FC2ブログ

記事一覧

(論)ジェンダー・女性問題(2021年1月12・13・2月28・3月1・9・13日・4月1・5日)

行動に性差はない(2021年4月5日配信『しんぶん赤旗』ー「潮流』)

 公共の空間で恐怖を覚える女性は、男性の2倍を数えるそうです。イギリス運輸省の調べでは、駅のホームで電車を待つときや駐車場を歩くときに怖いと感じる女性は約6割。男性はその半分以下という結果に

▼性の違いによる格差をさまざまなデータで示した『存在しない女たち』に紹介されています。都市計画が専門の大学教授は「移動中の女性に対する性犯罪は明るみに出ておらず、実際は膨大な数にのぼる」

▼「通学中は連日」「数え切れないほど日常的にある」。日本共産党の東京都委員会が痴漢の実態を調査したところ、生々しい叫びとともに公共空間のあらゆる場所で被害にあっていたことがわかりました

▼先日、駅で男性から意図的に突き飛ばされた池内さおりさん(前衆院議員)が「女性差別だ」とツイッターで抗議。すると同じような体験をしたという声が次つぎに。ジェンダー問題に詳しい弁護士の太田啓子さんは「女性蔑視に基づく行為」だと指摘します

▼性差によって脅かされる日常。それを率先してただすべき政治の場で日本は世界から大きく遅れています。直近の男女平等度を示す指標は先進国最下位の120位。とくに政治や経済の分野で格差は大きい

▼なにより政権与党が差別をあおっています。「女性はいくらでもうそをつける」をはじめネット投票では自民党議員の発言が4年連続でワースト1位に。同じ人間なのに、一方を“不在の存在”とみなす社会の怠慢。それを変えていく行動に性差はないはずです。





「公共」で学ぶジェンダー(2021年4月1日配信『中国新聞』-「天風録」)

 新学年のスタートが近づき、学用品を準備する家庭が多いはず。小学1年生は色鉛筆もそろえるのかな。昔の「はだ色」は「うすだいだい」という。偏見や差別の芽生えをなくそうという配慮から変わってきた。肌の色はさまざまなのだから

▲時代や社会とともに学びや教材は変わる。来春から高校で使う教科書が出そろった。「地理総合」では、ランドセルの色の多様化から男女の役割分担や価値観の変化を考える一冊も。関心の高まりを反映させたようだ

▲性差別や性の多様性に関する記述は、保健体育や家庭科にとどまらず6教科で登場する。政治や社会への関わり方を学ぶという新科目「公共」でも。日本の女性国会議員の少なさを示しながら政治状況を考えさせる教科書がある

▲高校生たちはどう感じ、考えるのだろう。世界156カ国の男女格差を比べたジェンダー・ギャップ報告で日本は何と120位だった。もちろん先進7カ国では最下位。民衆弾圧が続くミャンマーよりも下位に沈んだ

▲政界や財界の女性リーダーは少ないまま。いつになったら社会は変わるのだろう。もう若い力に頼るしかないのか。議論重視という「公共」で話し合ってはくれないか。





コロナ禍と女性/窮状を救う対策が急務だ(2021年3月14日配信『神戸新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大の長期化が、女性の雇用や暮らしに深刻な影響を与えている。

 女性は非正規雇用が多く、人員整理の対象になりやすい。緊急事態宣言による店舗の営業時間短縮や、売り上げ減少がもたらす経済の悪化が女性を直撃した。家計の不安に加え、孤独感にもさいなまれている。政府による支援は待ったなしだ。

 総務省の労働力調査によると、アルバイトやパートなど非正規で働く人は1月時点で2058万人と前年同月から91万人減り、11カ月連続で減少した。減少は男性が22万人だったのに対し、女性は68万人だった。

 女性の就業が多い宿泊や飲食サービス業の業績悪化が雇用調整につながったとみられる。離職した人が男性の3倍という厳しい実態は看過できない。

 厚生労働省の有識者検討会の報告書は、2008年のリーマン・ショック時に比べて女性非正規労働者への影響が「強く生じている」とする。子育て中の女性が仕事と家庭を両立させやすいような、テレワーク可能な求人開拓の必要性を指摘した。

