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五輪ボート・カヌー会場に大量のカキが付着 都が1.4億円かけ除去、大会後も対策重い負担に(2020年12月31日配信『東京新聞』)

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消波装置(手前)から除去したカキを集める作業員=業者撮影

 東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー会場として東京都が新設した「海の森水上競技場」(江東区)の競技関連装置に大量のカキが発生していることが分かった。レース環境に悪影響を及ぼすため、都は約1億4000万円を投じてカキを一時的に除去。来年の東京大会はひとまず乗り切れそうだが、大会後も毎年1億円以上の対策費が必要となりかねず、関係者が頭を抱えている。(岡本太)

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 「カキに苦しめられるなんて…」。11月下旬、東京都五輪・パラリンピック準備局の佐竹禎司課長が、陸に揚げられた競技場の「消波装置」を恨めしそうに見つめた。

 「消波装置」は、スイミングプールのコースロープを巨大化したような姿で、一基が直径60センチ、長さ12メートルの円筒形。ボートやカヌーが進む際に発生する波の勢いを表面の細かな編み目で吸収して約七割低減する。競技場の両側と中央に計3列、総延長約5.6キロにわたって約470基が浮かぶ―はずだった。

 「装置が沈んでいるようだけど、大丈夫?」。異変が見つかったのは昨年8月。五輪のテストを兼ねたカヌーの国際大会で、競技関係者から指摘を受けた時だった。都が点検すると、複数の装置でカキの付着が判明。その後、カキのシーズンである冬を迎えると、カキは装置の表面を覆うほどに成長。全体の7割に当たる総延長約4キロ分の装置で付着が確認され、一部の装置は完全に水中に沈んだ。

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海の森水上競技場と同型の「消波装置」(東京都提供)

 同競技場は、一般的な川のコースと異なり、東京湾の埋め立て地に造られ、両岸が垂直な壁で囲まれているため、波が跳ね返りやすい。水面が波で揺らぐとボートやカヌーのスピードに影響し、コースによって有利不利が生まれかねない。

 「消波装置」は都がアピールする「良好な競技環境」のため不可欠だが、カキの付着で装置が本来の位置より深く沈んだことで、消波効果が“消滅”。都は今年9月までに総額1億4000万円をかけ、建設業者に依頼して、約4キロ分の装置を陸に揚げ、計14トンものカキを除去した。

 同競技場はこれまで都の試算で、東京大会後に水門管理や人件費などのために年約1億6000万円の赤字が出ると見込まれていた。カキの付着に対処するため、毎年装置を陸揚げし除去すると、赤字は合わせて年3億円に膨らむことになる。
 都は大会後の対策について、手法を検討している。

 海の森水上競技場 東京五輪・パラリンピックの競技会場として新設された都の恒久施設の一つ。招致時に69億円とされた整備費は計画段階で491億円に高騰。小池百合子知事が見直しを表明し、宮城県の長沼ボート場を会場とする案なども検討された。最終的には整備費308億円で新設。昨年5月に完成した。

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「予想外」のカキ大量付着に対策も手探り 五輪会場の消波装置めぐり都が困惑(2020年12月31日配信『東京新聞』)

 「完全に予想外だった」。東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場でのカキの大量発生という異常事態に、東京都の関係者は戸惑いを隠せない。都の担当部署によると、同型の消波装置は、海水のボートレース場などでも導入実績があるが、被害が確認されたことはなかった。

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東京五輪・パラリンピックの会場となる「海の森水上競技場」。カキが付着した「消波装置」は取り外されている

 ただ専門家によると、海中の構造物で、カキなどの付着が問題になる例は珍しくない。沖合養殖事業などで付着生物の対策に取り組んでいる日本水産(東京都港区)の鶴岡比呂志部長は、今回の装置について「編み目になっていて、いかにもカキが付きやすそう」と指摘。付着するかどうかは「塩分濃度などの環境要因が大きく影響する」といい、競技場の水域が、カキの生息に適していた可能性があるという。

 今回、装置に付着していたカキの種類は、生食のほか鍋やフライの材料として一般的に流通するマガキ。日本全国の海岸線などに多く生息する。除去したカキは計14トンにも達したが、都は衛生面も考慮し、廃棄物として焼却処分にした。

 都は対策として、特殊塗料や海水の電気分解による付着防止策など複数の案を検討しているが、効果やコストなど課題も多く、現時点では絞り込めていない。カキが日当たりのいい南向きの装置に集中していたことから、日光を遮る案も浮上しているという。

 都の担当者は「前例のない事態で、検討も手探り。いいアイデアがあれば積極的に取り入れ、できるだけ安く、効果が見込める方法を探っていきたい」としている。(岡本太)





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