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「昼間もダメ」「罰金議論」に時短営業の飲食店主ら怒り爆発 政治の責任を棚上げするな!(2021年1月18日配信『AERA.com』)

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1月13日午後6時の三軒茶屋「三角地帯」。徐々に戻っていた客足は、再度の緊急事態宣言で再び途絶えた。多くの店で普段は「密」そのものだが、今は1人の食事なら問題なさそうだ(撮影/小田健司)

 再発令された緊急事態宣言により、対象地域の飲食店に出された時短要請。応じなければ、罰金という案も浮上している。飲食店や常連客からは嘆きや怒りの声が聞こえてくる。AERA 2021年1月25日号で掲載された記事から。

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「怒りを超えて、あきれるしかないですよ。怒るのも無駄なので、店の営業のことだけを考えています」

 1月13日、東京・新宿の「思い出横丁」で時短営業をする居酒屋の男性従業員はこうはき出した。前日の12日、新型コロナウイルス対策を担う西村康稔経済再生担当相が記者会見で、「昼に皆とご飯を食べていいということではない」と強調したことについてだ。

 東京都など緊急事態宣言下にある地域では酒類の提供を午後7時まで、店の営業は午後8時までと要請されている。1日最大6万円の協力金の効果のほどは事業者ごとに違いがあるが、経営難に陥る事業者も多い。西村大臣の発言は、怒りの気力さえ失わせるものだったようだ。

■罰金の議論に怒りの声


 戦後の闇市から発展した思い出横丁には、約90店舗がひしめきあう。昭和の雰囲気を漂わせて昼も夜も客が狭い店内で肩を寄せるようにして飲食を楽しんでいたが、今は営業自体を断念する店もある。シャッターが閉まる横丁を歩けば、あちこちに貼り紙が貼られていた。

「緊急事態宣言が解除されましたら必ずお会いしましょう」

「お客様並びに従業員を感染の危機から守るためにも、営業自体を自粛します」

 今回の緊急事態宣言では、感染対策の主戦場として飲食店が名指しされている。時短要請に応じなければ50万円以下の過料を科す案まで浮上する。

「感染を広げた政治の責任を棚上げにして、従わない店から罰金まで取ろうなんて、筋が通っているとは思えません」

 冒頭の居酒屋の常連客だという男性(65)はこうまくしたて、60代の店のスタッフの女性もこう続けた。

「ただでさえアルバイトの時間が減って収入が落ちています。店が潰れたら、もう年がいってるから他に働く場所を見つけることもできないでしょう」

 混乱の飲食業界から逃げ出す動きを支援するサービスも始まった。転職の支援サービスを提供するHeaR(ひあうコール本社・東京都)は昨年12月、飲食業から他の職種に転職するためのサービスをスタートさせた。

 厚生労働省によると、新型コロナの影響で解雇や雇い止めにあった飲食業界の労働者は見込みも含めて1万人を超えた。同社がこの事業を始めたのは、代表取締役CEOの大上諒さん(27)が、コロナ禍によって飲食業界での雇用情勢が厳しくなっていることを身近に感じる機会があったからだ。

「業界全体が厳しい状況に直面していることから、業界内の転職が難しいと考えました。異業種への転職もハードルは高いですが、多くの人が飲食業界から出ざるを得ないと予想されることから、彼らに役立つことができないかと考えました」

 サービスの費用は約30万円からと安くはないが、3カ月程度のトレーニング期間を通じて支援に取り組む。「利用者も増えている」(大上さん)という。

(編集部・小田健司)

※AERA 2021年1月25日号より抜粋



飲食店だけ「悪者扱い」は正しい対策なのか? 専門家「『急所』とまで言う根拠ない」と疑問符(2021年1月18日配信『AERA.com』)

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学芸大学駅そばの居酒屋では焼き台を入り口横に移して戸を大きく開けていた。換気は十分。ただ、常連客は「7時までじゃ行けないよ」と嘆く=13日(撮影/小田健司)

 政府の新型コロナ対策でやり玉に挙げられ、時短営業を迫られている飲食業界。閉店や優秀な人材の流出が進む中、専門家は政府の姿勢に疑問を示す。AERA 2021年1月25日号から。

