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旧優生保護法は「極めて非人道的」と違憲判断、強制不妊巡る賠償請求は棄却…大阪地裁(2020年11月30日配信『読売新聞』)

 旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして、障害を抱える近畿地方の70~80歳代の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。林潤裁判長は旧法を憲法違反としたが、賠償請求権は時間の経過で消滅したと判断、3人の請求を棄却した。

 旧法を巡る訴訟は8地裁1支部に起こされ、すでに仙台、東京両地裁で判決が出ている。違憲判断は仙台地裁に続き2例目。一方で、両地裁と同様、この日の判決も損害賠償請求権は20年で消えるとする民法の規定「除斥期間」が原告の壁となった。

 訴状によると、原告のうち知的障害のある女性(77)は1965年頃、母親に連れて行かれた病院で不妊手術を受けたと主張。残る2人は聴覚障害を持つ夫婦で、70歳代の妻が74年に第1子の長女を出産した際、同意なく不妊手術をされたとしていた。

 旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして、障害を抱える近畿地方の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。林潤裁判長は、旧法が「極めて非人道的、差別的」と述べ、憲法違反と判断する一方、時間の経過で賠償請求権は失われたとして3人の請求を棄却した。原告側は控訴を検討している。

 旧法を巡る訴訟の判決は仙台、東京両地裁に次いで3例目。仙台地裁に次ぐ違憲判断となったが、先行の2例と同じく、賠償請求権が不法行為から20年で消えるとする民法の規定「除斥期間」を理由に請求を認めなかった。

 判決によると、原告のうち知的障害のある女性(77)は1965年頃、不妊手術を受けた。他の2人は聴覚障害を持つ70歳代の妻と80歳代の夫で、妻が74年、同意なく不妊手術をされた。

 林裁判長は仙台地裁と同様に、同意のない手術を認めた旧法の規定を幸福追求権を定めた憲法13条違反とした。さらに、規定は「障害者らを合理的根拠なく差別するもの」とし「法の下の平等」を定めた憲法14条にも違反するとの初判断を示した。その上で「手術から20年が経過した後の提訴で賠償請求権は消滅した」と述べた。

 旧法は「不良な子孫の出生防止」を目的に制定。48~96年まで全国で約2万5000人に不妊手術が行われた。

優生保護法訴訟大阪地裁判決に対する声明

 本日、大阪地方裁判所第3民事部は、原告らの請求を棄却するとの判決を言い渡した。
 仙台地裁、東京地裁の判決に続き、司法による被害回復への期待が大きく裏切られる結果となった。
 判決は、優生保護法が子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由及び人がその意思に反して身体への侵襲を受けない自由を侵害し、憲法13条に違反して違憲であるとして、仙台地裁判決に続き、優生保護法が憲法13条に違反することを認めた。当然のこととはいえ評価する。
 また、判決は、優生保護法が障害者に対する合理的根拠のない差別であり憲法14条に違反すると明確に述べた。優生保護法が障害者差別であることは、母体保護法への改正理由であり、明らかではあったが、裁判所の初めての判断であり積極的に評価する。
 しかし、判決は、救済法の立法措置をとることが必要不可欠であり、それが明白であったということはできないとして、立法不作為については国賠法上の違法は認められないと判断した。
 また、判決は、訴えを起こすことができなかった「原告らの心情は、理解できるもの」としながら、形式的に除斥期間を適用し、「提訴の時点で賠償請求できる権利は消滅している」として原告らの請求を棄却した。
 国が原告らに対する人権侵害行為を施策として行ったこと、さらに優生保護法によって「不良な子孫」と認定したことが被害者とその家族を苦しめただけでなく、優生思想を助長する原因となったことに真摯に向き合えば、「心情は理解できる」という口先だけでの配慮で、司法としての役割を放棄することはできなかったはずである。人権救済の最後の砦である裁判所の姿勢として大変残念である。
 今年、兵庫県在住の原告が亡くなった。優生保護法の被害者は高齢であり、早期に法廷での争いを収束し、被害回復を実現させることが必要である。
  弁護団は、引き続き、優生保護法被害者の被害回復のために、そして優生思想を克服し、誰もが等しく個人として尊重される社会を目指し、全力で活動を継続することを決意し、ここに表明する。
2020年11月30日
全国優生保護法被害弁護団
共同代表 新 里 宏 二
同 西 村 武 彦




時の壁また 旧優生保護法訴訟、賠償は認めず 大阪の原告「納得できない」(2020年11月30日配信『毎日新聞』)

