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新型コロナ感染での嗅覚障害 大規模実態調査へ 厚労省研究班(2020年12月4日配信『NHKニュース』)

新型コロナウイルスに感染することで臭いを感じなくなる嗅覚障害について、症状の広がりや原因などを調べるため、厚生労働省の研究班が、12月から大規模な実態調査を始めることになりました。

調査を行うのは、金沢医科大学の三輪高喜主任教授らで作る厚生労働省の研究班です。

新型コロナウイルスでは、症状の1つとして臭いを感じなくなる嗅覚障害が報告されていますが、国内では、これまで詳しい調査は行われていませんでした。

研究班では、新型コロナウイルスによる嗅覚障害の実態を把握するため、全国の医療機関などで療養中の感染者1000人以上を対象に、嗅覚の機能を評価する検査キットを使って、嗅覚の状態がどう変化するかなどを調べるということです。

さらに、長期間にわたって嗅覚障害などが続くことのストレスなど、精神的な影響についても調査するということです。

新型コロナウイルスによる嗅覚障害の原因としては、通常のかぜでもみられる鼻の粘膜の炎症だけでなく、嗅覚に関わる細胞や臭いを認識する脳の一部が炎症を起こすことなども指摘されています。

研究班では、来年3月をめどに調査結果をまとめ、原因の解明や治療法の開発につなげたいとしています。

研究班の代表を務める金沢医科大学の三輪高喜主任教授は「今回の調査で、どれくらいの患者に後遺症が残るのかや、どれくらい長引くのかなどが詳細に把握できるようになると考えられる。患者は、治らないのではないかという不安を感じていると思うが、有効な治療法を見つけ出し、不安を解消するきっかけにしていきたい」と話しています。

臭いしない生活に悩む患者

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新型コロナウイルスに感染した際の症状は比較的軽くても、後遺症が続く人は多くいます。

このうち、臭いを感じなくなる嗅覚障害が続く人の中には、味も感じにくくなり、生活の質が下がり、精神的に落ち込んでいる人もいます。

ことし8月に新型コロナウイルスに感染した50代の女性は、鼻水と発熱のあと、2、3日たって臭いがしなくなりました。

当時は、軽症と診断されて1週間入院し、その後、検査で陰性になりましたが、4か月近くたった今も、臭いの感覚が戻っていません。

女性は、自宅近くにある耳鼻科を受診したあと、東京都内の大学病院に通うようになりましたが、臭いは元に戻らず、精神的に不安定な状態が続き、耳鳴りがしたり、眠れなくなったりしたため、心療内科も受診するようになりました。

女性は、夫と子どもの支えで、徐々に精神的には落ち着いてきましたが、食事を楽しめないため、一時、体重が10キロほど減ったといいます。

女性は「かかった当時は軽症という診断で、いつか治ると思っていたので、それが心療内科に通うまでに追い詰められるとは思ってもいなかった。絶対に甘く見てはいけない病気だ」と話しています。

また、新型コロナウイルスに感染して回復したあと、4か月近くたっても嗅覚障害が続く20代の男性は、後遺症のため、本格的に仕事に復帰できず、自宅での療養生活を続けています。

男性は、7月下旬に感染した際には、発熱やせき、それにだるさがありましたが、新型コロナウイルスの症状としては軽症とされ、2週間余りにわたって、ホテルで療養しました。

しかし、しばらくして臭いの感覚がないことに気付き、検査で陰性となったあとも、嗅覚障害が続いています。

今でも、味は少し分かるものの、臭いの感覚は、ほとんど戻っておらず、街を歩いていても、大好きな焼き鳥やコーヒーの臭いがわからず、「人生の楽しみを奪われた」と寂しい気持ちになるといいます。

男性は、ことし4月から、東京都内の会社で働き始めたばかりで、ホテルでの療養を終えたあと、9月以降、徐々に職場への出勤回数を増やして復帰を目指していましたが、嗅覚障害に加え、全身のけん怠感や息苦しさも思うように改善せず、今月から、再び自宅での療養を余儀なくされているといいます。

男性は「発症してから1、2か月くらいで治ると思ってたので、気持ちの整理が追いつかず、心身ともに追い込まれた。自分の体の状態をしっかり受け止めて、治療に専念していきたい。コロナによって人生が変わってしまうので、しっかり予防をしてもらいたいです」と話していました。