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 追い込まれ、労働者の大量流出が現実味を帯びている飲食業界。そもそも感染対策の「急所」(昨年12月21日、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長)とまで業界を特定する必要はあったのか。

 菅義偉首相も、東京など1都3県に宣言を出した際の1月7日の記者会見でこう述べた。

「1年近く対策に取り組む中で学んできた経験を基に、徹底した対策を行います。その対象にまず挙げられるのが、飲食による感染リスクです。専門家も、東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であると指摘されています」

 だが、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこの考え方に懐疑的だ。

 厚労省によると、感染者が判明した際に追跡調査の対象となる「濃厚接触者」は、感染者の同居者や長時間同じ車内にいた人たちなどをいう。マスクをつけて接触した場合には対象にはならない。

「マスクを外すのは、食事をするときや家の中にいるときなので、現状の追跡のルールでは必然的に、飲食店や家庭内での濃厚接触者や感染者が増えることになります。もちろん飲食店で感染が広がるケースは一定程度ありますが、今回の第3波で飲食店を『急所』とまで言う根拠はありません」

 上医師によれば、第2波までは飲食店が感染拡大の主な原因になったという報告は海外でもあるが、感染防止の対策が確立しつつある第3波でも状況は同じかといえば、そこは明確な世界の共通認識はないという。

「飲食店だけ営業を止めてうまくいくのなら、米国やヨーロッパもそうしているはずですが、実際は厳しいロックダウンをしています。世界は、そうしないと制御できないと考えているからです」(上医師)

■補償の議論置き去りに


 それでもあえて飲食店を主な対象とする対策は続く。さらに、専門家からは別の注文もつく。元大蔵官僚の野口悠紀雄・一橋大学名誉教授は支援のあり方を考え直すべきだと言う。

「時短の協力金は、収入の減少を補償するものではないとされています。時短要請に協力したことへの『お礼』の意味で支払われています。問題は、補償をする必要がないのかどうか、ということです」

 もちろんこれは、飲食に限らず宿泊業などあらゆる分野で働く人たちにも共通する。

 昨年7~9月の法人企業統計で、金融・保険業を除く全産業の売上高は前年同期比11.5%減の309兆2524億円、経常利益は28.4%減の12兆3984億円。飲食を含むサービス業だけでなく、ほぼすべての業種で減収減益となっている。

 それでも、補償の対象や金額が際限なく広がることを危惧してか、政府は一貫して補償を避けてきた。野口教授は続ける。

「どの程度の補償をするかという問題はありますが、所得に応じた補償はするべきです。確定申告や決算などのデータから状況が分かってきた今ならきめ細かい補償ができるはずです。補償の網に引っかからない人を放置するべきではありません」

 思い出横丁を歩いた1月13日、筆者は都内の他の繁華街も取材で訪ねた。

 新旧の飲食店が集まる東京・三軒茶屋の通称「三角地帯」では、やはり夕方になっても客足は鈍く、休業を知らせる貼り紙が何枚も貼られていた。

 モツのどて焼きが名物の居酒屋の男性店長は「普段来てくれるお客さんの飲み始めが午後の7時や8時だから、商売にならない。1日6万円の協力金も、うちでは足りない」

 一方で、三軒茶屋周辺では午後8時以降に開けている店には客が集中しているという現象も起きているという。

 目黒区の東急東横線学芸大学駅近くにある居酒屋を午後7時前に訪ねると、やはり客はまばら。「密」とはほど遠い状況だ。元々は店内にあった焼き鳥用の焼き台は、大きく戸を開け放った店の入り口に移した。テイクアウトを利用してもらおうと通行人へアピールするとともに、店内の換気にもつながっている。

 店長の女性によれば、このコロナ禍で最も売り上げがあったのは時短要請に応じなかった8月で、コロナ前よりも稼いだ。今回は罰則までちらついたことから午後8時までの8時間の営業にしたという。

「限られた時間でどうするか。純粋に困っています。近くの同業者さんもみな同じようです」

 政治に振り回される飲食業界。今回の時短要請で、本当に感染抑制の結果は出るのか。1カ月で効果が出なかったら?の問いに「仮定の話」として答えない人がこの国のトップなのが、とてつもなく不安だ。(編集部・小田健司)

※AERA 2021年1月25日号より抜粋





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