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(論)農福連携に関する論説(2020年12月1日)

[農福連携] 相互利益、地方の活路に(2020年12月1日配信『南日本新聞』-「社説」)

 農業と福祉をつなぐ「農福連携」の取り組みが広がりを見せている。障害者が生産工程に携わったことを証明する「ノウフクJAS」が日本農林規格に加わり、マークの入った農産物の流通が鹿児島県内でも10月始まった。

 農家は高齢化が進み、担い手不足から耕作放棄地が増えている。福祉の側は障害者の雇用機会が少なく、低賃金という悩みを抱える。農福連携は互いの課題を補う利点がある。

 先行組の多くはプラス効果を認めており、地域再生の起爆剤となる可能性を秘める。消費者も巻き込み、連携の輪を着実に広げたい。

 障害者施設が就労の場として農業に取り組むケースは古くからあったものの、農福連携の言葉が使われるようになったのはここ10年ほどといわれる。農地法改正で企業やNPOが農地を借りて農業に参入できるようになり、福祉事業者も相次いだ。

 農福連携を推進する一般社団法人日本基金(東京)によると、全国での取り組みは2500件程度。2018年度に実施したアンケート調査で、農業者、福祉事業者のそれぞれ7割余りが、5年前に比べて「売り上げが増えた」「賃金・工賃が増えた」と答えた。

 障害者の受け入れに伴い作業工程を見直したことで効率が良くなるなど、副次的な効果がもたらされたとの回答も多数あった。

障害者は体力がついて長い時間働けるようになったり、表情が明るくなったりと心身面での好影響が出ているという。

 さまざまなメリットがあるとはいえまだ福祉事業者による農業参入が中心のようだ。今後は一般の農業法人や農家による障害者の雇用拡大が期待される。

 そのためには障害の特性を理解し、それぞれに適した作業を丁寧に把握する必要がある。

 南大隅町の社会福祉法人白鳩会は約40年前に農事組合法人をつくり、茶や野菜の生産、養豚など大規模な農業経営を手がける。農場を徐々に拡大し、障害者の自立を支援してきた。こうしたノウハウを共有したい。

 経済活動としての継続性も欠かせない。農家が栽培をやめた伝統野菜や、手のかかるオーガニック商品などは有望分野とみられている。ノウフクJASのような消費者にPRする試みを強化していくことも重要だ。

 農福連携の動きは「誰一人取り残さない」という国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念に沿う。国は連携対象を林業や水産業にも広げ、担い手として高齢者や生活困窮者、引きこもり状態の人らを加えていくことも見据える。

 課題を一つ一つクリアしながら可能性の芽を育て、地域共生社会の実現につなげていきたい。




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Author:gogotamu2019
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