 深刻なのは、厚労省が1月に発表した20年の自殺者数(速報値)が、前年確定値より750人多い2万919人に上ったことだ。男性は減ったが、女性は前年より885人多い6976人と2年ぶりに増え、合計では11年ぶりの増加になった。

 背景には雇用の不安定さに加え、コロナの長期化で家庭内のストレスが増大していることがある。ドメスティックバイオレンス(DV)被害も増えているという。居場所をなくし孤立を深める女性のケアは不可欠だ。

 菅義偉首相は5日の記者会見で「女性の自殺者が増えていることに大変心を痛めている」と述べた。非正規で働く女性やひとり親世帯に対し、希望に添った就業に向けた資格取得などの研修機会を広げるという。

 3月中にも緊急の支援内容をまとめるとしているが、対策は遅すぎたぐらいだ。

 政府は、企業が支払う休業手当の一部を補填(ほてん)する雇用調整助成金を拡充したが、非正規従業員に支払われないケースが相次いだ。窮状にあえぐ女性の声に耳を傾け、実効性のある支援を急ぐべきだ。





男女格差の解消/思い込みを疑うことから(2021年3月13日配信『神戸新聞』-「社説」)

 「日本よ、今こそ変わろう」。国連が定めた「国際女性デー」の8日、神戸をはじめ全国各地にジェンダー平等を訴える女性たちの姿があった。例年にも増して、切実な響きを持って受け止められたに違いない。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長は「話が長い」「わきまえている」という言葉で性差や役割を決めつけた。世界中の非難を招いたのは当然だ。

 森氏の発言は、日本社会の「変わらなさ」を知らしめ、多くの組織に共通する旧弊をあぶり出した。

 変化することは誰にとっても容易ではない。しかし性別による偏見や役割意識を、伝統や文化などとして無条件に肯定し、男女格差を是とするような言動は容認できない。

 平等な社会に一歩でも近づくために、女性も男性も「わきまえず」に意見を出し合いたい。問題意識を広く共有する必要がある。

 日本では古い考えをアップデート(更新)できない男性が権限を握り、異論を排除して同質の集団で物事を決めてきた。そんな社会では新しい発想は生まれにくく、世代交代も停滞する。まっとうな規範よりも集団の論理が優先され、不祥事の温床にすらなりかねない。

 男女平等と多様性の尊重は、世界共通の理念である。格差是正や女性登用を着実に進めるために、法律や制度を整える国は少なくない。

 ところが日本では、政治の分野が最も後れを取っている。自民党の二階俊博幹事長が、取るに足らないとのニュアンスで森氏の発言を「そんなこと」と表現したのは象徴的だ。性差別に関する一般社会の意識との差は拡大するばかりである。

 衆議院の女性議員比率は9・9%にとどまる。190カ国中166位で、世界平均の25%を大きく下回る。極端な男性中心を変えるには、一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入など数値目標の義務化を今こそ検討するべきだ。

 豊岡市は地域衰退への強い危機感から、男女が共に働きやすく、意思決定に参画できるまちを目指す。進学などで転出した女性が戻らない要因を分析したところ、職場や地域で女性が補助的な役割を担う場合が多く、生活の場として魅力が薄い問題が浮き彫りになった。

 中貝宗治市長は「染みついた意識や慣習を変えるとハレーションも起こるだろうが、地域が生き残りたいという思いはみな同じ」と語る。

 女性と男性の格差を解消し、人権を守る取り組みは急務だ。その変化は、多様な人が力を発揮できる社会基盤の形成につながる。それができなければ、地域も国も活力を失うことを覚悟しなければならない。





国会の女性比率 引き上げる努力惜しむな(2021年3月9日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 各政党の自主努力でどこまで改善するか。

 国会議員に占める女性の割合である。現在は衆院10%、参院23%にとどまる。「列国議会同盟」によると、各国議会(下院か一院制)の平均は26%で、日本の衆院は166位と極めて低いレベルだ。

 政治、教育、経済など4分野を総合した男女平等の指数でも、日本は153カ国中121位で、先進7カ国で最低である。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言は、男性中心の価値判断と女性への偏見を浮き彫りにした。

