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PCR「すり抜け」で病院クラスターか、陰性判定で業務継続…人手不足が生んだ感染拡大(2020年12月31日配信『読売新聞』)

 新型コロナウイルスのPCR検査で一度は陰性と判定された医療機関の職員や患者が、その後の検査で陽性となって院内感染が広がるケースが全国で相次いでいる。厚生労働省によると、感染していても検査で陽性反応が出るのは7割程度とされ、特にウイルス量の少ない感染初期の捕捉は難しいという。厚労省は、陽性者と接触するなどの感染リスクがあれば自宅待機を求めるが、陰性の職員がそのまま業務にあたるケースも少なくない。人手が不足する医療機関では難しい対応を迫られている。(興膳邦央、坂田元司)

 福岡県田川市の見立病院は9月下旬までの約1か月で、職員や患者計30人の感染が判明。県はクラスター(感染集団)と判断した。

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 最初の感染者が確認されたのは8月29日。県は、病院職員や患者ら約200人を対象にPCR検査を実施し、9月1日までに職員1人と患者5人の感染を把握した。陰性だった職員は勤務を続け、陽性の患者には防護服姿で対応した。

 陽性者30人のうち、2回目以降の検査で感染が判明したのは20人に上った。病院の担当者は「検査で感染が把握できなかった人から、感染が広まったとしか考えられない」と話す。

 10月にクラスターが発生した青森県弘前市の弘愛会病院でも、感染者16人のうち、11人は再検査で陽性に。最初の検査で陰性だった職員は勤務を続けていた。県の担当者は「陰性だった職員を介して感染が拡大したのではないか」とみる。

 北海道医療センター(札幌市)では11月、入院時の検査で陰性だった患者を担当した職員が発症し、院内で感染が広がった。患者は退院後に感染が確認された。クラスター調査をした小谷俊雄医師は「入院前日に感染していれば、検査ではわからない」と指摘する。

 厚生労働省によると、ウイルスの遺伝子を増幅させるPCR検査は、ほかの検査法より精度が高いものの、感染2日目まではウイルス量が少ないため、ほぼ陰性となるという。

 厚労省結核感染症課の担当者は見立病院のクラスターについて、「感染していた人が検査をすり抜け、ウイルスが広がった可能性がある」と分析。「一度の検査で全ての感染者を把握するのは難しい」と指摘する。

 新型コロナに感染していれば、発症していない段階でも感染を広げる可能性があり、厚労省は、陽性者との接触があれば14日間の自宅待機を求めている。ただ、人手不足の医療機関では必ずしも順守できていない。

 このため、厚労省は今月、クラスターが発生した医療機関に対し、医師や看護師らを派遣する医療機関への財政支援策を都道府県に伝えた。ほかにも看護師らが担うことがある消毒や清掃などの民間委託への補助も行っており、厚労省結核感染症課は「人手が不足するのであれば、補助制度を活用してほしい」と促す。

 感染症に詳しい福岡大病院の高田徹教授(感染制御学)は「陰性の感染者が無自覚にウイルスを周囲に広げるケースはどこでも起こりうる。感染リスクのある職員が自宅待機できるよう、複数の医療機関で職員を融通し合うような仕組みが必要だ」と指摘している。




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