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時代遅れの校則/必要性を見極め、見直しを(2021年1月6日配信『河北新報』-「社説」)

 中学校の校則の在り方に、佐賀県弁護士会が一石を投じた。「時代にそぐわないものもあり、規制の目的と手段との間に合理的関連性があるかという観点から見直すべきだ」とする提言をまとめた。

 校則の策定、見直しの際は、当事者たる子どもの関与を求めている。年少者であっても自律した存在であり、自己決定権を有する。個人の尊厳を第一に考えた問題提起と言えよう。

 子どもの成長・発達過程で、規則やルールを守るよう教育することは極めて大切だ。しかし、大人の都合で決めた理不尽、不合理な校則に従わせるのは人権の制約、侵害に当たる。さらに、ルール化した理由が明らかではなく、必要性や重要性に欠ける決まり事も少なくない。

 例えば、「ベルトの色は黒」「ワンポイントが入った靴下は不可」「髪の三つ編みは禁止」「前髪は眉毛にかかってはならない」といった規則が挙げられる。

 弁護士会の提言に沿えば、「『黒のベルトでなければ、豊かな人間性を育む教育目的が達成できないのか』との視点から内容の精査を」ということだろう。

 東京都議会では昨年、耳上を刈り上げて段差をつける髪形「ツーブロック」を禁止する都立高の校則を巡り、注目される議論が展開された。

 「社会に定着しているツーブロックを禁止する校則が一定数ある。なぜ駄目なのか」。若者の思いを代弁した都議の質問に、教育長は「外見が原因で事件や事故に遭うケースがあり、生徒を守る趣旨から定めている」と答弁した。

 このやりとりからうかがえるのは、ツーブロックだとトラブルに巻き込まれ、その原因は被害者側にあると言わんばかりの都教委の認識だ。子どもの未熟性を過度に捉えた人権制約の典型例だろう。

 行き過ぎた規制は「ブラック校則」と呼ばれる。この言葉は、大阪府立の女子高生が茶色の地毛の黒染めを強要されて不登校になり、2017年に起こした損害賠償請求訴訟を機に広く知れ渡った。

 裁判から浮かび上がる懸念材料がある。今や容姿の差異にとどまらず、グローバル化によって多様な文化、慣習、宗教下で育った生徒は増えている。LGBT(性的少数者)への理解も、少しずつではあるが進んでいる。

 宗教上の理由から肌の露出が許されなかったり、スカートをはくことに強い抵抗感を覚えたりする生徒は今後、多くなるだろう。校則上の配慮が、これまで以上に求められるようになる。

 日本も批准した子どもの権利条約は「締約国は、子どもに影響を及ぼす全ての事項について、自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と規定する。生徒が学校側に考えを伝え、納得の上で守る校則こそ権利と義務の理解を促し、成長の糧となるはずだ。




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