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(論)育児休暇に関する論説(2020年12月30日・2021年4月15日)

育休取得100%へ(2021年4月16日配信『福島民報』-「あぶくま抄」)

 南極大陸に生息するコウテイペンギンは、五月から産卵期を迎える。雌は卵を産むと、自らの体力回復と家族のために餌を求めて海に向かう。卵を温めるのは雄の役目で、足の上に乗せ、雌の帰りを待つ。

 極寒の大陸は時に、気温が氷点下六〇度まで下がる。雄は約二カ月間、飲まず食わずで卵を守り、体重は三分の一まで減ることもあるという(長沢信城著「『あっ!』と驚く動物の子育て」)。雌が戻るころにひながかえり、わが子を育てるため、今度は雄も餌を取りに出掛ける。

 人の世は制度を設けて、夫婦そろって子育てできる環境づくりを目指している。国は子どもの誕生から八週間の間に夫が取れる「男性版産休」を新たに取り入れる。県は男性職員の育児休業取得率を二〇二五(令和七)年度までに、これまでの10%から100%に上げる目標を掲げた。それでも仕事と育児の両立は苦労が多い。

 コウテイペンギンの巣では、両親が餌を探しに出払い、残されたひなたちは、互いに体を寄せ合い暖を取る。親が留守の間、ひなの集団を敵から守るために群れの若鳥が、その外側を取り囲む。社会全体で子育てを支えている。鳥の世界にも学ぶ点がある。





男性の育休 取りやすい機運づくりを(2020年12月30日配信『山陽新聞』-「社説」)

 男性の育児休業取得を進めようと厚生労働省が制度の見直し案をまとめた。来年の通常国会で、育児・介護休業法などの改正案提出を目指す。

 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会が了承した報告案によると、見直しの柱となるのは、妻の出産後に利用できる「男性版産休」の新設や、育休の分割制度の導入などだ。

 男性版産休は、子どもの誕生から8週の間に夫のみが使える育休の特例措置だ。計4週分の休みを2回に分けて取得でき、妻が退院したり、実家から自宅に戻ったりする際の利用が想定されている。勤務先への申請もこれまでの1カ月前でなく、2週間前まででよいとする。

 原則1回の育休を夫婦それぞれが2回に分けて取れる分割制度も導入する。男性版産休と組み合わせれば、夫は最大4回に分けて休みを取れる。妻と交互に育休を取ることもでき、妻の職場復帰に合わせて夫が休めば、妻の負担軽減も期待できるという。

 厚労省の調査では、夫の家事・育児時間が長いほど、2人目以降の子どもが生まれる割合が高い。少子化対策には男性の育児参加が欠かせず、その鍵を握るとして政府が進めるのが男性の育休取得だ。しかし、男性の取得率は政府が掲げた「2025年に30%」の目標に対し、19年度は7・48%にとどまり、促進策が課題になっている。

 家庭によって育休が必要な時期は異なる。柔軟に取得できる方向での見直しは評価したいが、制度が複雑で分かりにくいのも確かだ。厚労省は分かりやすい資料を示すなど、今後、さまざまな手段で啓発を強化する必要がある。

 国連児童基金(ユニセフ)が19年6月に発表した報告書によると、男性向けの育休制度で、取得可能な期間と休業中に受け取れる給付金を比較したところ、日本は41カ国中、1位(16年時点)だった。制度だけみれば「男性育休の先進国」と呼べるだろう。

 にもかかわらず、取得が進まない理由として指摘されているのが、取得しづらい職場の雰囲気や上司の理解のなさなどだ。今回の見直しでは、子どもが生まれる従業員に育休取得を働き掛けることを企業に義務付け、大企業には育休取得率の公表も義務付ける。経営者らの意識を変え、育休を取得しやすい機運づくりを急がねばならない。

 トップの姿勢次第で取得率は引き上げられるという好例が千葉市だろう。自治体の男性職員の育休取得率(19年度)は全国で8・0%にとどまるが、千葉市は92・3%と突出する。市長が幹部に働き方改革を促し、全所属長が「イクボス」を宣言。子どもが生まれた職員に育休を取る理由でなく、取らない理由を申請させたところ、取得率が一気に上がったという。

 厚労省は、男性の育休取得で成果を上げている先進例の周知も図ってもらいたい。




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Author:gogotamu2019
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