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「姉ちゃんに何が分かるんや!」顔を真っ赤にして怒った高校教諭、過労自殺(2020年12月15日配信『読売新聞』)

 過労自殺した和歌山の県立高校教諭(当時32歳)の遺族が和歌山市で行われた「過労死等防止対策推進シンポジウム」(厚生労働省主催)で講演し、思いを語った。シンポジウムは4日に開かれ、集まった約70人を前に、遺族は「仕事に命をとられてしまう人が一人でもいてはならない」と訴えた。(平野真由)

 講演をしたのは、亡くなった九堀(くぼり)寛さんの姉で県内在住の瀬川祥子さん(44)。講演の依頼を受け、「自分の体験が多くの人の気付きになる」と、初めて公の場で話すことを決めたという。

 九堀さんが亡くなったのは、2009年10月下旬。その日の朝、九堀さんと同居していた両親から「寛が帰ってこない」と瀬川さんに連絡があり、昼になって周辺を捜していた両親が、実家近くで亡くなっている九堀さんを発見した。

 振り返れば、仕事の悩みを口にすることがたびたびあった。生物教師で野球経験もあった九堀さんは、当時、通常の授業のほかに、野球部監督として部の運営を一手に引き受けていた。ある時、九堀さんが、「部活が大変だ。僕は間違ったことをしていないのに」とこぼした。聞いていた瀬川さんが「でも、好きでやってる仕事なんやから」と励ますと、「姉ちゃんに何が分かるんや!」と顔を真っ赤にして怒ったという。

 自殺を選んだ理由が仕事なら、しっかり調べて真実を明らかにしてやりたい――。「一緒に住んでいたのに気付いてやれなかった」と憔悴(しょうすい)する両親に代わり、瀬川さんは九堀さんの同僚や部活関係者への聞き取りを始めた。

 教科指導や生徒への生活指導のほかに、渉外、会計、遠征時の運転手までをこなさなければならなかった部活動の運営、そして部員やその親とのトラブル……。九堀さんの残した「野球練習ノート」には、毎日の練習時間や内容、生徒の反応などが事細かに記録されていた。勤務実態を明らかにする書類を集めるのに時間がかかったが、昨年9月、ようやく過労による公務災害と認定された。

 講演で瀬川さんは、時折声を詰まらせながら、「弟は教師としてのプライドを持って一生懸命に働いていたのに、責任を全て押しつけられてしまった」と悔しさをにじませ、「過労死は働いている組織に問題があるから起こる。精神的に追い詰められてしまうと、普段は何でもないようなことを引き金に自死を選んでしまう。私たち一人一人が意識して労働者としての権利を守っていくことが大切だ」と訴えた。

 シンポは11月の「過労死等防止啓発月間」に合わせて全国で開催。和歌山労働局によると、中小企業の多い県内では、一般労働者の所定内労働時間数が全国平均に比べて長く、年次有給休暇の取得率は全国平均の52・4%に対し、32・7%にとどまっているという。 また、県教育委員会によると、19年11月に調査した県立学校教員の1週間の総勤務時間の平均は、県の公務員の勤務時間に関する条例で規定されている38時間45分を約9時間上回っており、さらに今年は、新型コロナウイルスの対応もあり、教員の負担は増えているという。





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