 ネットやスポーツ選手、企業などに広がった反発は、日本の社会や組織に内在する時代錯誤の考え方を変えていくきっかけになる可能性も秘めている。

 政治も変わらねばならない。多様な意見を反映させ、女性差別の解消や、働き方や子育ての支援充実につなげたい。女性議員の増加は欠かせない。

 政府と与党には、問題を主体的に解決していく姿勢が乏しい。

 2018年には、国と地方の選挙で男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指す「政治分野の男女共同参画推進法」が成立した。それなのに19年参院選では、自民党と公明党の候補者数は1割前後にとどまった。

 推進法は、男女均等に向けた数値目標の設定など、自主的な取り組みを求めている。ただし、あくまで努力義務にすぎない。

 現職が多い与党では、候補者の選定で現職を優先して、女性が新規参入しづらい構造がある。とはいえ、女性候補の発掘や擁立に向けた努力が十分なのか。今年中に実施される衆院選では、女性候補の比率を引き上げる努力を惜しんではならない。

 選挙区の空白が少なくても、比例名簿の上位に女性候補を置くことは可能なはずだ。与党だけでなく野党もあらゆる選択肢を検討してほしい。

 政府は国政選挙の女性候補者の割合を、25年までに35%にする目標を掲げる。今後も十分に改善されないなら、立候補者や議員の一定割合を女性に割り当てるクオータ制の導入を考えていくべきだ。

 女性が立候補しやすい環境が整っているともいえない。

 共同通信は8日の「国際女性デー」に合わせ、全女性国会議員を対象にアンケートを実施した。立候補の障壁(複数回答)では、7割弱が「政治は男性のものという固定観念」を挙げている。議員や社会の意識改革も欠かせない。



国際女性デー(2021年3月9日配信『宮崎日日新聞』-「社説」)

◆格差是正へ改革進めたい◆

 8日は国連が定めた、女性の地位向上を目指す「国際女性デー」だった。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言を機に高まった「性差別を許さない」との国民の声に向き合い、諸外国から何周も遅れた日本の男女格差の是正に今度こそギアを入れなければならない。

 森発言により、世界の男女格差の諸調査でいずれも下位に沈み込む日本に厳しい目が注がれた。列国議会同盟(IPU)によると、議会(衆院)で女性議員が占める割合は9・9%と、193カ国中166位。世界平均は25・5%で、日本より下にいわゆる先進国の名はない。

 政治だけではない。女性の就業率は約70%に達したが、働く女性の過半数がパートタイムや派遣の非正規雇用という、いびつさが解消されていない。意思決定に参画する経営陣や管理職に女性が増えないゆえんだ。新型コロナウイルス禍がこの構造を直撃し、女性の自殺増やひとり親世帯の困窮を生じさせた。

 政策決定の場に女性を増やす手法が、一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」だ。1970年代に北欧で採用され各国に普及し、男女半々の内閣や女性首相が次々と誕生した。翻って日本ではクオータ制導入どころか、女性の基本的な人権がいまだにないがしろにされている。2018年には、医学部入試で女性らを意図的に減点していた事実が明らかになった。性犯罪の無罪判決が相次いだことに抗議し、「フラワーデモ」が始まったのは記憶に新しい。

 男性中心の政治や司法が女性の権利に無頓着だったことが差別を助長してきた。今なお、選択的夫婦別姓導入への政府の消極的姿勢は若い世代や働く女性たちを落胆させている。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センターによる34カ国の男女が対象の調査(19年)では「ジェンダー平等実現は望めない」との悲観的回答が日本は31%。ナイジェリアに次ぐワースト2だった。

 東京五輪・パラリンピックに向け、橋本聖子組織委会長、小池百合子東京都知事、丸川珠代五輪相の女性トップ3の態勢が決まった。組織委は女性理事を増員し、女性比率を40%超に引き上げた。経団連も女性初の副会長として、IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長を起用する方針を固めた。いずれも日本では異例の人事だが、世界の潮流としては当然の動きである。

 女性たちが声を上げるだけでなく、男性たちもわが事として受け止めなければ社会の仕組みは変わらない。次世代へのモデルとなるためにも改革を大いに進めたい。



[女性議員] 立候補しやすい環境を(2021年3月9日配信『南日本新聞』-「社説」)

