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視覚障がい者に朗報!東京メトロがQRコードとスマホを使った画期的な駅ナビシステム「shikAI」を開発(2021年1月16日配信『@dime』)

車両や駅構内のバリアフリー化を進める東京メトロでこの度、新しく開発中の「視覚障がい者向け駅構内ナビゲーションシステム」の導入検証が行われた。「全てのお客さまに安心して地下鉄をご利用していただくために」と開発が進められているこの最新システムをご紹介しよう。

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ナビゲーションシステム「shikAI」とは?

現在、開発が進められているこのシステムは「shikAI」と名付けられた。名前の由来は日本語の「視界」とこのシステムを成立させるのに欠かせないAIを掛け合わせたものだ。

東京メトロでは主に視覚障がい者の利用客向けに足元の黄色い線上ブロックや点状ブロック、点字案内盤、音声案内などを備えているが、今回の「shikAI」はそれら既存の施設と連携しつつ、新たにスマートフォンを活用したシステムになっている。

誘導用ブロックと白杖だけでは、利用者だけで行き先を明確に把握することが難しく、また、東京メトロ側は明確に案内しづらい現状があり、特に不慣れな駅では迷いやすく不安に感じている利用客が多い。

そんな中、音声呼び上げ機能や文字の拡大、白黒反転などのユニバーサル機能などを生かしたアプリの普及により、視覚障がい者がスマートフォンを利用することが、当たり前のものになっている。そんな状況を踏まえて、東京メトロは今回のような有効策を探っている。

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スマートフォンと床面のQRコードで構成される「shikAI」。画面はシンプルでフリックで操作できる

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導入検証をお知らせするポスター

システムの概要を大まかに説明すると、専用アプリをインスートルしたスマートフォンを利用者が自身の足元にかざしながら移動する。すると分岐点などに設置されている点状ブロックに設置されたQRコードを専用アプリが読み取り、その場所からの移動方向などを音声案内としてスマートフォンから流れるという仕組みだ。

アプリ上にホームやトイレ、改札などの目的地を入力すると、QRコードを元にアプリが利用者の現在位置を把握。そして「改札です、直進4メートル」、「右3メートル」、「階段です、17段下り、踊り場があり、さらに17段下ります」というふうに自分の立っている現在位置からの目的地までを具体的に案内してくれるのだ。

このシステムは東京メトロが単独で開発したものではなく、社外からアイディア・技術を広く募集し相互交流で新しいもの作り出すプロジェクト「Tokyo Metro ACCELERATOR 2016」で最終審査を通過した「プログレステクノロジーズ」との連携で開発が進められている。

2017年3月には東京メトロ総合研修訓練センター内の模擬駅などで、位置情報の正確な取得などを目的とした実証実験を合計7回実施したのち、QRコードを使ったシステムを開発し有楽町線の辰巳駅で実証実験を実施。そして今回の導入検証実施となった。

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こちらが床面のQRコード。曲がり角や目的地、通路などいたるところに貼り付けてある

東京メトロのバリアフリー化


東京メトロではハード面、ソフト面ともにバリアフリーが進められている。

列車との接触事故を防ぐホームドアの存在は、視覚障がい者にとって重要な意味を持つが、こちらは2019年6月末時点で東京メトロ全線の約69パーセントで設置が完了し、2025年度までに全路線全駅へのホームドア整備を完了させる予定だ。

また、ホームから地上までの段差解消、多目的トイレなど続々と整備が進められている。

さらに、車両についてもどんな人でも利用しやすいよう、新型車両の導入が進められている。

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丸ノ内線に導入されている最新鋭の2000系にもバリアフリー設備などが満載

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6両全てにフリースペースと電源コンセントを設置している

一方、ソフト面では警備員の増配置、ハンズフリー型インカムの導入を実施しており、そのほかでもサービス介助士の資格取得を全駅社員に推進し、対象駅社員については2018年3月末までにおおむね習得が完了している。

