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元日に餅、小川を境に「ダメ」「OK」 福井県高浜町の集落、しきたり残る(2021年1月1日日配信『福井新聞』)

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「節組」と「雑煮組」に分かれる上瀬の集落。中央が境目の小川=福井県高浜町上瀬

 正月の定番料理、雑煮とお節。福井県最西端に位置する漁村、高浜町上瀬の集落は、元日に餅を食べてはならない「節組」と、通常通り餅で元日を祝う「雑煮組」に二分されている。今ではしきたりを守る家も減ったというが、代々節組の住民は「元日はご飯で祝うのが当たり前」と話す。

 内浦湾が間近に迫る山べりに18戸が軒を連ねる。山の向こうは京都府舞鶴市だ。「村の中央を流れる小川を境に、神社のある奥の方が節組。手前が雑煮組」と同集落の節組の一人、土本保さん(71)。

 「元日は餅を食べずに炊きたてのご飯とお節料理。雑煮は正月2日から」。元日に餅を食べたいとは思わないのだという。「昔からそれが当たり前。小中学生の孫も含め一家7人そう」

 節組、雑煮組の区別は、若狭などに広く伝わる小正月の来訪神行事「キツネガリ」に関連して伝わってきた。同集落で行われていた際、節組はげた履き、雑煮組は草履だったという。「げたと違い、草履は雪や水たまりで染みて寒かったのでは」。節組は餅が食べられない分、得することもあったのかもしれない。

 組分けはなぜ生まれたのだろう。民俗学者の金田久璋さん(77)=福井県美浜町=は昭和の終わりごろ、集落の古老に聞き取りを行った。1910(明治43)年に大火事があり、罰則の一種として餅を食べてはならないと伝わっていたという。ただ金田さんは「明治末期は習俗の発生時期としては新しい」と首をひねる。

 そもそも餅を禁忌とする「餅なし正月」は、福井県嶺北を含め県内外に残る習俗だ。背景は諸説あるが、金田さんは「稲作以前の焼き畑文化や、さらに前の狩猟・採集文化の残存ではないか。新しい文化である餅を受け入れる際、葛藤やあつれきが生じ、今に残っている」と考えている。

 上瀬の森下俊之区長(73)は雑煮組だ。「集落でも若い世代は組分けを意識してない」という。そんな中で土本さんがしきたりを守るのは、自身が伝統技術を伝える木工芸職人だから。2016年には国の「現代の名工」に選ばれた。毎年何十個もしめ縄飾りを手作りし、家の出入り口や仕事場、神社などに飾る。「習俗は強制するものではない。次の世代は好きにすればいい」としつつ「続いていくんじゃないかな。それが普通だから」と笑った。




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