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「コロナで広がる貧困の実態を」 困窮者支援の女性の日記をまとめ出版(2020年12月31日配信『東京新聞』)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事や住まいを失う人が増える中、生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」(東京都中野区)の小林美穂子さん(52)は都内外で奔走してきた。先月末にはフェイスブックに記した支援日記をまとめた「コロナ禍の東京を駆ける」(岩波書店)を出版。コロナによって可視化された貧困や、助けを求める困窮者に冷たい福祉行政に危機感を強めている。(中村真暁)

◆居場所のないネットカフェ難民

 「首つるしかないと思ったんですけど、私も人間なんですかね、生きたいと思ってしまったんです」。4月8日の日記には、小林さんが支援した20代女性の生々しい言葉が刻まれていた。

 困窮者へのシェルター運営などをしてきた同法人は4月7日、政府の緊急事態宣言発令を受け、緊急の相談フォームをサイトに開設した。直後に反応したこの女性は住まいがなく、ネットカフェで暮らす「ネットカフェ難民」。都の休業要請でネットカフェが店を閉めたため居場所をなくし、同法人に「前日から何も食べていない」とメールでSOSを送った。

 小林さんは日記に「こんな思いを若い人にさせていることを、私たち年長者は心底恥じなくてはいけない」とつづる。

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「コロナ禍の東京を駆ける」を手にする小林美穂子さん(左)と編集を担当した夫の稲葉剛さん=東京都中野区で

◆相次ぐSOSメール

 2018年公表の都調査では、都内のネットカフェ難民は1日当たり推計約4000人。コロナ禍で多くの人が行き場を失い、同法人には「所持金が数百円」「マスクも買えない」などと窮状を訴えるメールが、4、5両月で170件寄せられた。

 小林さんは仲間と分担し、相談者の元へ駆けつけた。他団体と運用する基金から、一時宿泊費や交通費を提供。相談者の多くは10~40代と若く、派遣労働者だった。

◆自治体のたらい回しも

 相談者の中には、自治体に助けを求めたら、「もっと大きな自治体に行って」とたらい回しされたり、望んでいないのに無料低額宿泊所に連れて行かれたりした人もいた。

 書籍ではほかにも、困窮者が社会福祉協議会の貸付制度を利用するのを拒むなど、自治体名を挙げて問題事例を報告している。

 「なかったことにされるのが嫌だった。問題を広く知ってもらいたかった」。小林さんは振り返る。

◆支援で生活再建に

 相談者が生活保護を利用することが決まった後も、小林さんは何度も自治体窓口に同行。コロナ禍で小林さんが手を差し伸べ、生活再建のスタートを切った人は約40人にのぼる。

 最悪の状況に落ち込んでいた人も、支援につながり住まいを得ると、笑ったり、冗談を言ったりできるようになるという。「希望が見えていく時にそばにいられるのは、得難いボーナス。付き合いが続く相談者もいて、私の世界も広げてくれている」とほほ笑む。

 書籍は、同法人代表理事で夫の稲葉剛さん(51)と、日記の読者だったライターの和田静香さんとで編集した。稲葉さんは「貧困が広がる現状を知ってもらいたい」と呼び掛ける。

 書籍は1900円(税抜き)。つくろい東京ファンドは、ウェブサイトで寄付も受け付けている。

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「ステイホーム」する家がない――。コロナ禍による派遣切りに遭い、ネットカフェなど拠り所を失い、追い詰められ、助けを求める人たち。対する行政の「水際作戦」の横行。緊急事態宣言発出日以降の支援者の日記から浮かび上がる、福祉の貧困と、それに抗い、つながる人たち。この社会の実態を突きつける貴重なドキュメント。

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一般社団法人つくろい東京ファンドは、2014年6月、「市民の力でセーフティネットのほころびを修繕しよう!」を合言葉に、東京都内で生活困窮者の支援活動をおこなってきた複数の団体のメンバーが集まり、設立されました。
代表理事は、過去20年間、東京・新宿を中心に路上生活者や幅広い生活困窮者の相談・支援をおこなってきた稲葉剛(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)が務めています。

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Author:gogotamu2019
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