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女性の貧困・自殺者が急増!政治に求めるリアルな声と「日本死ね」の叫び(2020年12月13日配信『週刊女性PRIME [』)

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写真はイメージです© 週刊女性PRIME 写真はイメージです

 涙なくして視ることはできなかった。

 単身で働く女友達の何人かは、つらくて見続けることができず、途中でテレビを消したという。

女性の自殺者が昨年同月比で82.6%増

 12月5日に放映されたNHKスペシャル『コロナ危機 女性にいま何が』だ。番組が終了したあとも、登場した女性たちの言葉が胸に刺さって、うずくまりたいほどの痛みと、そして国に対する激しい怒りで眠れなかった。

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 私は『つくろい東京ファンド』という生活困窮者の支援団体でボランティアスタッフをしている。ホームレス状態の人たちを福祉に繋げ、一緒にアパート探しをしたり、生活上のよろずお手伝いをするのが仕事だ。

 4月、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、東京都で休業要請が発令され、それまでネットカフェで寝泊まりしていた若い人たちが一斉に行き場を失った。そんな人達の「助けて!!」に応え、私たちはもう8か月も都内や近隣県を駆け回っている。

 その様子の一端を、フリーライターの和田靜香さんが『新型コロナ福祉のダークサイド、ネットカフェ難民が追いやられた「本当の行き先」』、『東京都「ネットカフェ難民」のホテル提供を出し惜しみ、消えた3349人の行方』という記事にしてくれ、大きな反響を呼んだ。

 2008年のリーマンショック時に仕事と家(寮)を失った人たちは、製造業に勤める「景気の調整弁」とも表される非正規の人たちで、男性が圧倒的に多かった。

 しかし、コロナはまったく別の業種に壊滅的なダメージを与える。

 それは女性の働き手が圧倒的に多い、ホテルや飲食、サービス業だ。リーマンショックの一時的な不景気と異なり、まったく終息の兆しが見えない長い長いスパンで、彼女たちに打撃を与え続けている現実。公的な貸付や給付金を受けながら、なんとか持ちこたえていた人たちも力尽きはじめている。事態はよくなるどころか、コロナが長引けば長引くほど悪化していき、特に女性の置かれている状況は深刻だ。

 その深刻さを裏打ちするのが、今年10月の自殺者数2153人。うち女性の自殺者数は851人なのだが、去年同月比でみると、なんと82.6%増だ。ただただ、呆然とする。

コロナ禍で見た若い女性のリアル

 ネットカフェで寝泊まりしながら働く人たちは、おもに10代~40代の年齢層で、男女に関わらず、もともとギリギリの生活を強いられている人たちだった。就労形態はほとんどが派遣や非正規、そしてアルバイト。一生懸命働いても、月々の平均月収は11万4000円。どんなに頑張っても、アパートの初期費用を貯めることは難しい。もちろん、援助してくれる親などいない。

 コロナ禍の東京で出会った二十歳そこそこの若い女性たちが「もう死ぬしかないと思った」「久しぶりにシャワーを浴びたい。髪を洗いたい」「甘いジュースなんて久し振り」「駅前のベンチで荷物を抱きしめながらふた晩過ごした」などと話す。

 10年以上の歳月をネットカフェや24時間営業のファストフード店で眠るうちに、身分証から所持品のほとんどを盗まれ、自分が自分であることを証明する手段の一切を失くした女性もいる。ネットカフェのパソコンで、腎臓を売るルートを検索していた若い女性もいる。毛羽立ち茶色く汚れたマスクをつけて、「生活保護は受けたくない」と歌舞伎町に消えて行った若い女性もいる。汚れたマスクを外してアイスコーヒーを飲むとき、虫歯で溶けて形を成していない前歯が斜めに並んでいるのが見えた。

 これが、私がコロナ禍の8か月間に見てきた若い女性たちのリアルだ。こんなに若い人たちをそこまで追い詰め、放置している社会や国に怒りを覚えるとともに、頑張ればある程度は報われる時代を生き、現状を作ってきてしまった一人として後ろめたさを感じ続けている。

 女性は男性よりも給与が少ないだけでなく、年金も少ない。単身だったり、夫に先立たれたりしていたら、その後の生活維持は困難になる。だから定年はとうに超えた年齢層の女性たちが働き続けているのをあちこちで目にする。底冷えする真冬の道路工事現場で80過ぎと思しき女性警備員が小さい身体にダブついたユニフォームを着て、白い息を吐きながら交通整理をしているのを見かけたりすると、私は何だか無性に悲しくなってしまい、うつむいて足早に通り過ぎる。働くのが好きなのかもしれない。でも、本当にそうなのだろうか?