キャプチャ
判決後、記者会見する原告の夫婦(手前の2人)=大阪市北区で2020年11月30日午後3時55分、久保玲撮影

 被害者に立ちはだかったのは、またしても「時の壁」だった。旧優生保護法を巡る30日の大阪地裁判決。旧法を違憲と判断する一方、手術から20年以上の経過で賠償請求権が消滅したとして、原告の訴えを退けた。聴覚障害のある大阪府内の夫婦は「裁判所は苦しみや悲しみを分かっているのか。納得できない」と怒りをあらわにした。

旧優生保護法訴訟を巡る各地裁の判断

 午後2時過ぎ、大阪地裁202号法廷。「請求棄却」の主文を手話通訳で知った原告の夫婦は、林潤裁判長が要旨を読み上げると小さくうなずきながらも、険しい表情を崩さなかった。地裁正門前では弁護士が「不当判決」「請求認めず」と書かれた旗を掲げた。

 「知らない間に不妊手術をされ、今でも怒りや悔しさが消えることはない」。判決後に手話で行われた記者会見。妻は胸に強く手を打ち付けて訴えた。

 生まれた時から耳が聞こえなかった妻と、3歳の時に聴力を失った夫は親族の紹介で出会った。互いの印象について、妻は「よく酒を飲み、スポーツができて活発」、夫は「話が面白くて優しい」と振り返る。20代で結婚した。

 第1子を身ごもっていた1974年5月、「おなかの子に異常がある」と医師から告げられた。帝王切開で出産した赤ちゃんは間もなく息を引き取ったが、高熱で入院生活が続いていた妻は、子どもの顔を見ることさえかなわなかった。

 その後、月経がなくなったことを相談した妻に対し、母は「赤ちゃんはもうできない」とだけ言い、口を閉ざした。帝王切開の際に不妊手術をされたことは、後で知った。

 子ができないさみしさを紛らわすように、夫婦は国内外を旅行したり、食事に出かけたりして二人の時間を大切にした。ただ、友人の子どもを見ると、菓子をあげたり、頭をなでたりしてかわいがった。家に戻れば涙を流す妻の姿に、夫は「慰めるしかなかった」という。

 夫婦は手術を受けたことを周囲に話さず、被害を訴える方法も知らなかった。2018年以降、同種訴訟が相次いだことをきっかけに、国策で強制不妊手術が行われたことを知り、提訴を決めた。「子どもを育てて、楽しい家庭を築きたかった」と法廷で訴え、自分たちの辛苦に裁判所が真剣に向き合ったのか見届けようと、判決に臨んだ。

 だが、結論は敗訴だった。記者会見で、夫は身を乗り出すような仕草で「手術されたかどうかを調べる方法もなく、ずっと苦しんできた」と語り、除斥期間の適用には「障害者差別だ」と憤った。

 判決を受け、原告の知的障害の女性(77)の姉も「妹は長い間苦しんできた。請求が認められなかったことは大変残念」というコメントを出した。

 弁護団長を務めた辻川圭乃弁護士は「旧法の差別性を認定し、法の下の平等を定めた憲法14条違反と判断したことは評価したい。ただ、旧法を非道と断じながら、請求を棄却したことには憤りを感じる」と話した。【伊藤遥、藤河匠、榊原愛実】

事実つぶさに洗い出せ

 石松勉・福岡大法科大学院教授(民法)の話 除斥期間のルールを厳格に適用する裁判官の姿勢が見て取れ、20年の経過を理由に国の賠償責任を認めない判断は致し方ない。今後、原告側が勝訴するためには、当事者が抱えていた特段の事情により、除斥期間の適用を制限すべきだとする主張が重要になる。障害や差別によって裁判を起こす権利の行使が阻まれていた事実をつぶさに洗い出し、客観的な立証ができるかが鍵だ。

除斥期間、原告側に酷

 松原洋子・立命館大教授(生命倫理)の話 旧優生保護法は障害を理由に強制的な不妊手術を正当化し、人間の尊厳を侵害した法律で憲法違反との判断は当然だ。ただ、手術当時は国策であり、不当だと訴えることは困難だった。知らない間に受けた手術であれば、被害の認識までに時間がかかる。1996年の法改正時にも人権侵害との認識は広まっておらず、20年の除斥期間を機械的に当てはめるのは原告側にとって酷だ。



「納得できない」怒りあらわ 強制不妊訴訟原告ら会見(2020年11月30日配信『産経新聞』)

 国に賠償を求めた原告の訴えは、またも届くことはなかった。旧優生保護法下の強制不妊手術をめぐる3例目の司法判断となった30日の大阪地裁判決。原告の2人が判決後に大阪市内で記者会見を開き、請求棄却の判断に「20年が過ぎたから賠償請求ができないというのは納得できない」と怒りをあらわにした。

