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死刑囚「生かされ」半世紀 収容期間「最長」 手記で「次の世、平伏して謝罪したい」 福岡のマルヨ無線事件(2021年1月10日配信『西日本新聞』)

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尾田信夫死刑囚の手記には、自身の立場を俳句に詠んだほか、再審や被害者への思いがつづられている

 昨年1年間は9年ぶりに死刑執行がなかった中、死刑確定から50年が経過した死刑囚が福岡拘置所(福岡市早良区)にいる。「マルヨ無線事件」で、強盗殺人や現住建造物等放火の罪に問われた尾田信夫死刑囚(74)。半世紀に及ぶ「塩漬け状態」(尾田死刑囚)は異例で、被害者への謝罪の思いなどをつづった手記を再審請求の弁護団に寄せた。刑事裁判記録の保存期間が迫ったが、福岡地検は10年間の保存延長を決めた。

 「極月(ごくげつ)や 生かされ生きて 半世紀」。昨年12月12日に死刑確定から50年を迎えた尾田死刑囚。30ページに及ぶ手記の中で、その半生を俳句に詠んだ。「立場は身分的に非常に不安定」と、不安な心情ものぞかせる。

 刑事訴訟法は死刑確定から6カ月以内の執行を定めるが、法務省によると、収容中の確定死刑囚110人の平均収容期間は約12年8カ月。市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」によると、尾田死刑囚の収容期間は最も長い。再審請求中の死刑執行は避ける傾向があり、尾田死刑囚は放火の無罪を主張している。現在、7度目の再審請求が福岡地裁で審理中だ。

 手記で尾田死刑囚は、事件を「金銭欲と報復心が絡み合い凶行に及んだ」と振り返り、「次の世で被害者に会ったならば、平伏して謝罪したい」。社会復帰がかなえば、被害者や母の墓参りなど「巡礼の旅がしたい」と打ち明けている。

 一方、刑事確定訴訟記録法は、死刑の判決文は確定から100年、それ以外の捜査報告書などは50年を保管期間と規定。福岡地検は、弁護団の請求を受けて「再審請求審の審理に必要」と判断し、2030年12月31日まで期間を延長した。

 死刑未執行の理由について、再審請求の弁護人を約40年務める上田国広弁護士は「事件当時20歳だったことや、放火が無罪なら死刑ではない可能性が大きくなることが影響しているのではないか」と推し量る。法務省は「個々の死刑執行の判断に関わるため控える」としている。(森亮輔)

マルヨ無線事件

 確定判決によると、事件は1966年12月5日、福岡市の電器店「マルヨ無線川端店」で発生。尾田信夫死刑囚は、事件当時17歳の少年=懲役13年が確定=と店に押し入り、店員2人をハンマーで殴って現金約22万円を奪った上、ストーブを蹴り倒して放火。1人を焼死させた。68年の一審福岡地裁判決は死刑を言い渡した。控訴審以降、尾田死刑囚は放火の無罪を主張したが、70年12月12日、最高裁で死刑が確定した。

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