FC2ブログ

記事一覧

(論)イヨマンテ(2020年11月24日配信『愛媛新聞』-「地軸」)

 今週最終回を迎えるNHKの連続テレビ小説「エール」。主人公のモデルである古関裕而作曲、菊田一夫作詞の「イヨマンテの夜」は1950年に大ヒットした。この曲で「イヨマンテ」というアイヌの言葉を知った。アイヌ文化とほとんど無関係の歌詞ではあるが

▲イヨマンテは、クマの姿をして毛皮や肉などをもたらしてくれた神に感謝し、村を挙げて霊魂を神の国に送り返すアイヌの重要な儀式。北海道は「クマを殺す野蛮な行為」として55年から事実上禁止し、撤廃は半世紀以上経た2007年

▲松山市内で上映中の「アイヌモシㇼ」はその儀式を巡り、14歳の少年が自分のよって立つところと向き合う物語。世話をしてきた小グマが長年行われていなかったイヨマンテ復活のために飼育されていると知り、反発する

▲古里を離れたいと望み、友人とロックバンドを組み、かわいがっている動物を逃がそうとするどこにでもいそうな現代の少年。アイヌの文化伝承という複雑な問題に揺さぶられ、葛藤する

▲明治以降、同化政策でサケ漁やアイヌ語などが事実上禁止されてきた。偏見や差別は今もなお。主人公の母親は観光客に日本語が上手だと声を掛けられる。アイヌが理解されていないことを表現したのだろう

▲今年7月、北海道にアイヌをテーマにした国立施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」がオープンした。豊かな文化や苦難の歴史を見つめる一歩にしたい。



キャプチャ

解説
アイヌの血を引く少年の成長を通して現代に生きるアイヌ民族のリアルな姿をみずみずしく描き、第19回トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した人間ドラマ。北海道阿寒湖畔のアイヌコタンで母と暮らす14歳の少年カントは、1年前に父を亡くして以来、アイヌ文化と距離を置くようになっていた。友人と組んだバンドの練習に熱中する日々を送るカントは、中学卒業後は高校進学のため故郷を離れることを決めていた。そんな中、カントの父の友人だったアイヌコタンの中心的人物デボは、カントをキャンプへ連れて行き、自然の中で育まれたアイヌの精神や文化について教え込もうとする。自らもアイヌの血を引く下倉幹人が演技初挑戦にして主演を務め、アイデンティティに揺れる主人公カントを演じた。監督は、前作「リベリアの白い血」が国内外で高く評価された新鋭・福永壮志( 映画.com)。

2020年製作/84分/G/日本・アメリカ・中国合作
配給:太秦




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