 いずれも聴覚障害のある80代夫と70代妻の原告夫婦は、この日法廷で判決を聞いた。手話通訳を介して主文の内容を理解し、表情をこわばらせた。

 判決などによると、夫婦は昭和49年、病院で胎児に異常があるといわれた。妻は帝王切開の際に、知らぬ間に不妊手術を受けさせられた。胎児は死亡した。

 手術から45年余り。「そのままの体でいさせてほしかった」。妻は会見場の報道陣に悲痛な表情を向けながら、「(旧法は)差別的な法律。もう誰にも(望まない)手術をしてはいけない。(さらに)私たちの訴えを司法の場で考えてもらう機会がほしい。控訴したい」と訴えた。

 夫も「裁判所は私たちの障害を理解しないままではないか。司法アクセスが制限されている私たちに対し、20年を理由に賠償請求権を認めないのは障害者差別だ」と非難した。

 もう一人の原告の女性(77)は、15歳で日本脳炎を患い後遺症で知的障害となり、昭和40年ごろ不妊手術を受けさせられた。この日法廷に姿は見せなかったが、姉が「妹は長い間苦しんだ。請求が認められず大変残念に思う」とのコメントを出した。

 弁護団の辻川圭乃(たまの)弁護士は「戦後の障害者差別を作った」と旧法を批判。「判決が旧法の違憲性を認めるのは当然で、人道的問題があるとしながら、賠償請求を認めない判決には強い憤りを感じる」とした。



厳格適用「除斥期間」の壁高く 例外認めたのはわずか(2020年11月30日配信『産経新聞』)

 旧優生保護法をめぐる国家賠償請求訴訟で3例目となった30日の大阪地裁判決は、仙台、東京と同様、不法行為から20年が経過すれば損害賠償請求権が消滅するという民法の「除斥期間」を厳格に適用し、国の賠償責任を認めなかった。除斥期間の適用を最高裁が認めなかった訴訟は過去2例しかなく、今回も原告側に壁の高さを突きつけた。

 除斥期間の適用から外れた数少ない例に、平成10年の予防接種禍訴訟判決がある。当時義務だった天然痘予防接種を生後5カ月で受け、後遺症で心神喪失となった男性が、接種から20年以上が過ぎた時点で国賠提訴。最高裁は「後見人を選任するまで訴訟能力がなかった。被害者保護が条理にかなう」として男性側逆転勝訴の判決を言い渡した。

 ただ、これまで最高裁が例外を認めたのは、これを含めて2件にすぎない。

 集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎となり、多くの人が国に賠償を求めた訴訟も、除斥期間の起算点が争点となっている。国は賠償請求権を認めなかった慢性肝炎患者にも和解後に給付金を支払っているが、ここでも「20年の壁」は影響しており、発症から20年未満の患者とそうでない患者との間で、給付金に1千万円以上の開きが生じるケースが大半だ。B型肝炎訴訟の大阪弁護団の長野真一郎弁護士は「接種と発症の因果関係を認めながら、20年を理由にした国の主張は理不尽だ」と訴える。

 今年4月に施行された改正民法では、除斥期間を理由に20年で一律に消滅した賠償請求権について、一定の理由があれば時間の経過をリセットする「更新」や「一時停止」が可能となった。

 ただ、改正民法の施行前に20年を過ぎた問題には、さかのぼって適用されない。福岡大法科大学院の石松勉教授(民法)は「強制不妊手術は著しく人格権を侵害した。民法の信義則に基づき、例外的な救済を検討すべきだ」と主張している。(桑村朋)



旧優生保護法「違憲は正しい」東大大学院の市野川教授(2020年11月30日配信『産経新聞』)

 旧優生保護法(昭和23~平成8年)下で不妊手術を強制され、憲法が保障する自己決定権を侵害されたとして、聴覚や知的障害のある70~80代の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は30日、旧法について「極めて非人道的かつ差別的で合理的な根拠はない」として「違憲」と判断した。

 これについて、東京大大学院の市野川容孝(いちのかわ・やすたか)教授(社会学)は「仙台地裁判決と同様、旧法の違憲性を指摘したのは正しい判断と考える」と話す。

 その上で「かつて、気づかない間に原告が不妊手術を受けた点を踏まえると、同じ境遇の人は少なくない。20年よりもはるか前の手術の実施時点を除斥期間の起算点とした判断は、手術の追認、正当化と理解することも可能で、違憲性を認めた判断と矛盾する」と批判。「本人が被害に気づいた時点を起算点とすべきで、賠償額については個々のケースに基づいて決めるべきだった」とした。





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