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(論)医療や介護と縁遠く長生きを楽しむには(2021年1月17日配信『日本経済新聞』-「社説」)

太古から人は不老長寿を願ってきた。戦後の高度成長期あたりを起点に、こんにちの日本は有数の長寿国になった。半面、人は年を重ねるとともに心身に不調を抱える自然の摂理にはあらがえない。

長寿社会を生きる一人ひとりが、どんな生涯を送りたいのかに思いをめぐらせたい
長寿社会が実現した今、価値を置くべきは「日常生活に制限がない期間」を示す健康寿命を伸ばすことであろう。年をとっても医療職や介護ヘルパーなどの世話にならないようにすれば、本人や家族はもとより国・自治体の社会保障財政にも好ましいはずである。

2016年の平均寿命は男80.98歳、女87.14歳だった。厚生労働省の簡易生命表や国民生活基礎調査などの結果によると、健康寿命は72.14歳と74.79歳だ。

双方の差である「日常生活に制限がある期間」はそれぞれ8.84年、12.35年である。6年前と比べると、制限がある期間はそれぞれ0.29年、0.33年縮んだ。男女とも平均寿命を上回るペースで健康寿命が伸びた。

政府は14年に閣議決定した健康・医療戦略で、世界最先端の医療技術・サービスによって健康寿命を伸ばすことを課題にあげた。だが言葉先行の色が濃く、現政権を含めて具体的な政策イメージを持っているとは言い難い。

まずは一人ひとりが医者の世話にならぬよう意識し、実践することがスタートになる。メタボリック症候群に起因する糖尿病や脳卒中などのリスクを下げるには、栄養バランスに気をつけ、適度な運動を続け、ストレスをためない――などが大切になる。

言われ尽くされた感はあるが、言うはやすし、行うは難しだ。同時に、遺伝性や先天性の病などに悩む人には、十二分の配慮が必要なのは言うまでもない。

また平均寿命を健康寿命に近づける逆転の発想も必要になってくるのではないか。医療分野の技術革新が不治の病を一歩一歩克服しつつあるが、治療法によっては必ずしも患者のQOL(生活の質)向上につながらない例はある。

いざというときを見据えて延命治療を選ぶのか、選ぶならいつまで続けるのか。迷いながらもタブーなく考え、家族など周りの人と話し、そのイメージを共有することを定着させたい。

新型コロナが私たちに健康の大切さを改めて思い起こさせた。長寿社会を生きる一人ひとりが、どんな生涯を送りたいのかに思いをめぐらせよう。




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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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