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(論)ホーム転落事故に関する論説(2020年12月6日) 

ホーム転落事故 後絶たぬ原因の分析必要(2020年12月6日配信『毎日新聞』-「社説」)

 またも痛ましいホーム転落事故が起きた。視覚に障害のある60代の男性が東京メトロ東西線の東陽町駅で線路に転落し、電車にはねられて亡くなった。

 ホームドア工事は終わっていたが、来年2月の稼働に向けた調整のためにドアは開いたままだった。駅員は、改札を通る男性が持つ白杖(はくじょう)が見えなかったという。

 駅には工事中であることを知らせる張り紙はあったが、視覚障害者に知らせる対応は取られていなかった。

 事故の翌日、東京メトロは、設置工事を音声で知らせる装置を取り付けた。改札での見守り要員を増員し、ホームドアの稼働も2週間以上前倒しする。東京メトロの全180駅中でホームドアがあるのは143駅で、2025年度末までの全駅設置を目指している。

 大阪メトロも、25年度までに全133駅へのホームドア設置を予定している。東京と同様の音声装置はすでにあるが、今回の事故を受け、自動音声による構内放送もすることにした。

 昨年度に起きた駅ホームからの転落事故は2888件で、このうち視覚障害者は61件に上る。今年に入って4人の視覚障害者が命を落とした。

 全国の約9500駅のうち、ホームドアがあるのは、今年3月時点で858駅で1割に満たない。

 政府は、ホームドアの整備を加速させていく方針だ。しかし、ホームドア設置工事にあたっての配慮を示したガイドラインはない。

 国土交通省は、ホームドアに加え、新技術を活用した転落防止対策の検討会を始めている。無人駅を安全で快適に利用するための指針作りに向けた意見交換も行っている。無人駅では、一層の安全対策とスムーズなサポート体制が必要だ。

 転落事故の原因を解明し、総合的に分析して対策にいかす仕組みはまだない。転落事例をデータベース化している大学の研究成果や、白杖による視覚障害者の一人歩きに詳しい専門家の助言を基にした原因分析は欠かせない。

 コロナ禍で人出が減り、接触へのためらいもあり、乗客などの声かけが少なくなったという視覚障害者もいる。あらゆる手段を尽くして安全な駅を実現してほしい。



障害者転落事故 安心して利用できる駅に(2020年12月6日配信『新潟日報』-「社説」)

 目の不自由な人が駅のホームから転落する事故が後を絶たない。ハード、ソフト両面でのバリアフリー化を進め、悲劇を根絶したい。

 東京都の東京メトロ東西線東陽町駅で11月末、白杖(はくじょう)を持った男性がホームから転落し、電車にはねられ死亡した。亡くなったのは視覚障害のある60代男性とみられる。

 駅の防犯カメラの映像には、ホームを1人で歩いていた男性が、足を踏み外して線路に転落する様子が写っていた。

 駅には転落防止のためのホームドアが設置されていたが、運用開始前でドアは開いていた。

 痛ましい事故に言葉を失う。移動に鉄道を使う視覚障害者は「またか」と不安におびえているのではないか。

 7月には東京都のJR阿佐ケ谷駅でも視覚障害者がホームに転落して死亡した。

 本県でも2年前、JR新潟駅で目が不自由な男性が転落してけがをした例がある。

 国土交通省によると、各地の駅で2014~18年度の5年間、ホームから線路への転落は約1万5千件発生した。過半数を酔客が占めるが、視覚障害者も約370件あった。

 相次ぐ事故を受け、国交省は25年度までにホームドア設置済みの駅の乗り場を全国3千カ所に増やす目標を掲げている。

 全国には鉄道駅が約9500駅、乗り場は約2万カ所あるが、今年3月末時点の設置数は2千弱にとどまる。

 整備には1駅当たり数億円以上かかるとされ、近年は路線の相互乗り入れで車両の扉位置が異なることがネックだった。

 国は、しっかり予算措置して鉄道事業者に導入を促してもらいたい。

 設置が利用者の多い都市部に偏らないように、本県など地方にも目配りする必要がある。

 ハード面での整備は当然だが、ソフト面の対応も怠ってはならない。

 国は、ITや人工知能などの新技術を使い、音声で注意を促すシステムの実証実験もしている。早期の実用化が望まれる。

 懸念されるのは、業務の効率化を図るなどの目的で駅の無人化が進んでいることだ。JR各社によると、無人駅の割合は44~80%に上る。

 ただ、「有人駅の係員と会話するインターホンが分かりづらい」「車いすで無人駅を利用する際は3日前までに予約が必要になる」など、視覚障害者だけでなく、車いすの障害者からも不便さが指摘されている。

 鉄道会社は障害者の声を丁寧に聞き取り、安全性と利便性の確保に当たるべきだ。

 事故防止には、周囲の声掛けも大切にしたい。新型コロナウイルスの感染拡大の影響からか接触を避け、声を掛けてくれる人が減ったとの声も視覚障害者から出ている。

 困っている姿を見掛けたら「何か手伝うことはありませんか」と気軽に尋ね、誘導の方法などを本人に聞いてみる。そんな気配りを忘れずにいたい。



師走、立ち止まる(2020年12月6日配信『琉球新報』-「金口木舌」)

 以前ベビーカーを押している人とすれ違う際、ぶつからないように方向を変えた。近づいたところでベビーカーが急に進路を変え、再び向かい合う状態になった。こちらの動きは見えていただろうと思い、不思議だった

▼先日、新調したベビーカーを押した。道路の状態によってはハンドルがとられ、思うようにまっすぐ押せなかった。「もしかしたら、あの時の人も」と思い出した

▼当方の妻は脳腫瘍と闘病中。2度の手術で腫瘍を取り除いた後、片方の聴力を失い気圧の変化に敏感な体質になった。天候次第でふらつきがあり、まっすぐ歩けない。無意識に行き交う車の方向へ近づくこともあり、声を掛けて気付かせる

▼先月29日、東京都内で視覚障がいのある60代男性がホームから転落し、電車にはねられて亡くなった。転落防止のホームドアは設置されていたが、運用開始前でドアは開いたままだった。男性は白杖(はくじょう)を持って1人で歩いていた

▼翌30日、沖縄県内の観光業者向けのバリアフリーセミナーが国際通りなどであった。参加者はアイマスク姿で点字ブロックが途絶える道や、車いすが1台しか乗れないエレベーターに直面し、困りごとを実感した

▼当事者以外には気付きにくい困難が、足元のあちこちにある。師走の今、何かとせわしいが、立ち止まり声を掛けてみよう。困っている人にできることがある。




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Author:gogotamu2019
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