 若ければ稼げるかといえば、そうでもない。コロナで失職した女性が生きていく術として風俗を選んだ。その女性がNHKのテレビカメラの前で申告した日給は5,000円。

 私たちは、いつまで、どこまで身を削って自助でやっていかなくてはいけないのだろう。

今さらだが「日本死ね」だ

 私自身、3年前にフルタイムのボランティアとなって労働収入がなくなったときに、少ない貯金を切り崩す日々に不安を覚え、求人情報を検索したことがある。

 その昔、工業系専門の通訳として働いていた経験を活かすべく、大手人材派遣会社の求人サイトを覗いてみると、通訳の時給も大暴落している。かつては時給5,000円以上だった仕事が2,000円ほどに。そして、専門的技能であるはずの通訳に時給1,300円という値がついているものまで発見したときには、その値崩れぶりに絶句した。それでも、この不景気だ、贅沢はいうまいと思うことにした。

「英語」「通訳」と条件を打ち込むと、三桁もの求人にヒットした。さすがは東京である。ホッと安堵しながら年齢を入れたら、いきなり求人数がゼロになった。一瞬、パソコンが不具合を起こしたのかと思った。何度目かのゼロを確かめたあと、笑いがこみあげた。気分的にはジョーカーみたいな笑い方をしたかったが、鼻息みたいな笑いしか出なかった。

 この国では、50過ぎたら働くことも許されないのか? 今さらだが、「日本死ね」である。

 前首相が「今の日本で最も生かしきれていない人材は女性だ。閉そく感の漂う日本を再び成長軌道に乗せる原動力だ」とのたまい、2013年に成長戦略の一つとして女性活躍推進を掲げ、二年後の2015年には女性活躍推進法が成立している。その結果、女性の雇用は進んだが、その約7割が不安定な非正規雇用だという現実。

 前首相の原稿を読む言葉がうわすべりして白々しく聞こえる原因は、彼の滑舌の悪さ以前に実態が伴っていないからではないか。形ばかりの「女性の活躍」をあざ笑うかのように、新型コロナは女性たちを直撃した。活躍どころかあっさりと切り捨てられた女性たちは、国や企業側に都合の良い「調整弁」でしかないことが証明されたわけだが、女性にとってはまさに生き死にに関わる一大事だ。冗談じゃない。

 私たちは限界だ。だから、どうか政治に変わってほしい。

 なりふりかまわず働いて、文句も言わずにポジティブ思考で頑張っても、生活はラクにはならず、コロナがとどめを刺してくる。だけど、それはあなたや私のせいではない。もちろん、ほかの誰より苦しい生活を強いられている外国人労働者のせいでもない。

 自分を家族を犠牲にしてもいけない。死んでもいけない。更に脆弱な状況下にある人たちを叩いてもいけない。政治は一夜にして変わらないが、生き延びるためには、どうしたらいいのか?

 それはズバリ、公助だ。

 苦しんでいる人たちは、是非、生活保護を利用してほしい。生活保護は恩恵でも恥でもないんです。これまで私たちが身を粉にして働いて払ってきた税金や、買い物などで納められた消費税などであるのだから、困ったときには貯金を下ろすように利用したっていい。

 令和2年10月26日、新しい首相に就任した菅総理は、その所信表明演説の最後にこう述べた。

「私が目指す社会像は、“自助・共助・公助”そして“絆”です。自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う。その上で、政府がセーフティネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します」

 私たちは十分に自分の力で頑張った。家族や地域で助け合うことも精一杯やってきて、まさに刀折れ矢尽きた状態にある。

 菅総理に言いたい。成熟した社会とは、まず充実した公助があって、その次に共助、自助なのではないのだろうか?

 12月10日、11月の自殺者数が発表された。その数、1798人。去昨年同月比で11.3%増(全体)だ。去年より増えるのはこれで5か月連続となる。そのすべてがコロナの影響かどうかはまだ分からないが、無関係とも到底思えない。

 政治、政策の力で、女性の貧困を食い止め、そして自殺者を出さない国にしてほしいと切に願う。言うまでもないが、男性もだ。

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小林美穂子(こばやしみほこ) 1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を11月に出版。



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「ステイホーム」する家がない――。コロナ禍による派遣切りに遭い、ネットカフェなど拠り所を失い、追い詰められ、助けを求める人たち。対する行政の「水際作戦」の横行。緊急事態宣言発出日以降の支援者の日記から浮かび上がる、福祉の貧困と、それに抗い、つながる人たち。この社会の実態を突きつける貴重なドキュメント。

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