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羽田雄一郎参院議員の死が示すコロナ検査の現実 玉川徹は「検査まで時間がかかりすぎ」と指摘も橋下徹らはいまだ検査抑制論を(2020年12月30日配信『リテラ)

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急逝した羽田雄一郎参院議員(公式HPより)

 27日に急逝した立憲民主党の羽田雄一郎参院議員の死因が新型コロナの感染によるものだったと、28日、同党の福山哲郎幹事長が発表した。

 ショッキングだったのは、羽田氏が死に至るまでの経過だ。

 会見をおこなった福山幹事長によると、羽田氏は23日に日帰りで長野県に赴き、党県連常任幹事会に参加していたが、24日の11時30分ごろ、羽田氏の秘書が参議院内の診療所に連絡をし、「症状はないが羽田議員の近場の人に陽性が出た、PCR検査がどこで受けられるか」と問い合わせした。これに対し、同診療所は「症状がない場合は民間のPCR検査しかできない」と返答、PCR検査ができる民間病院のリストがFAXで送られたという。そのリストのなかに羽田氏の主治医がいるクリニックがあったため連絡したが、ここでも検査はできないと言われたという。

 しかし、羽田氏は24日の深夜に発熱(38.6度)。翌25日、朝には36.5度まで下がったが、別のクリニックにネットで27日の検査で予約を入れた(福山幹事長は「25日にネットで予約をしたらそこしか空いていなかったのではないかというふうに思う」と語っている)。この25日と26日は自宅で静養し、この間、36.5度の平熱まで下がったかと思えば夜に38.3度まで上がるなどの変動があり、予約していた検査当日の27日朝も36.1度まで下がっていたという。

 だが、クリニックに向かう車に乗り込んだあと、体調が急変。呼吸も荒くなり、車を運転する秘書に「俺、肺炎かな」と口にすると、羽田議員との会話は途切れてしまった。秘書はその場で救急車を呼んだが、緊急搬送された東京大学附属病院で死亡が確認された。羽田氏はクリニックに向かっていた車中か救急車のなかで亡くなったとされているという。

 羽田氏の死去が報じられた当初、スポニチが“数日前から体調を崩し、PCR検査を受ける予定があったが、都内で行われた会合に出席、会場を後にし車に乗り込む際に足元がふらつき、体調不良を訴えてその場で倒れた”と報じ、ネット上では「体調が悪いのに会合に出席するな」「ステーキ会食より酷い」などとバッシングを受けていたが(なかにはいまもそう攻撃しているネトウヨもいる)、それは事実と異なる誤報だったということだ。

 むしろ、羽田氏は無症状の段階でPCR検査を受けようとしていたが、参院の診療所で、
公的検査ができない、民間のPCR検査しかできない、といわれていた。

 羽田氏は知人に感染者がおり、さらには糖尿病や高血圧、高脂血症などの基礎疾患があったが、それでもPCR検査を受けられたのは結局、発症から3日後の27日だった。

 ようするに、これが日本の現在のコロナ検査の現実ということだろう。

 羽田氏については発症後に「保健所に迷惑がかかるから」と保健所へのPCR検査申し入れをしなかったという報道もある。しかし、少なくとも発症前、参議院の診療所に問い合わせた段階で、公的検査を受けることができていれば、最悪の事態を回避できた可能性もあるのではないか。

 29日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で玉川徹氏は「検査のハードルが高い」「まず参議院の診療所で、症状がなかったら受けられませんと言われてしまう国ですよ。国会議員がいっている診療所でそう言われてしまう」と検査体制に苦言を呈していたが、その通りだろう。

玉川徹の「なぜこれだけ検査まで時間がかかったのか」に対し検査抑制論を主張し続ける橋下徹

 実際、これは羽田議員だけの問題ではない。韓国の首都圏では無症状で感染者との接触がなくとも無料で誰でもPCR検査が受けられる態勢を拡大させているが、かたや来年には五輪をやろうという首都・東京では、濃厚接触者や有症者でなければ、保健所に申し入れても検査を受けられない。

 感染の不安があれば、羽田氏のように自費で民間の検査を受けるしかないのだが、その民間検査も多くは現在予約がいっぱいで誰でもすぐに受けられる状況ではない。また、民間検査は自費のため1〜3万円前後もかかり、一般市民が受けるには経済的なハードルも立ちはだかっている。

 そういった点を考えても、やはり公的検査の対象範囲を広げるべきなのだ。陽性者と接触のあった人や基礎疾患などリスクのある人などは、本人の希望があればすぐに公的検査を受けられる体制にする必要がある。