 女性の政治参画が進まない。全国的に女性議員の比率は低く、鹿児島県内ではなお平均を下回っている。

 地方議会は住民の代表機関である。多様性が求められている中、女性ができるだけ立候補しやすい環境を急いで整える必要がある。

 県内43市町村議会の女性議員の割合は昨年末現在、市13.2%、町村6.2%で、全国(2019年末現在)の市区16.6%、町村11.1%よりいずれも少ない。

 24市町村議会は1割未満で、13市町村議会には一人もいない。19年末現在、女性議員ゼロの市区町村議会が3割超の都道府県は、鹿児島など7道県にすぎない。

 国政も同様だ。女性の割合は衆院10%、参院23%にとどまる。世界166位の低レベルだ。

 女性の進出はなぜ進まないのか。共同通信の女性議員アンケートでは「政治は男性のもの」という固定観念や家庭・子育てとの両立を挙げている。

 育児などさまざまな課題に直面している人であればなお、議場で政策課題を訴えてもらいたい。多様な意見が地方自治に反映されてこそ、議会は活性化するはずである。

 女性を増やす手段の一つとして、議席や立候補者などの一定数を女性に割り当てるクオータ制がある。南日本新聞が県内の女性議員全74人に行ったアンケートでは、導入に「賛成」51.4%、「どちらでもない」43.2%だった。

 「特に鹿児島県は、能力がある女性でも自主的に立候補するのは難しく、クオータ制を取り入れなければ増やすのは難しいと実感する」との賛成意見の一方、「人数もだが、ある程度の『質』が重要」との声もあった。

 クオータ制には「過度な女性優遇」との慎重論も根強い。だが、男性が大半を占める現状の改善は急務である。

 本紙のアンケートでは女性を増やす取り組みには、性に基づく差別や偏見をなくすための教育や、議員活動と育児などの両立支援を求める意見が多かった。女性が参加しやすいよう、こうした課題を着実に解決していくべきだろう。

 18年には国と地方の選挙で男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指す「政治分野の男女共同参画推進法」が成立した。候補者数に目標値を設定し、各政党に自主努力を促す。

 国政の場合、与党の女性立候補者は1割程度にすぎない。現職が多く、新たに立候補できる選挙区があまりないという事情がある。だが、多選を禁止する規定を設けるなど対策を講じることが欠かせまい。

 今年は衆院選も行われる。少子高齢化が進み、コロナ禍で人々の暮らしが変わる中、各政党の本気度が問われる。





女性議員産休明記 議会の多様性を高めよう(2021年3月1日配信『琉球新報』-「社説」)

 ジェンダー・ギャップ指数で世界153カ国中121位と下位に甘んじる日本で、ようやく議員の産休取得に道が開けた。

 全国の都道府県議長会、市議会議長会、町村議長会が議会運営の基準となる標準規則を改正し、産休期間を初めて明記したからだ。

 全国の議会に同様の改正が広がると期待されている。出産と議会活動の両立を促す環境整備によって、女性を含めた議会の多様性をさらに高める契機としてもらいたい。

 3議長会が改正した標準規則は産休期間を「産前6週、産後8週」とした。育児や介護での議会欠席も盛り込まれた。拘束力はないものの、全国の議会が規則を定める際の参考となる。

 従来は出産による議会の欠席は認めるが、産休期間は明記されていなかった。育児や介護でも議会を休めず、子育て世代が政治参画をためらう要因の一つになっていた。

 橋本聖子参院議員の妊娠をきっかけに衆参両院、全国都道府県議長会は欠席事由に出産を加えるなどの改正をしてきた。しかし地方議会では同僚議員らの理解が得られず、産後3日目で議場に復帰した女性議員もいたという。

 労働基準法に産休の規定があるのは、母体を保護するという目的からだ。全ての人に認められた権利である。

 雇用関係がない議員だからといって、産休取得期間が曖昧だった従来の議会規則は、法の理念に反するといえる。

 福祉先進国とされる北欧のノルウェー、スウェーデン、デンマークでは、いずれも国会議員に出産・育児休業制度があり、スウェーデンでは最大450日の出産・育児休業が認められる。ニュージーランドのアーダン首相は18年、6週間の産休を取得後、公務に復帰した。

