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(論)給付金詐欺に関する論説(2020年12月4日)

給付金詐欺 まさか公務員までが(2020年12月4日配信『東京新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策として国が支給する持続化給付金を巡る詐欺事件で、国税局や国立印刷局の職員が逮捕された。不正受給は全国で相次ぎ報告されているが、公務員の関与は言語道断だ。

 愛知県警は2日に東京国税局甲府税務署職員の男(26)を、警視庁は国立印刷局職員の20歳と21歳の男を逮捕した。1日には大阪国税局OBの男(43)も逮捕された。持続化給付金の詐欺容疑では200人以上が既に摘発されたが、国家公務員は初めてだ。大学生らに個人事業者を装わせ、虚偽の確定申告書などで給付金を申請させる手口を指南し、報酬を得た疑いなどが持たれている。

 持続化給付金は新型コロナを受けた緊急経済対策として、前年と比べて5割以上の売り上げ減などの条件を満たせば、個人事業者は100万円、中小企業は200万円を上限に給付される。申請が始まった5月以降、380万件、5兆円が支払われた。一方で不正受給の逮捕者は相次ぎ、軽い気持ちで関わった若者らから「給付金を返還したい」との相談が中小企業庁や警察に殺到した。

 制度設計や審査に甘さがあったことは否めない。これまでに約九千件の申し出があり、総額50億円が返還されたほか、システムの不具合などによる誤給付も5億円に上るという。ただ「特効薬」として迅速な給付、簡易な手続きを優先したことは、コロナ禍を勘案すれば致し方ない面もあろう。

 不正受給は大学生ら若者が目立つのも特徴で、指南役の存在は早くから指摘された。不正の多発を受け、国は審査を厳格化したが、確定申告書の偽造や職業、事業内容、収入の偽装など、手口は意外と単純なようだ。犯罪グループからすれば、一定の税務知識さえあれば100万円、200万円を労せずして手にできたのかもしれない。

 制度の不備に付け入り、税金をだまし取る行為は誰であっても許されないが、国民を挙げ目前の危機を乗り切ろうとしている中、国の行政を担う公務員が手を染めていたのは衝撃的だ。公僕としての倫理観が劣化していないか。国は深刻に受け止めるべきだ。

 国税局の男は百件以上の虚偽申請に関わったとみられている。国立印刷局の男2人は容疑を認め、「社会人として未熟だった」と反省を口にしたという。警察とも連携し、不正受給の調査を続ける中小企業庁は「不正は一人残らず返還させる」と強調している。断固たる決意での追及を求めたい。





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