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旧優生保護法大阪訴訟 争点は除斥期間の「起算点」 30日に地裁判決(2020年11月28日配信『毎日新聞』) 

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裁判への思いを手話で語る原告の夫婦=大阪府内で2020年11月11日、北村隆夫撮影

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、夫婦と女性の計3人が国に計5500万円の賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁(林潤裁判長)で言い渡される。同種訴訟では、いずれも原告側が敗訴した仙台・東京地裁に続く3例目の司法判断になる。旧法が憲法違反にあたるかや、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が適用されるかが主な争点だ。

訴訟の争点

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 提訴したのは、聴覚障害のある大阪府内の夫(80代)と妻(70代)、知的障害のある近畿地方の女性(77)。訴訟ではまず、妻への手術の有無が争点になった。妻は74年、第1子を帝王切開で出産した際に不妊手術をされたと主張しているが、関連資料や手術の痕が残っていない。

 妻側は術後に無月経になった上、姉も「手術を母から聞いた」と証言。国側は「手術の事実を立証できていない」と反論した。

 手術の事実が認められても、45年以上前の行為について国が賠償責任を負うかが問題になる。民法は権利関係の安定を図るため、不法行為があった時から20年で賠償請求権が消滅すると定め、判例で除斥期間と呼ばれてきた。

 国側は、20年をいつから数えるかの起算点を「手術時」とし、提訴時には除斥期間が過ぎて賠償請求権が消滅したと主張する。

 これに対し、原告側は「甚大な人権侵害が時の経過によって免責されてはならない」と指摘。障害や差別により、裁判を起こすのは不可能だったとして除斥期間を適用しないよう求めている。仮に適用される場合も、坂口力厚生労働相(当時)が2004年、救済策について「今後どうしていくか考えていきたい」と国会で答弁した時点が起算点で、除斥期間は過ぎていないと主張している。

 判決が旧法の違憲性に言及するかも焦点だ。原告側は、子を産み育てるかを意思決定する「リプロダクティブ権」が侵害され、憲法13条に違反するなどと主張。手術を受けていない夫の権利侵害も訴えている。仙台判決は旧法を初めて違憲と判断したが、東京判決は明言しなかった。

 同種訴訟は全国9地裁・地裁支部に起こされ、夫婦が原告になった訴訟では大阪が初判決となる。【伊藤遥】

「救いになる判決を」原告夫婦

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裁判への思いを手話で語る原告の夫婦=大阪府内で2020年11月11日、北村隆夫撮影

 生まれながら耳が聞こえない70代の妻と、3歳の時に聴力を失った80代の夫。子供がほしいという願いは、旧優生保護法に基づく不妊手術で絶たれた。「障害を理由に、子供を産めなくすることを国が許してきた。国による差別だ」。判決を前に、夫婦が手話で思いを語った。

 20代で結婚した。1974年、待望の第1子が生まれる頃、医師から「異常がある」と告げられた。帝王切開したが、赤ちゃんは間もなく亡くなった。高熱が続いていた妻は対面できず、「一目でいいから会いたかった」。夫婦は出産の開腹時に、何も知らされずに不妊手術を強いられたと訴えている。

 2018年以降、他の障害者らが仙台地裁などに提訴する動きを知り、「差別に負けたくない」と原告になった。仙台、東京の両地裁では原告側の敗訴が続き、不安もよぎる。「裁判所は、私たちのつらかった思いを真剣に考えてくれているのだろうか」。同種の訴訟は各地で起きているが、当事者が声を上げやすい世の中にはまだなっていないと感じる。「差別のない社会になるためにも、少しでも救いになる判決になってほしい」と願う。




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Author:gogotamu2019
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