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高橋まつりさんの母、あの悲しみから5年で伝えたいこと 「風化させないで」 電通社員の過労自殺(2020年12月24日配信『東京新聞』)

 広告大手電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が、長時間労働やパワハラに苦しんで自殺してから25日で5年。母の幸美さん(57)が本紙の取材に応じ「過労死はなくなっていない。風化させないでほしい」と訴えた。娘を失った悲しみは今も変わらない。それでも「遺族の沈黙は新たな犠牲を生む」と各地で講演活動を続ける。(竹谷直子)

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娘の高橋まつりさんを「思い出さない日はない」と語る母親の幸美さん=静岡県の自宅で

◆電通の違法残業事件 2015年12月25日に電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺し、16年に労災認定された。電通は17年、高橋さんら従業員4人に違法残業をさせたとして労働基準法違反罪で罰金50万円の判決を受けた。長時間労働をはじめとする労働慣行を見直すきっかけとなり、残業の上限規制を盛り込んだ働き方改革関連法が18年に成立した。

◆幼い時のパジャマやぬいぐるみは部屋でそのまま

 静岡県内の自宅には、まつりさんが生前使っていた物が残る。部屋中に笑顔の写真が飾られ、小学生の時のパジャマや弟がプレゼントしたぬいぐるみ、ベッドもそのままだ。「娘の香りがまだ残っているかもしれない。そんなことを思ってしまう」と目を伏せた。

 まつりさんは誰とでも仲良くなれる、物おじしない性格で「本当に明るい子だった」。小さいころから「大きくなったら困っている人を助けたい」と夢を語っていた。母子家庭で金銭的な余裕がない中、地元の私立中高一貫校に特待生として入学し、自学自習で東京大に現役合格。中国への国費留学生にも選ばれた。いつも幸美さんや弟と「親子3人で幸せになろうね」と語っていた。

◆「しぬ。もう無理そう」の異変

 5年前の10月、異変に気付いた。弱音を吐くことのなかったまつりさんが「もう辞めたい」と上京した幸美さんに漏らした。12月には「眠い、眠い」と繰り返した。会員制交流サイト(SNS)には「もう(午前)4時だ 体が震えるよ… しぬ もう無理そう。疲れた」と記していた。

 それから5年。幸美さんは「娘を思い出さない日はない。つらいつらい毎日だった。娘という希望がなくなったのによくここまで生きられた」と振り返る。過労死が根絶されていないことも「悔しくてつらい」。一時は「娘の命の犠牲で意識が大きく変わり、このまま過労死がなくなるのではないか」と期待した。

◆増え続ける過労死「国が本気で取り組んで」

 だが、警察庁によると、仕事が原因の自殺は昨年は1949人。2019年度版の過労死等防止対策白書によれば、自殺者のうち勤務問題を原因の1つとする割合は増え続けている。非正規雇用の増加や残業なしでは生計を立てられない日本の現状にも、幸美さんは「他国は改善できている。国が本気で取り組めばできる」と憤る。

 公立小学校で働きながら全国へ講演に出掛ける。娘の死を語り続ける精神的負担は大きい。「亡くなった時を思い返すと毎回、涙が出る」。その一方で「過労に苦しむ人やこれから社会に出る若者に、我慢しないで、逃げなきゃいけないと1人でも多くの人に気付いてほしい」と話した。




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