後遺症の患者を診る診療所では

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東京 渋谷区にある診療所では、新型コロナウイルスの後遺症に悩む患者を対象に診療を行っています。

診療所では、ことし3月、後遺症に悩む患者を診察したのをきっかけに、こうした患者の診療を受け付けていて、1日に50人ほどの患者が訪れたこともあるなど、受診した患者は、これまでに400人を超えるということです。

平畑光一院長によりますと、先月以降に後遺症と診断した患者181人のうち、男性は75人、女性は106人いて、年代別では、10歳未満が2人、10代が10人、20代が30人、30代が47人、40代が60人、50代が24人、60代が8人で、感染した場合の症状が比較的軽いとされる若い世代の人たちも、多く受診しているということです。

患者が訴えている症状で最も多いのは、けん怠感で95.6%、次いで気分の落ち込みが84.7%、思考力の低下が83.5%だということです。

また、息苦しさを訴えたのは70.1%、脱毛が48.8%、臭いがしない嗅覚障害が32.8%、味を感じない味覚障害が21.9%などとしています。

診療所を受診した20代の男性は、7月に新型コロナウイルスに感染した際の症状は、発熱やせきなどで比較的軽かったものの、回復して4か月近くたっても、全身のだるさや息苦しさ、嗅覚障害などの症状が続いているということです。

男性は、院長に症状を詳しく訴え、嗅覚障害を改善するため、食事や栄養の点で気をつけることについて指導を受けていました。

平畑院長は「新型コロナそのものの症状は軽症でも、後遺症が長く続く人はいる。後遺症はいつ治るのかという不安感を抱きやすく、特に嗅覚障害は、食事の楽しみがなくなるなど生活の質が落ちるため、精神的に落ち込みやすい。とにかく医療関係者が丁寧に話を聞いて、患者に寄り添いながら治療を進めることが大事だ」と話しています。

4か月後に27%で後遺症

新型コロナウイルスに感染したあと、回復した人について国立国際医療研究センターが追跡調査した研究では、発症から4か月ほどたった段階で、聞き取りができた63人中、およそ27%に当たる17人になんらかの後遺症があったということです。

複数の症状があった人もいますが、具体的な症状としては、
▽息切れがあったのが7人でおよそ11%、
▽けん怠感と嗅覚の異常がそれぞれ6人でおよそ10%、
▽せきが4人でおよそ6%、
▽味覚障害が1人でおよそ2%でした。

さらに、追加で調査できた58人のうち、ほぼ4分の1に当たる男性9人、女性5人の合わせて14人は、発症から2か月ほどのちに、脱毛症になったということです。

嗅覚障害仕組み どこまで解明

新型コロナウイルスに感染したときの嗅覚障害は、どのような仕組みで起きるのか、はっきりした原因はまだ分かっていません。

新型コロナウイルスに感染して起こる嗅覚障害は、これまでの海外での研究では、調査によってばらつきがあるものの、感染した人の4割から8割に上ると報告されていて、男性よりも女性で多く、アジアよりも欧米で多いということです。

また、症状が出た人の6割から8割は2週間ほどで治る一方で、1か月以上症状が続く人も1割から2割いるとされています。

一方、国内については、国立国際医療研究センターなどの調査で、感染者の15.1%で症状が報告されていますが、詳しい実態はまだ分かっていません。

また、原因についても、詳しくは分かっていません。

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研究班のメンバーの1人で嗅覚の問題に詳しい、東京大学医学部附属病院の上羽瑠美特任講師によりますと、嗅覚障害は、新型コロナウイルスだけでなく、通常のかぜなどでも起きることがあるということです。

仕組みとしては、鼻の粘膜の炎症が原因となる場合や、臭いを感じ取る神経で炎症が起きる場合、それに、嗅球という臭いの情報を処理する脳の一部で炎症が起きる場合などがあるということです。

新型コロナウイルスによる嗅覚障害でも、こうした仕組みがあるとみられています。

上羽特任講師らの研究では、ヒトの鼻の粘膜に新型コロナウイルスが感染する際の足場となる「ACE2」というたんぱく質が存在していることや、鼻の粘膜からウイルスが細胞に入り込むことが確認されているということです。

上羽特任講師は「嗅覚は人間の五感の一つで、欠けてしまうと、QOL=生活の質が阻害される重要な問題だ。今後、新型コロナウイルスが感染して症状を引き起こす機序をさらに細かく研究し、治療のターゲットを見つけていきたい」と話しています。




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