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新型コロナと差別に関する論説(2020年11月20日)

新型コロナと差別(2020年11月20日配信『福井新聞』-「論説」)

公表基準に統一性が必要

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が、自治体が感染者の情報を公表する際の在り方について、国が統一的な方針を示すよう求めた「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ(WG)」の報告書を了承し、公表した。

 公表された情報がもとで差別を招いたり、情報不足が誹謗(ひぼう)中傷や感染拡大につながったりする恐れもある。感染防止に役立ち、個人情報保護に配慮した公表基準づくりが必要だ。

 公表基準に関し、厚生労働省は2月、エボラ出血熱など危険性が高い「1類感染症」が発生した際の公表の基本方針を参考にするよう都道府県などに事務連絡を出した。

 だが、クラスター(感染者集団)の分析を多く行う新型コロナの特性を踏まえておらず、都道府県によって公表範囲にばらつきもあった。感染者の検温結果や濃厚接触者らとの人物関係図を示したり、外部からの要求で詳細な情報を公表せざるを得なかったりした事例もあったという。

 こうしたことから報告書は、自治体が公表するのは「まん延防止に資する情報に限った上で、個人情報保護とバランスを取ることを基本とすべきだ」とし、国に統一的な考え方を示すよう求めた。

 また、企業や学校の従業員や学生が感染した場合、消費者や近隣住民などから「包み隠さず話す」要請が強くなりがちだが、どこまで情報を公表するかは、さらに事例の蓄積と検討が必要としている。

 ただ、規模の小さいコミュニティーが独自に公表する場合は、個人の特定や、性的少数者の本人の了解のない暴露「アウティング」につながりかねないため、性別や年代は原則公表すべきではないと指摘している。

 差別を恐れて受診を控えたり、保健所の調査に協力しなかったりすることで感染が拡大することもある。差別や中傷につながらないよう個人のプライバシーを尊重し、公表範囲についてさらに議論を深めたい。

 WGは多様な関係団体・機関からヒアリングして差別の実態を調べ、今後の取り組みへの提言もまとめた。WGの開催に合わせて実施した全国知事会の調査によると、都道府県の約8割が偏見・差別に関する相談窓口を設置しているが、これまで千件を超す相談があった。提言では今後、会員制交流サイト(SNS)などを活用した相談体制の整備も検討すべきだとしている。

 また、政府には悪質な行為には法的な責任が伴うことを周知するよう求めている。差別的扱いの禁止や人権への留意を盛り込んだ条例の制定も増えつつある。社会にとって差別は有害との共通認識を深めたい。




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Author:gogotamu2019
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