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(論)出自知る権利 議論尽くし法制化を図れ(2020年12月28日配信『新潟日報』-「社説」

 子どもが「生まれてきてよかった」と肯定的に受け止められるように、「出自を知る権利」を含めた法整備を進めたい。

 第三者から卵子や精子の提供を受けた生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を明確にする民法の特例法が、先の国会で議員立法で提出され成立した。

 特例法は、女性が自分以外の卵子を使って出産した場合、卵子の提供者ではなく、出産した女性を母親とすると定めた。

 妻が夫の同意を得て、夫以外の男性から精子を提供してもらい出産した場合は、夫を父親とするとした。

 医学が進歩し、不妊治療の選択肢として、生殖補助医療で子どもを産む例は増えている。

 ところが、親子関係に関する民法の条文は、明治時代から引き継がれ、生殖補助医療による出産を想定していない。

 このため役所で出生届が受理されずに訴訟で争われたことも少なくなかった。親子関係を巡りトラブルも生じていた。

 法により親子関係を明確にすることを求める声が強まっていた状況を踏まえれば、必要な措置といえる。

 特例法は、問題提起から成立するまでに20年かかった。

 旧厚生省の専門委員会は2000年に生殖補助医療を一定の条件で容認し、親子関係の法整備が必要とする報告書をまとめたが、これまで国会での議論が深まることはなかった。

 今回は、自民党の野田聖子幹事長代行ら超党派の議員が法制化を進めた。野田氏は第三者から卵子提供を受けて出産した当事者でもある。

 特例法の制定は一定の前進といえよう。

 しかし、賛否が分かれる課題は先送りされ、その一つである子が精子や卵子の提供者を知る「出自を知る権利」に関しては手をつけずに終わった。

 民法では、出自を知る権利は保障されておらず、子が出自を知ろうとしても提供者の個人情報の保存、管理などの環境は整っていない。

 育てる側には、知らないままでいいと考える人もいるかもしれない。だが、事実が分からずに、精神的に不安定になる子どもは少なくない。

 13歳の時に提供精子で授かっと親から告知された女性は「誠実に向き合って話をしてくれたからこそ、望まれて生きていることが自覚できている」と国会議員の会合で話した。

 「自分自身と向き合う時に必要とするならば、情報は提供されるべきだ」とも語った。この思いを受け止めたい。

 提供者の情報を巡っては、開示の範囲や時期、方法など多くの論点がある。議論をしっかり積み上げねばならない。

 特例法では、卵子や精子の売買やあっせんに関する規制も盛り込まれなかった。

 先送りとなった課題については、超党派の議員連盟が2年後の結論の取りまとめを目指す。

 子どもの福祉を最優先に、親子の幸せにつながる法整備を図るべきだ。




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