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(論)雇用・解雇・雇い止め増【新型コロナ】 (2021年1月4・21日・5月2日)

[「こども庁」構想] 機能的な組織が必要だ(2021年5月2日配信『琉球新報』-「社説」)

 自民党は、子ども関連政策の司令塔となる「こども庁」創設に向けた議論を始めた。政府が6月ごろ策定する「骨太方針」への反映を目指す。

 子ども政策は多岐にわたり、所管は複数の省庁にまたがる。一元化によって政策決定の迅速化などが期待されるが、各省庁が所管するテーマをどう振り分けるのかなど課題は多い。

 公明党は「子どもの未来創造特命チーム」を新設、立憲民主党も「子ども家庭庁」の設置法案策定に向けたワーキングチームを発足させた。機能的な組織づくりへ議論を深めなければならない。

 こども庁構想は、少子化対策に取り組む自民の国会議員有志が4月1日、菅義偉首相に提言した。これを踏まえ菅首相は国会で「施策の縦割りを打破し、組織の在り方を抜本から考えることが必要だ」と実現に意欲を示した。

 子ども関連施策は医療、教育、虐待、貧困、少子化対策など幅広い。構想の背景の一つに、こうした施策を所管する省庁の仕組みが複雑で国民には分かりづらい点が挙げられる。

 幼稚園、小中学校は文部科学省、保育所や障害児施策、児童虐待防止は厚生労働省、少子化対策や認定子ども園、幼児教育・保育の無償化は内閣府が所管する。法務省や警察庁が関係するケースもある。

 また、こうした縦割り行政が政策決定の遅れや連携不足につながっているとの指摘もある。

 児童虐待とドメスティックバイオレンス(DV)は各種統計から密接に関わっているとされる。だが、児童虐待対策を担う児童相談所は厚労省が所管し、DV対策を担当する配偶者暴力相談支援センターは内閣府が所管する。

 一元化すれば、痛ましい事件を減らす効果が期待できる。こども庁構想を巡る議論の中で、組織の在り方を検討すべきだろう。

 自民は党総裁直属の機関を新設、具体的な体制づくりを進める。ただ、ばらばらになっている省庁の役割を整理するのは難題に違いない。

 こども庁はどのテーマを所管するのか。対象となる子どもの年齢をどこで区切るのかといった問題である。

 例えば、未就学児を受け持つと決めたとしても、虐待の問題は小学生以上にも起こりうる。きちんと整理しなければ、かえって混乱を招きかねない。

 「縦割り打破」を掲げる菅首相にとって、こども庁創設は格好のアピール材料になる。秋までに実施される衆院選で子育て世帯の支持を獲得する目玉公約にしたいとの狙いも透ける。

 ただ、省庁再編につながる課題であり、役所の既得権にメスを入れる作業には抵抗も予想される。選挙目当てではなく、与野党がじっくりと腰を据えて取り組むべきである。



[観光客7割減]雇用維持へ支援続けよ(2021年5月2日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 沖縄の基幹産業である観光業が、かつてない危機に陥っている。

 県文化観光スポーツ部によると、2020年度に沖縄を訪れた観光客は258万3600人で、前年度より72・7%減った。減少幅は過去最大だった。

 順調に伸びていた入域観光客数は、昨年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響により30年余り前の水準に引き戻されたのである。

 外国人客は航空路線やクルーズ船の運休、日本への入国制限などが影響し、復帰後初めて統計上ゼロとなった。

 観光業は宿泊、交通、観光施設、飲食、小売りなど関連産業の裾野が広い。観光客の大幅な落ち込みは、雇用にも深刻な影響をもたらしている。

 20年度の完全失業率の平均は3・6%で6年ぶりに悪化に転じた。コロナ禍に伴う解雇や雇い止めは、把握されているだけで見込みを含め2千人を超えている。

 現在、国内は感染「第4波」のさなかにあり、沖縄観光の先行きは見通せない。

 かき入れ時のゴールデンウイークも観光客の姿はまばらだ。感染力の高い変異種が全国的に広がり、旅行の自粛が呼び掛けられている。県内も15市町が「まん延防止等重点措置」区域に指定されており、予約のキャンセルが相次いだ。4月から休業に入った老舗ホテルもある。

 業界からは「観光インフラは崩壊の危機にあり、息も絶え絶えの状態」と悲鳴が上がる。多くの事業者が窮地に立たされ、企業努力だけでは限界にきている。

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 現在、雇用を支える大きな力となっているのは雇用調整助成金の特例措置だ。政府は原則として5月以降、特例を段階的に縮減する方針を示している。だが措置がなくなれば、何とか踏みとどまっている企業が雇用を維持できなくなる懸念がある。特例措置など雇用支援の継続が必要だ。

 また、現在の感染拡大が落ち着いたとしても完全にゼロにはできない。「ウィズコロナ」を念頭に置いた安全な観光地づくりを考える必要がある。

 政府にはPCR検査の陰性証明書を発行する仕組みづくりに取り組んでほしい。

 ホテル宿泊時に証明書を見せると割引を受けられるような対応があれば、旅行者が積極的に旅行前に検査を受けるようになるはずだ。

 県の「水際対策」にも改善の余地がある。那覇空港で行っているPCR検査の費用を引き下げ、検査を受けやすくしてもらいたい。

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 沖縄観光の再生には「コロナ後」を見据えた新たな戦略が必要だ。

 休暇先で仕事ができる「ワーケーション」は既に取り組みが始まっている。快適な環境をどう整えられるかが鍵だ。自然を満喫できる旅への関心も高まっているとされ、沖縄の優位性が期待できる。

