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逼迫する医療に関する論説(2020年12月9日)

逼迫する医療 国民の不安を受け止めよ(2020年12月9日配信『新潟日報』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染「第3波」で、重症者が最多を更新し、医療現場で人手や病床の不足が深刻化している。

 危機的状況の北海道と大阪府は医療提供体制の崩壊を防ぐため、自衛隊の看護師を派遣するよう政府に要請した。

 医療の逼迫(ひっぱく)に菅義偉首相は「強い危機感を持っている」とする。だが政府、与党は経済対策重視の姿勢が強く、国民の不安を理解しているのか疑問だ。

 政府が新型ウイルス対策で自衛隊の看護師を自治体に送るのは、8月に病床不足に陥った沖縄県以来だ。

 北海道は旭川市の複数の病院で大規模なクラスター(感染者集団)が発生して病床が不足した。市内では大勢の感染者が亡くなっている。

 大阪府では11月下旬以降、1日当たり300~400人台の感染確認が続き、他の疾病患者向け病棟の閉鎖が相次いだ。病床使用率は9割に迫り、看護師が足りない。

 患者急増に伴う看護師不足に加え、離職者が後を絶たない。業務負担の重さからだ。感染リスクと隣り合わせのため、心理的な負荷も高い。

 大阪府の近隣には応援の看護師を派遣する県もある。

 苦境に陥っている地域を支援することは当然だが、懸念されるのは、他の都府県でも地域の医療提供体制にウイルス禍の影響が見えてきたことだ。

 厚生労働省に助言をする専門家組織は先週、「各地で通常の医療との両立が困難になり始めている」と警告した。

 本県でも警察署や小学校などでクラスターが発生し、11月には感染者が100人を超えた。8日には感染者1人が亡くなったと発表された。県内で感染者が死亡するのは初めてだ。

 感染が全国で収束に向かわなければ医療現場の負担は続く。

 気になるのは、政府が経済再生策に軸足を置く姿勢をより強めているように映ることだ。8日には計約30兆6千億円、事業規模で73兆6千億円の新たな経済対策を閣議決定した。

 経済対策には新型ウイルス対策に加え、デジタル、脱炭素化といった菅政権の看板政策推進のための事業が盛り込まれた。

 与党には規模ありきの動きも目立った。ウイルスへの危機感が募っているさなかだけに、違和感が拭えない。

 観光支援事業「Go To トラベル」の来年6月までの延長も盛り込まれた。国民が真に求めていることなのか。

 共同通信社が5、6日に行った世論調査ではトラベル事業を「全国一律に一時停止するべきだ」との回答が48%に上った。

 政府のウイルス対応については55%が「評価しない」と答え、11月の前回調査より12ポイント以上、上昇した。

 政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は「人の動きと接触を短期間に集中して減らすのが必須だ」と指摘している。

 国民は今、何を求めているのか。首相はしっかりと耳を傾け集中的な対策を講じるべきだ。



[新型コロナ・医療体制逼迫] 政府はもっと危機感を(2020年12月9日配信『南日本新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は医療体制が逼迫(ひっぱく)する大阪府や北海道旭川市に自衛隊の看護師を派遣する。全国知事会も鹿児島などから大阪府に看護師を順次派遣する。

 感染拡大の「第3波」で全国的に重症者が急増し、医療現場は病床や人手の不足が深刻になっている。国民の命を守れるかどうかの正念場である。

 政府は追加経済対策を閣議決定した。医療機関への支援を急ぐとともに、観光支援事業「Go To トラベル」を一時停止するなど重大な危機感を持って対応すべきである。

 重症者が全国で500人を超える状況が続き、病床使用率も高くなっている。厚生労働省の2日時点のまとめでは、政府の対策分科会がステージ3(感染急増)の指標の一つとする「25%以上」が18都道府県に上る。

 さらに、病床を増やしたくても看護師ら必要な医療スタッフを確保できなくなっている。重症患者らは人工心肺装置「ECMO(エクモ)」や人工呼吸器を付けており、1人に対して何人もの医師や看護師らが24時間態勢で対応しなければならない。

 感染リスクや重い業務負担から医療従事者の離職が相次ぐ病院もある。このままでは患者受け入れが困難になり、重症化リスクのある高齢者らの命に直結しかねず、通常の医療も立ちゆかなくなる恐れがある。自衛隊の看護師派遣が、こうした状況を改善する決め手になるのかどうか見通せない。

 病床や看護師らの不足を招いたのは、政府の対策が後手に回ったからだ。政府は冬場のインフルエンザと同時流行する事態を見据え、医療体制の整備に取り組む考えを示したが、十分な準備ができていたとは言えまい。

 共同通信社の今月初旬の世論調査では、経済活動より感染防止を優先すべきだとする回答が76.2%に上った。一部地域が除外されたGoToトラベルについては半数近くが全国一律に一時停止すべきだと答えている。

 政府はGoToトラベルを来年6月末をめどに延長する方針だが、経済活動と感染防止の両立はもはや限界と言えるだろう。国民のコロナに対する危機意識をしっかりと受け止め、制度を適宜見直すべきである。

 追加経済対策は雇用調整助成金の特例措置を現行水準のまま来年2月まで延ばす。また、医療機関向けの「緊急包括支援交付金」を増額し、病床確保などを支援する。

 一方、菅政権の看板政策である脱炭素化やデジタル化推進の経費なども盛り込まれた。だが、医療体制維持など急を要する政策に絞り込むべきではないか。コロナ禍を乗り切るためには迅速で効率的な予算執行が不可欠だ。




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