定する最大避難者数に対し、ガイドラインの目安を満たすトイレ(携帯・仮設トイレなど)を確保できているかも尋ねたところ、5割強にあたる23市区が「確保できていない」と答えた。

 一般社団法人「避難所・避難生活学会」代表理事で、石巻赤十字病院(宮城県石巻市)の植田信策副院長は「災害時のトイレ確保は被災者の命だけでなく人間としての尊厳に関わる問題だが、自治体の意識が高まっておらず対策が進んでいない。市区町村は仮設トイレや被災者が使いやすいトイレの備蓄を進め、周辺自治体とも協力して必要数を確保すべきだ」と指摘している。【竹内良和、金森崇之】

■災害時のトイレ計画を「策定済み」とした自治体

▽政令市=さいたま、千葉、横浜、川崎、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、北九州、熊本

▽特別区=墨田、荒川、世田谷、杉並、練馬



世界トイレ機関(2020年11月11日配信『南日本新聞』-「南風録」)

世界のトイレ環境整備を目指すWTOという国際NPOがある。正式名は世界トイレ機関。設立したシンガポールの社会起業家ジャック・シムさんは「トイレは時代と社会の鏡」と訴え奔走している。

 認知度アップのため世界貿易機関と同じ略称で、訴訟を恐れながら付けたとは笑えるが、運動は大真面目だ。自著「トイレは世界を救う」によると、途上国の42億人が安全できれいな環境になく、感染症などで毎日1400人以上の子どもが亡くなっている。

 きのうは日本トイレ協会が定めた「トイレの日」、19日はシムさんが国連に働き掛けて創設した「世界トイレの日」。豊かな水に恵まれ、清潔さで評価の高い日本も、見回せば多くの課題があるのに気付く。

 女性用の数の少なさは文化・商業施設を中心に改善が進んだものの、足腰の弱い高齢者らが使いづらい和式はまだ残る。障害のある人には十分な広さがない。性的少数者への配慮も求められる。

 中でも急を要するのは災害時の備えだ。難を逃れても、水が止まれば自治体の仮設トイレ準備には数日から数十日かかるので、簡易トイレの備蓄が必要になる。感染症対策としても大事だろう。

 シムさんらの試算では、人は一生のうち平均3年間をトイレで過ごすという。途上国の問題はもちろん、生きる上で欠かせない場の充実を考え続けたい。水に流してはいけない話である。





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Author:gogotamu2019
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