 外国人客の回復には時間がかかるとみられる。逆に言えば今まで海外旅行に目を向けていた国内客を引きつける機会でもある。県と観光業界が連携して新たな需要をつくりだしてほしい。





雇用と生活支える施策の強化を(2021年1月21日配信『愛媛新聞』-「社説」)

新型コロナウイルスの感染拡大による雇用情勢の悪化が深刻だ。非正規労働者など社会的に弱い立場の人が仕事や住まいを失うなどし、生活に困窮する事態が長期化している。

今月に入って11都府県に緊急事態宣言が出され、経済活動が一段と停滞。飲食業などで休業や倒産が相次ぎ、生活に困窮する人が今後も増加することが懸念される。国は雇用や生活を支援する施策を継続・拡充し、暮らしの不安解消に全力を挙げなければならない。

厚生労働省によると、コロナ関連の解雇や雇い止めは15日時点で8万2千人を超えた。各労働局などに寄せられた相談や報告を基に集計しており、実際の人数はさらに多いとみられる。解雇や雇い止めは製造業や飲食業のほか、小売業、宿泊業などにも広がる。アルバイトやパートなどが約半数を占め、非正規労働者への影響が大きい。

相対的に女性の雇用環境が悪化している。2008年のリーマン・ショックでは男性が多い製造業への影響が顕著だった。それに対し、コロナ禍では女性が多い宿泊業や飲食業などへの打撃も大きいためだ。女性の非正規労働者の状況は深刻で、重点的な支援が求められる。

雇用を守る命綱の一つが企業の休業手当だ。休業手当の一部を補塡(ほてん)する雇用調整助成金について、政府は特例措置で上限額を引き上げ、助成率も拡充している。特例措置は今年2月末が期限だが、3月末までは延長する方向となった。感染拡大が続いている現状を踏まえると当然の判断だ。企業は有効活用し雇用を維持してほしい。

一方、シフト勤務などを理由に非正規労働者に休業手当を支給しない事例が目立つ。政府はシフト制の非正規も助成金の対象になるとしており、企業への指導を強化すべきだ。

解雇や雇い止めの数字は氷山の一角にすぎない。生活に困っている人を対象とする自治体の「自立相談支援機関」には20年度上半期、39万件の新規相談が寄せられた。前年度同期の3倍に上り、その後も例年を大きく上回るペースで推移しているという。民間の支援団体にも若者や女性、外国人といった幅広い層からのSOSが相次ぐ。

国は、コロナの影響で収入が減った人に生活費を特例で貸し付ける「生活福祉資金」の返済を22年3月末まで猶予することを決めた。一度で最大20万円を貸し付ける緊急小口資金、月最大20万円を原則3カ月まで貸し付ける総合支援資金の2種類あり、いずれもニーズが高い。状況に応じて、今年3月末としている特例の受付期間も延長するなど柔軟に対応すべきだ。制度の周知も欠かせない。

必要な人が生活保護を受けられることも重要だ。田村憲久厚労相は「国民の権利であり、迷わず申請してほしい」と呼び掛けている。生活に困ったら一人で悩まず、行政などに相談し各種制度を活用してほしい。





【新型コロナ 解雇・雇い止め増】官民挙げて雇用守れ(2021年1月4日配信『福島民報』-「論説」)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で県内の雇用情勢は厳しさを増している。感染収束が見通せない状況が続くようだと、雇用不安は長引く恐れがある。雇用調整助成金の活用を促すとともに、求人と求職のミスマッチ解消などを強化するべきだ。官民が連携して雇用を守り、離職者が出た場合でも速やかに再就職できる環境づくりを急ぎたい。

 福島労働局によると、昨年十二月二十四日時点で、新型コロナ感染拡大に起因する県内企業の解雇・雇い止めは累計千百三十三人に上っている。感染が拡大すると増える傾向にあり、昨年の十一月は百二十人、十二月は九十八人だった。企業が従業員に支払う休業手当の一部を国が補填[ほてん]する雇用調整助成金について、政府は助成率や上限額の引き上げなどの特例措置を二月末まで延長する。まずは解雇・雇い止めが多い製造業や宿泊業などを中心に延長を周知し、利用を促してほしい。

 有効求人倍率が低調に推移する中、県内では専門・技術(看護師・医療技術者、建築・土木技術者)、介護サービス、建設などの職種は求人数が求職者数を上回っている。「巣ごもり消費」で業績が好調な食料品製造業も比較的求人が多い。マッチングを効果的に図るため、国や県はオンラインを活用し、人手不足の職種や成長産業に絞った企業説明会を増やしてはどうか。

 離職者に再就職を促すには、国や県が実施する公共職業訓練が有効だ。コロナ禍の中、どんな産業で人材需要があるのか、求職者が何を求めているのかを見極め、訓練に反映させる必要がある。リモートでの訓練実施など、求職者が受講しやすくする手だても検討するべきだろう。

 中長期的には、企業の生産・営業活動を活性化させる支援策が重要になる。県は新型コロナの影響で海外からの部品の供給が滞っている中小企業に対し、県内への生産拠点移転や工場増設の費用を補助する。雇用創出につながるよう、企業のニーズに応じた柔軟な制度運用を求めたい。

 バブル経済崩壊後の一九九三(平成五)~二〇〇四年に高校・大学を卒業した人たちは「就職氷河期世代」と呼ばれる。総務省の二〇一七年の調査によると、この世代で不安定な就労状態にある三十~四十代は県内に約七千九百人いる。雇用の調整弁になりやすい非正規雇用の人には、特に手厚い就労支援が必要だ。

 雇用は国民が経済的に安定した生活を送るための基盤となる。雇用を守るために何ができるか、官民が知恵を絞り実行に移す時だ。(斎藤 靖)




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