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「医療の非常事態だ」現場から悲鳴 状況逼迫し急展開 大阪など緊急事態要請検討(2021年1月7日配信『毎日新聞』)

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厳しい表情で、緊急事態宣言の再発令を政府に要請する考えを表明する大阪府の吉村洋文知事=大阪市中央区で2021年1月7日午後4時40分、木葉健二撮影

 新型コロナウイルスの感染急拡大で、大阪府の吉村洋文知事が緊急事態宣言の再発令を国に要請する意向を明らかにし、兵庫、京都両府県も足並みをそろえて要請を検討することになった。5日の関西広域連合の会議で仁坂吉伸連合長(和歌山県知事)が「関西はお願いする事態にない」と述べてからわずか2日。病床使用率が上昇するなど医療状況の逼迫(ひっぱく)が進んでおり、事態は急展開した。

 「首都圏は完全に感染者数が右肩上がりになっている。今後、大阪でも減少の可能性より拡大の可能性の方が高い」。吉村知事は7日、府庁で記者団に厳しい表情で危機感を表明。1日当たりの新規感染者数が6日に続き7日も過去最多(607人)になったとし、「医療体制も今後、逼迫が予想される」と要請の理由を述べた。

 4日の時点では宣言について「大きな副作用を伴う。最後の手段だ」と慎重な姿勢を示していたが、2日連続で新規感染者数が過去最多を更新し、今後も増加傾向が続く恐れがあるとして判断を一変させた。

 政府の分科会が定めた基準に照らすと、大阪は6指標のうち五つで宣言が必要な流行状況とされる「ステージ4(感染爆発)」の数値を上回っている。病床の切迫は続いており、6日現在、重症者は166人で、実際に使える病床(209床)に対する使用率は79・4%となっている。

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兵庫知事「ここ3日間で感染者数急上昇」

 7日の新規感染者が284人と最多を連日更新した兵庫県。井戸敏三知事は記者団に「ここ3日間で感染者数は急上昇しており、マスクを外す飲食の機会を減らす対応を考えざるを得ない。(3府県で)足並みをそろえないといけない」と述べた。8日の対策本部会議で県としての方針を決める。

 県は無症状者を含む全感染者を、医師が診察後に医療機関か宿泊療養施設に振り分けている。2020年12月30日時点での病床使用率が67・3%と全国最高レベルに達したが、「自宅療養は感染症対応じゃない」として方針を堅持する。一方で、入院調整のため患者が自宅で3、4日間待機せざるを得ないことも珍しくなくなった。医療機関によっては受診を平日や軽症者に限ったり、介助者の確保が難しいなどの理由で入院を断ったりするケースもあるという。

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緊急事態宣言を発表する菅義偉首相の記者会見を伝える街頭モニター=JR大阪駅で2021年1月7日午後6時9分、木葉健二撮影

 県内で病床756床(うち重症対応116床)、宿泊施設988室を確保しているが、重症対応病床の使用率は6日時点で46・6%。最も深刻な「ステージ4」の基準となる「50%以上」が目前に迫る。県は増床を目指すが、県医務課の担当者は「重症病床は医療スタッフの数が3倍を要する。民間にも声をかけているが、『空けられる』という病院はなかなかない。どこも疲弊している」と話す。

京都でもマンパワー不足深刻
 
京都府は7日の新規感染者が143人と最多を更新。西脇隆俊知事は記者団に「緊急事態宣言を視野に入れるべき段階に来ている。要請するなら早い方が良い」と述べ、対策本部会議を開く8日に決定することを示唆した。また、大阪・兵庫・京都が一体の都市圏を形成していることを強調し、「3府県が足並みをそろえることが大事だ」と指摘した。

 府の医療体制は、人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)による処置が必要な重症者の増加で危険水域に入っている。5日現在の重症者は16人。府内の重症率は1・7%で、100人の新規感染が1週間続けば、重症者が12人増える計算だ。年始7日間平均の新規感染者数は1日102人と高止まりしている。府内の重症者病床の使用率は6日現在で17・4%。重症者病床は国の基準では86床だが、府は年末、マンパワーが確保でき実際に稼働できるのは30床しかないことを明らかにした。

 新型コロナ感染の急拡大が一般診療も圧迫している。重症者を引き受ける府内の14医療機関は20年12月25日、「医療の非常事態」を迎えたとの声明を発表。「重症者が30人に達した場合、がん、脳卒中、心臓病、救急医療など通常の医療がほとんど停止するような医療崩壊をきたしかねない」と危機感をあらわにした。【石川将来、藤顕一郎、大川泰弘】

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新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を更新した大阪で、マスク姿で行き交う通行人ら=大阪市北区で2021年1月7日午後5時15分、望月亮一撮影

「仕事の先行き不安」こぼれるため息

 新型コロナウイルスの感染拡大で、首都圏4都県に続き大阪府なども緊急事態宣言の要請を検討していることについて、府民からは仕事への影響に不安を感じながらも、府の方針に理解を示す声が聞かれた。医療の専門家は隣接する府県間の連携が重要と指摘した。

 同府羽曳野市の建築関係会社を営む男性(77)は「今、営業時間短縮の対象となっている飲食店が悪者みたいになっているが、それ以外の経済活動も止めて感染を一度しっかりと抑えて、落ち着いたらまたみんなで頑張ったらいい」と話した。大阪市内のホテルに勤務する同府高槻市の男性(37)は、旅行需要喚起策「GoToトラベル」の停止で客足が再び遠のいているといい、「4月の緊急事態宣言のような効果が出るならやる必要があると思うが、仕事の先行きがどうなるのか不安だ」と漏らした。

 関西大の高鳥毛敏雄教授(公衆衛生学)は「東京の感染者数をみると、大阪もどこまで増えるか予測不能だ。宣言は最後のカードだが、感染者を減らすためにはやむを得ない」と話した。兵庫県や京都府などでも感染が拡大しており、「大阪を中心に感染が広がっている。広域的かつ一体的に宣言を出すことで効果がある」とし、各府県が足並みをそろえるべきだと指摘。一方、国民のコロナへの警戒心が春先より低くなっていると懸念し、「緊急事態宣言と言っても自分には関係がないと思う人も多い。幅広い層に響くメッセージの出し方を考えてほしい」と行政に注文を付けた。【野田樹、近藤諭】




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