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学術会議人事、2年前にも東大の宇野教授を任命拒否 官邸、理由示さず難色(2020年11月14日配信『東京新聞』)

 日本学術会議の会員候補が任命拒否された問題で、6人のうちの1人、東京大の宇野重規教授(53)が2018年10月の会員補充人事でも、官邸側に任命を拒否されていたことが、学術会議関係者の話で分かった。官邸側が特定の候補者を指定し、会議側に繰り返し難色を示していた実態が判明、政治による恣意的な人事介入だとの批判が改めて強まる可能性がある。(望月衣塑子)

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東京大の宇野重規教授

◆宇野氏1位で推薦も官邸は…

 複数の会議関係者によると、同会議の政治学委員会は、18年10月を前に、70歳の学術会議の定年を迎える日本比較政治学会元会長の河田潤一・大阪大名誉教授の後任として、政治思想史の分野で優れた研究や業績を残す宇野氏を推薦することを決めた。

 これに対し、杉田和博官房副長官ら官邸側は候補者を複数示し、順位を付けるよう要望。会議側は1位を宇野氏にして複数候補者を提示したが、官邸側が難色を示したという。

 このため、会議側は選考委員会内で対応を話し合ったが、「理由なく2位の候補には代えられない」として応じなかった。

◆当時も理由の説明なし

 山極寿一・前会長は何度も宇野氏を拒否した理由の開示を求め、杉田副長官との会談を申し込んだが、官邸側からは一切、回答が無かったという。

 6人の任命拒否が明らかになった20年10月の会員の半数改選でも、学術会議は再び会員に宇野氏を推薦した。しかし、山極前会長の任期が終わる直前の9月28日、菅義偉首相は理由を示さないまま、宇野氏だけでなく6人の任命を見送った。

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杉田和博官房副長官

 宇野氏は、19世紀フランスの思想家トクビルの研究で知られ、日本を代表する政治思想史の学者の1人。著書に「保守主義とは何か」「民主主義のつくり方」など多数。サントリー学芸賞などを受賞している。

 「特定秘密保護法案に反対する学者の会」(当時)に参加し13年に廃案を求める声明を出し、15年発足の「安全保障関連法に反対する学者の会」では呼び掛け人になった。宇野氏は18年10月の補充人事について本紙の取材に「特に私として申し上げることはない」と回答した。

 政府側はこれまで「政府方針への反対を理由として任命の判断を行ったものではない」などと答弁している。



【所感全文】任命から除外された宇野重規氏「民主主義の可能性信じる」(2020年10月2日配信『東京新聞』)


 東京新聞朝刊「時代を読む」の筆者で、日本学術会議の新会員に推薦されながら任命を拒否された宇野重規・東大教授(政治思想史)が2日、東京新聞に所感を寄せた。全文は以下の通り。

 このたびの件について、私の思うところを述べさせていただきます。

 まず、日本学術会議によって会員に推薦していただいたことに感謝いたします。日本の学術を代表する方々に認めていただき、これ以上の名誉はありません。心より御礼申し上げます。

 一方、この推薦にもかかわらず、内閣によって会員に任命されなかったことについては、特に申し上げることはありません。私としては、これまでと同様、自らの学問的信念に基づいて研究活動を続けていくつもりです。政治学者として、日々の政治の推移について、学問的立場から発言していくことに変わりはありません。

 民主的社会を支える基盤は多様な言論活動です。かつて自由主義思想家のジョン・スチュアート・ミルは、言論の自由が重要である理由を以下のように説明しています。もし少数派の意見が正しいとすれば、それを抑圧すれば、社会は真理への道を自ら閉ざしたことになります。仮に少数派の意見が間違っているとしても、批判がなければ多数派の意見は教条化し、硬直化してしまいます。

 私は日本の民主主義の可能性を信じることを、自らの学問的信条としています。その信条は今回の件によっていささかも揺らぎません。民主的社会の最大の強みは、批判に開かれ、つねに自らを修正していく能力にあります。その能力がこれからも鍛えられ、発展していくことを確信しています。

 (2020年10月2日 宇野重規)





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