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社内書類、はんこ廃止の波 クボタもパナソニックも(2020年11月28日配信『日本経済新聞』)

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クボタは押印廃止など業務効率化を進める(東京本社)

新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、多くの企業がペーパーレス化を加速している。クボタは2021年春をメドに社内書類での押印を廃止する。パナソニックは一部拠点から契約書のデジタル化を進め、20年中に年7万時間分の作業を省く。紙の書類や押印を求める意識の改革が、労働生産性向上の近道だ。

クボタは社内の通達で使っていた印鑑を人事総務部門から廃止し始めた。来春に向け全社に拡大する。社宅の賃貸契約など外部とやり取りする書類も押印の廃止や電子化を進め、21年にはオフィス部門で450万枚の紙を削減する。

会議の議事録作成でも紙を減らしていく。人工知能(AI)による音声認識技術を使う自動入力システムの導入も検討する。「スピード重視で社内のルール緩和を進めたい」(木村一尋常務執行役員)という。

パナソニックは、法人向けシステムの構築を手掛けるコネクティッドソリューションズ社と傘下の販売子会社の国内拠点で押印削減に取り組む。約3200種類の社内業務のうち、経費精算や設備の購入申請など半数で押印を廃止した。20年中に8割を削減し、年間7万時間の作業を省く。

社外との書類のやり取りでも発注などで電子契約サービスを採用。21年度中に半分にあたる最大9000件を電子署名に切り替える。今後、パナソニック全体でも導入を検討する。

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紙の書類を減らす利点は大きく3つある。まずは業務効率化だ。英製薬グラクソ・スミスクライン(GSK)日本法人は社内の申請書類のほぼ全てを、電子署名かメールで承認する仕組みを導入した。8月からは社外文書に電子署名を一部導入した結果、押印作業が4分の1に減った。

2つ目はコスト削減。納品書や契約書など押印を伴う書類では、郵送費など1通当たり700円前後の費用がかかる。電子契約にすれば約200円に抑えられ、封入や送付などの業務を8割ほど減らせる。

サントリーホールディングス(HD)は22年までに、グループ社員約1万人の業務をペーパーレス化する。社外と結ぶ契約書の作成や、支払いなど一連の業務をオンライン上で完結する仕組みを整え、押印を廃止する。印紙代など年間約3000万円の費用を減らせ、年間でのべ約6万時間を削減できるという。

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3つ目の利点は経営スピードの加速だ。パートナーとなる企業との協業に先立ち秘密保持契約を結ぶ際、紙の書類では郵送や確認などに時間がかかる。電子契約で国内シェア8割を持つ弁護士ドットコムの橘大地取締役は「1カ月ほど待たなければ協業について会議を開けない」と話す。電子化すればこの時間を大幅に短縮できる。

新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が本格化し、押印廃止や契約の電子化に踏み切った企業は少なくない。富士ゼロックスが提供する電子署名サービスの販売件数は7~9月に4~6月の約10倍に伸びた。矢野経済研究所(東京・中野)によると、19年に68億円だった電子契約サービスの国内市場は24年に264億円になる見込みだ。

国内には中堅中小やスタートアップも含め約400万社がある。電子契約サービスを導入している企業はその1割前後とみられ潜在市場は大きい。ニーズを掘り起こすには、民間企業同士の契約だけでなく行政手続きでも法整備が必要になる。

GMOグローバルサイン・ホールディングスは民間企業だけでなく、国や地方自治体のデジタル化を支援するために専門組織を立ち上げている。日本の18年の1時間当たりの労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中21位にとどまる。コロナ禍を奇貨として官民で無駄な業務を省くことが、働き方改革には欠かせない。

電子契約、「立会人」介し手軽に

 対外的な契約書を電子化する方式は大きく2つある。まずは「当事者型」だ。「電子認証局」と呼ばれる民間の第三者が、契約を結ぶA社とB社の担当者に対して本人確認した上で電子証明書を発行する。信頼が高いとされるが証明書の発行に手間がかかり、普及が進んでこなかった。
 もう一つは、電子契約サービス事業者が両社の立会人となる「立会人型」だ。メールアドレスを活用した簡潔な手続きで済むため手軽に導入できる。グローバルでは立会人型が主流だ。国内では弁護士ドットコムの「クラウドサイン」が高いシェアを占めてきたが、5月にNECネッツエスアイと提携した米大手ドキュサインなどとの競争が激化している。
 ただし現行の電子署名法は、複数ある民間サービスのうちどのサービスが国との契約で有効かを定めていない。政府は年内にも関連規則を改正し、使用可能な民間の電子署名サービスを明確にする。備品調達や調査委託などの契約で利用したい考えだ。

(杜師康佑)




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