「shikAI」の導入検証を見てみよう


ここからは実際に行われた「shikAI」の導入検証実験の様子を見てみよう。今回の実験に先立ち、筆者も「shikAI」を体験してみた。

QRコードというとたまに読み取りで苦労することがある。「shikAI」は手元から足元まで距離があり、しかも設置されているのは床面ということで汚れなどによる読み取り不具合が気になるところではあるが、「QRコードは30%ほどの欠損があっても読み取りに不具合がない」とのことで、実際にスマホを片手に持ち歩いていると、スムーズにQRコードを読みこむ様子を実感できた。

分岐点で誤った方向に進むと、次のQRコードを読み込んだ際にその旨を教えてくれるのでリルートも簡単だ。

列車に乗り込む際は何号車のどこのドアに乗り込むのかまで、細かく到達の「目的地」として指定することができる。

続いて、視覚障がい者の方に「shikAI」を使用して、有楽町線新木場駅から隣の辰巳駅まで移動してもらう実験が行われた。

今回は4名の方が実験に協力しており、そのうち普段からスマートフォンを使用している松尾将輝さんとあまりスマートフォンは使用しない高橋玲子さんの2名に密着した。

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実験に協力した高橋玲子さんと松尾政輝さん

新木場駅が実験の現場に選ばれたのは「ある程度人混みの中での実用性を見るため」とのことだ。JR、りんかい線と乗り換えできる新木場駅は1日を通して乗降客数が多い。

「最近は声をかけてサポートしてくれる人も多い」と高橋さんが語るが、一方で「急に白杖を掴まれて案内してくれたりもするのですが、それだと少し困ってしまうこともある」そうだ。

また、「慣れている駅なら特に不安なく利用できるのですが、不慣れな駅だとどうしても迷ってしまう」という高橋さん。少し使い方に戸惑いながらも点状ブロックに設置されたQRコードを読み取りながらホームにおりて列車に乗車。隣の辰巳駅に移動した。

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高橋さんが慎重にスタート

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「shikAI」を使用している際はこのようにスマホを持って歩く

一方、普段からスマホに慣れている松尾さんはすぐにアプリ操作になじんだのか、比較的スムーズに歩みを進める。「右、左、直進と方向を今のところからの方向を示してくれるのがとてもわかりやすい。また◯メートルと距離を言ってくれるので自分の歩幅の感覚で距離感がわかりやすいのがうれしい」と話していた。

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スムーズに歩く松尾さん。QRコードも問題なく読み取れているようだ

各ドア位置にQRコードがあるので自分の好みの車両、位置に乗車できる

辰巳駅に着くと高橋さんが出口に向かうエスカレーターの手前で少しホームを行き過ぎてしまった。

車内や構内などでは音声案内をイヤホンなどで聞いて利用する形だが、ホーム上ではホームドアがあるとはいえ、万が一に備えて警告音声が流れているため「それが少し案内音声と混合してわかりづらかったです。ただリピート再生もできるので不便ではなかったです」と感想を話した。

松尾さんは「白杖が届く前に次の状況がわかるのがありがたい」と「shikAI」の効果を実感している様子だ。

細かい曲がり角も「shikAI」を使って迷わずエスカレーターへ

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「いつもより迷わず歩けました」と二人は辰巳駅の改札へ到着した

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現在は新木場駅と辰巳駅のみだがこれからエリアも拡大していく予定だ

今後は4か月間をめどに辰巳駅、新木場駅で一連の検証を続け、アプリの一般公開を行う予定で、また導入駅の拡大ももちろん検討されており、乗り換えなどの動線も検討していく。多言語化も視野に入っているそうだ。

来年の2020年東京オリンピック・パラリンピックで多くの人が東京メトロを利用することが予想される。その時に「shikAI」によってどのようなサービスが提供できるのか次のステップに注目していきたい。

取材・文/村上悠太




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