 実は、羽田氏が所属する立憲民主党をはじめとする野党4党は、3月の段階で「PCR検査拡充法案」を提出するなど国に検査体制の整備強化を訴えてきたが、政府は例の「4日間ルール」を見直したくらいで、検査体制をほとんど強化しようとしなかった。羽田氏のコロナ死が検査の遅れと直接的に関係があるかどうかは検証する必要があるが、少なくとも、その死が検査体制の整備の必要性を再認識させたことは間違いないだろう。

 だが、そんな羽田氏の死を受けても、むしろ「検査抑制論」を唱える人物がいる。たとえば、橋下徹氏などもそのひとりだ。

 橋下氏は、玉川徹氏が28日放送の『モーニングショー』で「なぜ、これだけ検査まで時間がかかったのか」「アメリカなんかは(来年)3月末までで1週間で2億回、検査ができる形になるんですよ。ワクチン接種も始まっているのに、まだまだ検査を増やそうとしている」とコメントしたことを受け、スポーツ報知の記事を引用リツイートするかたちでこう主張したのだ。

〈回数を増やす問題ではない。有症状者や濃厚接触可能者、震源地やハイリスク地の無症状者に迅速的確に検査をやることが重要。〉
〈検査の回数ばかり増やしても、アメリカは、感染者数も死者も抑制できていない。必要な対象者に迅速的確に検査をする必要がある。回数の問題ではない。〉

この反論が自己矛盾を起こしていることに、橋下氏は気づかないのだろうか。というのも、橋下氏は「回数を増やす問題ではない」と言うが、いまより「有症状者や濃厚接触可能者、震源地やハイリスク地の無症状者に迅速的確に検査をやる」には、検査および検査回数を増やすしかないからだ。

 しかも、このツイートは死亡に至った経緯が福山幹事長から発表される前のものだとはいえ、羽田氏は東京=ハイリスク地在住者であり、濃厚接触者ではないものの感染者との接触もあった。さらに容態が急変する危険性を考えても、検査の拡充によって陽性者をいち早く捕捉することが重要なのは言うまでもない。

保健所を増強する議論を封じ、パンクさせたのは、検査抑制論者だ

 橋下氏といえば、何かあると『モーニングショー』と玉川氏を名指しして攻撃し、「PCRを無症状者まで全国一律で広げていったら、保健所から行政からパンクしていってしまう」などと主張。多くの人は「検査が必要な人が受けられていない」「感染拡大地は検査体制の拡充を」と求めていたのに「全国一律」などと話を盛り、さらには大阪の保健医療提供体制を脆弱にした張本人なのに「保健所から行政からパンクする」からと検査抑制論を唱えてきた。

 しかし、橋下氏自身が、軽度の発熱と喉の痛みでPCR検査を受けたように、発熱するなど異変が起こったら誰でもすぐに検査が受けられる態勢が本来は整えられるべきだし、橋下氏も経験からそう訴えるべきなのに、いまだに「回数を増やす問題ではない」などと言いつづけているのである。

 しかも、橋下氏のような検査抑制論が罪深いのは、現時点の行政の不備のエクスキューズになっているだけでなく、「現時点では無理でも将来的には検査を増やしていかなければならない」という議論すら封じ込めてきたことだろう。

 第1波で検査抑制によって多くの命が失われたにもかかわらず、検査抑制論を唱えていた者の多くは、その後も誤りを認めることなく、「必要な検査」はするべきなどと論点をずらし、検査に制限が必要であるとの前提をあらためなかった。その結果、第1波から半年以上経ったいまも、検査やその後の接触者追跡調査体制の構築、病床や隔離療養施設の増強が放置されてきた。

 医師や看護師を短期間に育成するのは難しくとも、アメリカ・ニューヨークや韓国のように接触者の追跡調査をするトレーサーを新たに育成・増強することや、野放しになっている民間検査を行政とうまく結びつけるシステム作りなど、可能なことはいくらでもあっただろう。

 ところが、検査抑制論のせいで、行政はそういった努力をスポイルしてしまったのだ。その結果、起きているのがいまの状況なのである。
 
 そういう意味では、検査抑制論者に「保健所がパンクしているのに検査を増やせなどというのはおかしい」などという資格はない。なぜなら、保健所を増強する議論を封じパンクさせたのは、検査抑制論者自身だからだ。

 いまからでも遅くはない。収束したら無駄になるとかワクチンができたからもう大丈夫などと楽観するのではなく、検査体制を拡充すべきだろう。

(編集部)





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