 日本での環境整備は緒についたばかりだが、政府は「男性版育休」の取得を義務付ける育児・介護休業法の改正案を閣議決定した。女性議員だけでなく全ての議員が議会活動と育児、介護などを両立できるようにしてもらいたい。

 同時に産休中の議員が意見表明する機会を確保する制度設計も各議会で議論してもらいたい。

 18年の国会改革で産休中の女性議員の投票方法が論点に浮上した。衆院法制局が意見を聞いた大学教授7人中、条件を満たせば議場にいなくても出席とみなす容認派が4人いたという。

 情報通信技術の発達で、電子投票など意思を示す手法は幾つもある。厳格な要件は当然として、産休・育休中だからといって議員の権利が奪われることがあってはならない。

 県内では13年に初当選した北谷町の宮里歩町議が17年に産休を取得した例もある。

 北谷町をはじめ、いずれの議会でも改革論議は道半ばだが、「誰もが政治に参加できる社会」を実現するための議論を期待したい。





自治体人事に性差 女性登用へ組織改革を(2021年2月28日配信『琉球新報』-「社説」)

 男性は企画立案が得意、女性は家事や育児に適する―というような固定観念が人事配置に反映されているのか。

 本紙が男女共同参画について沖縄県と県内全11市に聞いたアンケートで、全自治体で総務や企画に関する部署に男性が多く配置される一方、福祉や医療などの部署には女性が多い傾向にあることが分かった(23日付)。財政や人事、総合計画などに関わり「行政の頭脳」とも称される総務や企画系部署は男性が67%を占める一方、介護や子育て、保健衛生などを扱う部署は女性が59%と半数を超えた。

 管理職で見ると、総務企画部署は女性比率がさらに低くなる。総務企画に所属する女性管理職はわずか12%だったが、福祉医療系は34%だった。

 行政の中で性別が人事配置の判断材料になっている証左ではないか。子育てや介護を含めた「妻・嫁」の役割と結びつけ、固定化されたジェンダーバイアス(性に基づく差別や偏見)で配置先を決められてしまうことが当たり前のこととして行われてきた。

 県内41市町村の管理職に占める女性の割合は14%で、全国平均の15%を下回る。うち7村は女性管理職ゼロだ。政府が目標として掲げる「指導的地位に占める女性比率30%」の半分にも届かない。

 公平な採用と人事配置が当然とされる行政機関でも、女性から見ると壁があることが分かる。そもそも採用面から不利な立場に置かれている。全自治体の職員に占める男女比率はおおむね6対4と女性が少ない。ただし非正規職員は男性が約24%なのに、女性は約76%に上る。配属も福祉医療系に偏り、昇進についても同様だ。男性にはさまざまなポジションへの門戸が開かれているが、女性は男性よりも限られた選択肢しか与えられていない。

 自治体職員からは、激務で残業の多いイメージの職場は子育て中の女性が希望しないなどの声が上がっているが、それでは、女性医師は出産などで離職するからと女子に不利な得点操作をしていた東京医科大の発想と変わらない。男女ともに長時間労働の解消が先決で、それを理由に女性を閉め出すことはあってはならない。

 男性は仕事、女性は男性を支えて家事や育児を担うという性別役割分担は長く強いられてきた。それは育児休業の取得率が女性はほぼ100%だったのに、石垣と名護、宮古島の3市は取得した男性職員が1人もいなかったことにも現れている。仕事第一で激務や残業を男性側に強いるということで、男性にとっても不公平な社会ではないか。

 ジェンダーバイアスによる人事配置は企業や大学を含め至るところにある。行政機関が率先して長年続く不公平な仕組みを認識し、組織の中核を担う部署や女性が少ない部署での女性の配属や登用を進め、組織構造を変えていかなければならない。





女性の社会進出 実効性ある対策を急げ(2021年1月13日配信『北海道新聞』-「社説」)

 長年、国の最重要課題に掲げられていながら、日本の女性進出は国際社会の中で遅れが著しい。政府の無策ぶりが際立つ。政府が昨年末に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画も同様だ。

