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「弱者」に最もやさしい政党は?参院選公約の生活保護政策を徹底比較(2019年7月19日配信『ダイヤモンドオンライン』)

みわよしこ:フリーランス・ライター
 
「弱者」に最も優しいで政党はどこか。参院選で各党が掲げている、生活保護に関する政策を徹底比較しよう

キャプチャ

参院選の各党の公約はどれほど生活保護に向かっているか

 本記事公開日の2日後にあたる7月21日は、参議院議員通常選挙の投開票日だ。20日までは、期日前投票所でも投票できる。そこで今回は、与野党の公約に見られる生活保護に関する政策を比較したい。

 といっても、生活保護そのものについての記述は多くない。理由の1つとして考えられるのは、「票にならない」ということだ。生活保護で暮らしている人々のうち選挙権を有している人々は、10万のケタで四捨五入を行って切り上げても、約200万人である。

 日本の有権者数をざっくり「約1億人」とすると、生活保護で暮らしているのは、有権者の2%に過ぎないマイノリティだ。障害者もマイノリティだが、生活保護で暮らす人々は、日本の全障害者(約7%)の3割にも満たないマイノリティ中のマイノリティ。そしてしばしば、生活保護で暮らす人々には、障害・難病・性的少数者などのマイノリティ属性が重なっている。政治家にとって、議席を獲得して多数派となることが目的なら、その人々を「票田」と考えることには合理性はないだろう。

 もっとも、生活保護が必要なはずなのに利用していない人々、働いているのに生活保護より苦しい暮らししかできない人々、生活保護の必要性はないけれども介護保険料や就学援助など何らかの形で生活保護政策の影響を受けている人々を合計すれば、おそらく2000万人を超えるであろう。その人々を苦しめている原因を間接的にでも改善する確実な方法は、まず生活保護制度を質量ともに充実させて利用しやすくすることだ。

 しかし、それは誰にでも直感的に理解できることではない。「頭では理解できるけれども、気持ちがどうしても許せない」ということもあり得るだろう。さらに、生活保護だけの問題ではない。生活保護を充実させた上で、他制度の「ツジツマ」を合わせる必要がある。そのためには、財源も必要だ。増税の話を避けて通ることはできない。増税は必ず、誰かの反感を買う。

 今回の各党の政策から浮かび上がってくるのは、そういった状況全体に対する目配りだ。誰に対して、どのように目配りするのか。そこに、各党の特色が現れている。

「社会保障」と「財源」にはいくつかのパターンが見られる

 比較の前に、論点を整理しよう。

 まず、社会保障の3層ネットモデルに注目し、雇用・公的保険・公的扶助のそれぞれの政策に注目する。

(1)雇用政策

(2)公的保険政策(年金、医療、介護、失業給付など)

(3)公的扶助政策(日本では、ほぼ生活保護と児童扶養手当のみ)

 子育て・教育・介護・女性といった課題は、(1)から(3)のいずれとも関係する。今回は、個別の論議にはなるべく踏み込まないことにする。

 問題は財源だ。少なくとも公的保険政策と公的扶助政策に対しては、税による財源確保が必須となる。いわゆる「ワーキング・プア」に対する所得補償、あるいは非正規雇用の正規雇用化に対する企業への助成などを行う場合は、雇用政策にも税財源が必要になる。ここに注目すると、各党が税財源の増加を必要とする範囲が明確になる。

 次いで、社会保障政策のための税財源の確保に注目すると、大きく次の4パターン に区分できる。

(1)消費増税

(2)消費増税以外の増税

(3)その他の財源確保(社会保障以外の支出を減少させるなど)

(4)財源の話はしない

 この観点から、与党2党・野党5党、および少数派ながら無視できない勢力となっている「れいわ新選組」の政策を検討してみた。

「社会保障」と「財源」で各党の公約を徹底比較

 社会保障3層モデルおよび財源に注目して、各党の公約を乱暴に整理し、表にしてみた。

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 社会保障のうち、雇用と社会保険に関しては、ほぼ「自民党+公明党+維新と、それ以外」という図式となっている。

 公的扶助のうち人数で大部分となる生活保護に関しては、言及を見つけるのに苦労する党が多かった。貧困、特に「子どもの貧困」「女性の貧困」といった限定付き「貧困」に関しては、一応いずれの党も言及しているのだが、「解消に向けて努力します」といった内容では、判断材料にならない。

 意外だったのは、野党5党のうち「維新」以外の4党が、必ずしも生活保護制度の拡大や推進に積極的ではなかったことだ。積極的な姿勢を示しているのは、野党5党の中では共産党のみだった。

 次いで財源を見てみると、消費増税については自民党および公明党以外は反対である。反対、あるいは公明党のように「賛成だけど、少しだけ消極的」であるとすれば、他の財源を確保する必要があるだろう。

 法人税に注目すると、グローバル企業または大企業、あるいはその両者が、累進強化をはじめ何らかの形で対象となっている。グローバル企業を主対象として訴求している場合には、「日本企業に嫌われたくない」という意向を読み取る必要があるかもしれない。

大きな政府か、小さな政府か生活保護への関心が高まる期待

 財源に関しては、収入の増大に加えて支出の削減という方向性がある。ここで驚いてしまったのは、社民党および共産党、さらに、れいわ新選組以外は「小さな政府」化を推進する方針であったことだ。

 むろん、公共部門のムダや多重行政はないことが望ましい。しかし、日本はすでに「小さすぎる政府」となってしまっている。公務員は削減され、労働条件も悪化し続ける一方だ。その現状をさらに推進すると、与野党いずれも自党の雇用政策と矛盾するのではないだろうか。「雇用を悪化させます」と堂々と主張している党はないけれども、公務員の雇用を劣化させることは、自動的に日本全体の雇用劣化に波及する可能性が高いだろう。

 2000年代以後の日本は、2回の政権交代を経験した。野党を経験した自民党、および与党を経験した野党の成長と成熟には、目覚ましいものがある。しかし今回の政策を比較すると、「生活保護を充実させるか否か」という議論は、「もう、話題にしても致し方ないではないか」と避けられているかのように見える。

 そして、消費増税を行わない場合の税財源として法人税を語るとき、日本国外に主拠点を置くグローバル企業を対象とした増税が浮上する。私は、「『これなら日本の有権者には嫌われないだろう』ってこと?」と、思わず苦笑してしまった。どの国の企業であれ、日本で活動する以上、日本での適切な納税が求められるはずだ。もちろん、日本の大企業を例外にしてよい理由はない。

 選挙の結果がどうなるかは、いまだわからない。とりあえず、私は自分の判断のもと、投票に行くだろう。結果がどうであれ、政治に向けるべき関心を日常的に向ける人々、確かな自分の判断のもとで政治に参加する人々は、選挙のたびに増えつつあると実感している。

 そういう有権者が増えて、生活保護への関心も緩やかに高まることを期待しつつ、選挙の翌日も、私は今日と同じように仕事と向き合うだろう。



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