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「死のうと思ってはダメだ」 あしなが20万円緊急給付の決断と学生たちの悲鳴(2020年12月12日配信『AERA.com』)

石臥薫子

 コロナ禍の収入減は子どもの教育費にも影響を及ぼしている。AERA 2020年12月14日号で、親と学生たちが苦しい胸の内を明かす。

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「あしなが育英会」の創設者で、85歳と高齢の玉井義臣会長は、スタッフに体を支えられながら会見場に現れた。そして振り絞るような声でこう訴えた。

「コロナで自殺者が増えているが、あしながからは絶対に出さない。生活についてはとことん面倒を見る。死のうなんて思ってはダメだということを、はっきりと子どもたち、お母さんたちに伝えたい」

■1人20万円を緊急給付

 親を亡くしたり、親が重度障害を持つなどする子どもを支援するあしなが育英会は、11月30日、全奨学生7612人に「年越し緊急支援金」20万円、総額15億円を給付すると発表した。春に実施した1人15万円、総額10億円の給付に続く措置だ。

 あしなが育英会は毎年、春と秋の街頭募金で2億円近くを集め、リーフレットを配るなどして支援者を増やしてきた。だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に配慮し街頭募金を断念。一方で奨学金申請者は急増しており、今回の給付には積立金の一部を取り崩す覚悟で臨む。

「寒さで震えている子どもがいれば、まず自らの上着を脱いで掛けてあげる。それがあしなが運動の歴史です。捨て身の支援を行えば協力してくれる人が現れると信じています」(同会広報)

 この決断を促したのは、10月末から11月初めに実施したアンケートに寄せられた悲痛な声だ。保護者と高校生・大学生の計6241人が回答した。保護者からは「収入が減った」という回答が3割。8割近くは手取り月収が20万円未満で、6割が「食事の回数を減らしたり親が食べるものを減らすなどして食費を抑えている」と答えた。

 会見に同席した母親は、Go Toトラベルキャンペーンを引き合いにこう訴えた。

「あしなが奨学生の家庭で旅行に行ける人はいません。旅行に行ける家庭に税金を使うのではなく、本当に困っている家庭を助けてほしい」

 大学生では食事や交通費などを節約しているという回答や、「ふさぎ込むことが増えた」といった回答が目立ち、経済的にも精神的にも追い詰められている様子がうかがえる。

 日本学生支援機構の調査によると、一般の大学生の収入は年間200万円。うち、親からの仕送りは6割を占めるが、あしなが育英会から奨学金を受ける一人暮らしの大学生の7割以上が親から仕送りを受けていない。以前から過酷なアルバイトに従事する学生が多かったが、アンケートでは回答者の半数が1月に比べてバイト代が「減った」「なくなった」と回答した。

「ホテルのフロントで週2回、夜10時から翌朝8時までの深夜勤務をしていました。でも、体調を崩して1月に辞めてしまい、以来、次が見つかりません」

 そう話すのは、あしなが奨学生で佐賀大学3年生の石王丸貴士(いしおうまるたかし)さんだ。高校2年生の時に父を病気で亡くした。母は市役所の非常勤職員で年収は160万円。大学の授業料全額免除を受け、月7万円の奨学金(4万円は貸与、3万円は給付)と、8万円ほどのバイト代でやりくりしてきた。この春、妹が私立大に進学。母は将来の返済負担を心配し、妹に奨学金を借りさせなかった。石王丸さんは「母や妹を支えなくては」という思いでバイトを再開しようとした。一時は退学し就職することも考え、精神的に落ち込んだが、就活に向けて気持ちを立て直した。

「面接用のウェブカメラもわずかな貯金で買いました。卒業すればすぐに月々1万5千円の奨学金返済も始まる。返還して後輩遺児に利用してもらうためにも、なんとかして就職したい」

(編集部・石臥薫子)

※AERA 2020年12月14日号より抜粋




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