 今後5年間の女性政策の指針だが、2003年に管理職や政治家など指導的地位に占める女性割合を20年までに30%程度とした目標は達成できず、「20年代の可能な限り早期」に先送りされた。

 コロナ禍によって女性の活躍を阻む問題が深刻さを増す。在宅勤務や一斉休校で家庭で過ごす時間が増え、家事、育児、介護の負担が女性に重くのしかかった。

 性別による役割分担という意識を変えていかなければならない。

 政府は、女性が能力を発揮できる社会をつくる上での課題を洗い直し、実効性ある対策を早急に打ち出す必要がある。

 世界経済フォーラムが示す男女平等の国際比較で、日本は153カ国中121位だ。女性が衆院議員に占める割合は9・9%、企業の課長級は11・4%にとどまる。

 政府は女性登用を促す法整備を行ったとするが、努力目標にすぎない。専門家は厚い壁を打ち破るには強制力が必要と指摘する。

 多くの国では女性候補者や企業の女性役員の割合を一定数割り当てる「クオータ制」を導入し、効果を上げている。

 こうした新たな制度や罰則の導入など、従来よりも踏み込んだ対応を考える時期に来ているのではないだろうか。

 菅義偉首相は昨年末、「男女共同参画は日本経済の成長力にも関わる」と述べ、人口の約51%を占める女性があらゆる分野で活躍することの重要性を強調した。

 だが、女性の働く環境の改善に資する選択的夫婦別姓の導入議論では、首相はリーダーシップを発揮せず、議論は自民党保守派に押され後退した。課題解決への本気度が伝わってこない。

 女性進出を後押しするには待機児童問題や長時間労働、男性の育休取得拡充など、就労の阻害要因を払拭(ふっしょく)することが不可欠である。

 女性が意思決定に参加すれば異なる視点が生まれ、政策の幅は広がり、企業の成長性は高まる。

 それなのに、なぜ女性登用が進まないのか。その理由について、社会全体で議論を掘り下げる必要がある。その取り組みこそが、理解を広げていく上で欠かせない。

 このままでは、日本の競争力はそがれ、世界から取り残されると、政府は肝に銘じるべきだ。



男女共同参画の実現 政治が先頭に立つべきだ(2021年1月12日配信『毎新聞』-「社説」)

政府の第5次男女共同参画基本計画が策定された。今後5年間で進める女性政策についてまとめ、数値目標も示した。

 指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%程度にするという従来の目標は達成できず、「20年代の可能な限り早期」に先送りされた。

 日本の現状は世界から大きく遅れている。掲げた目標は最低限、実現しなければならない。

 とりわけ重要なのは、政治分野である。有権者の52%が女性であり、国民を代表する国会議員も男女半々となるのが自然なはずだ。

 しかし、衆院議員のうち女性は1割に満たず、190カ国中167位に低迷している。「1票の格差」と同様に、「男女の格差」も是正すべき喫緊の課題である。

 それにもかかわらず、政治の動きは鈍い。候補者数の男女均等を目指す法律が3年前にできたものの、掛け声倒れになっている。

 今回の計画には、政党にクオータ制の自主的な導入を要請すると記載された。候補者の一定割合を女性に割り当てる仕組みだ。世界では多くの国が取り入れており、女性議員の増加につなげている。

 現状を考えれば、国会はクオータ制の法制化を検討すべきだ。女性の割合を反映した政党交付金の配分も議論する必要がある。

 一方、企業の管理職は女性の割合が増えてきた。ただ、他の先進国には遠く及ばない。役員になった女性も、8割近くが社外役員というデータがある。

 正規雇用を増やし、出産で地位や経験が途切れないようにすることが大切だ。国も、企業に女性登用を促す工夫を凝らすべきだ。

 社会の意識改革も欠かせない。「男性は外で働き、女性は家を守る」との固定観念は根強く、女性が働きにくい環境を生んでいる。

 この傾向は地方ほど色濃い。若い女性の大都市圏への流出が目立つ理由と指摘されている。

 地域社会を維持していく面からも、男性が優遇される状況は変えなければならない。

 コロナ禍では職を失い、家事の負担が増えるなど、女性へのしわ寄せが深刻になっている。DVの被害相談も増えている。こうした状況を改善するためにも、施策を速やかに実行していくべきだ。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