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「忘れてはならない」 ハンセン病療養所・菊池恵楓園に胎児慰霊碑を建立(2020年11月27日配信『毎日新聞』)

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建立された胎児慰霊碑と入所者自治会長の志村康さん(左から3人目)ら=熊本県合志市で2020年11月26日午後2時31分、栗栖由喜撮影

 かつて国の誤った政策で各地のハンセン病療養所に隔離された入所者たちは、パートナーとの間に子どもを授かっても強制的に堕胎させられたり、断種手術を受けさせられたりしていた。全国に13ある国立ハンセン病療養所の一つ、熊本県合志市の「菊池恵楓(けいふう)園」に、堕胎手術で亡くなった胎児らの慰霊碑が建立された。26日の除幕式に参列した同園入所者自治会長の志村康さん(87)は「入所者を虫けらのように扱う人権侵害が行われたことを絶対に忘れてはならない」と語気を強めた。

 1907年公布の「癩(らい)予防ニ関スル件」でハンセン病患者の隔離政策が始まり、31年制定の「癩予防法」(旧法)で本格化。53年制定の「らい予防法」(新法)でも隔離政策は継続され、96年の法律廃止まで維持された。男性患者は断種、女性は堕胎手術などが強制された。

 命を奪われた胎児の中には研究のためホルマリン漬けにされた子もいた。厚生労働省が調査を委託した第三者機関「ハンセン病問題検証会議」が2005年にまとめた報告書で、各地の療養所などに胎児のホルマリン漬け標本が残されていることが判明。菊池恵楓園で標本は見つからなかったが、入所者自治会などの要請を受けた園が胎児標本や堕胎された胎児の記録が残されていないか、調査を進めてきた。

 9月にまとまった調査報告書によると、1920~30年に入所者の女性が出産した生後17日までの男児2人と、妊娠8、9カ月の死産児3人が解剖されていたことが判明。うち25年12月に生後5日で解剖された男児は「死体は解剖して当所に保存あり」との記録があった。しかし、胎児の標本は見つからなかった。

 入所者自治会は、命を奪われた胎児の供養と、断種や堕胎などを強制された入所者の鎮魂、入所者が屈辱を強いられた歴史を風化させないため、園に慰霊碑建立を求めた。碑は、入所者の納骨堂の隣に建てられ、高さ約1・7メートル、幅約90センチ。患者らの無念を今の子どもたちにも伝えるため、入所者たちが作った詩「あなたへ」を添えた。

 志村さんは除幕式後の記者会見で、療養所内で出会った亡き妻との間に授かった子どもを堕胎手術で奪われた体験を振り返った。「妻の妊娠が分かると、園は『手術室が空いている日に手術しよう』と言った。何とか子どもを守りたいと思い、園の外で暮らす母親に相談したが、母は私がハンセン病だということで一家心中を考えており、『ここで出産させるわけにいかない』と断られた」

 志村さんは「療養所の中にいるというだけで堕胎させられた。まるで虫けらのような処分を我々は受けてきた。こういう人権侵害が行われたことを絶対に忘れず、語り継いでいってほしい」と語気を強めた。

 同園の箕田誠司園長は「慰霊碑が少しでも入所者の平安と胎児たちの供養になることを心より願うとともに、この教訓を後世に伝えていきたい」と話した。【栗栖由喜】

菊池恵楓園に建立された胎児慰霊碑に添えられた入所者たちの詩

あなたへ

 

あなたのいのちが やどったとき

わたしは泣いた

 

あのとき たしかに

あなたとわたしは

ひとつのいのちで結ばれていた

できることなら あなたとふたり

朝日の光のなかを

青空のもとを

夕焼けのなかを

手をつなぎ 歩きたかった

 

ひとときではあったけれど

あのとき たしかに

あなたと わたしはともにいた

 

この涙を

光を見ずに 眠り続ける

あなたに捧ぐ




胎児慰霊碑を建立、熊本のハンセン病療養所(2020年11月27日配信『共同通信』)

 熊本県合志市の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」に、旧優生保護法下で堕胎された命を供養する慰霊碑が建立され、26日、園関係者ら16人が参加して除幕式が開かれた。

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菊池恵楓園で開かれた慰霊碑の除幕式。右は入所者自治会の会長志村康さん(26日午後、熊本県合志市)

 納骨堂のそばに設置された慰霊碑は青御影石でつくられ、高さ約2メートル。「あなたへ」と題し、生まれることができなかった子どもへの親の思いをつづった詩が、碑の横のパネルに掲示された。園によると、堕胎は約100件に上ったという。

 式典後、入所者自治会の会長、志村康さん(87)は「人権侵害が行われてきた場所だということを語り継いでいきたい」と述べた。箕田誠司園長は「慰霊目的もあるが、過ちを後世に伝える意味も大きい。強制的に中絶手術を受けさせられ、罪悪感を持っている方の心が少しでも安らげばと思う」と話した。



恵楓園に胎児慰霊碑 ハンセン病堕胎強制「過ち忘れない」(2020年11月27日配信『西日本新聞』)

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慰霊碑の除幕後、記念撮影する入所者自治会の志村康会長(右から2人目)ら=26日午後、熊本県合志市

 熊本県合志市の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」に、旧優生保護法(1948~96年)下で堕胎された命を弔い、過ちを後世に伝える慰霊碑が建立され、26日、園関係者十数人が出席して除幕式が開かれた。

 厚生労働省の第三者機関「ハンセン病問題に関する検証会議」は2005年、療養所5カ所に胎児や新生児の標本が残されていたなどとする報告書を公表。その後、各地の療養所で慰霊碑設置が進められた。

 恵楓園入所者自治会によると、同園では「標本を見た」という入所者の証言はあるが、資料が見つかっていないことなどから設置が見送られていた。しかし、入所者の高齢化を考慮して建立されたという。

 園内の納骨堂そばに建てられた慰霊碑は高さ約2メートル。生まれることができなかった子どもに対する親の思いをつづった「あなたへ」と題した詩が、石碑横のプレートに掲示された。園によると、1953年以降に約100件の強制不妊手術が行われたという。式典後、記者会見した入所者自治会の志村康会長(87)は「人の命が虫けらのように扱われた事実を忘れないでほしい」と強調。箕田誠司園長は「強制的に堕胎させられ、罪悪感を持っている方の心が少しでも安らげばと思う」と述べた。

(綾部庸介)





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